叙事詩 人間賛歌

想像もできない力を持つ生命の素晴らしさを綴っています !

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人間賛歌 生命の境涯 十

2006年10月02日 | 生命の境涯
 勝手をしていました。幸島のサル物語からスタートしたいと思います。
野生のサルがとった以外な行動が、国中に広まっていく不思議な現象を
テーマにしたもので、研究者のあいだで有名な話です。 

  幸島のサル物語 

 九州.宮崎県沖に幸島という島がある。
もともと無人島で、野生のサルの群れが住んでいるが、K大の霊長類研究所が、
野生のサルの生態を調べるため、この島のサルに餌つけをしだした。

サルの大好物であるサツマイモを与えるのだが、
この島のサルに異変が起きるのだ。
研究所の人が、いつものとおりサツマイモを持って上陸し、
待っていたサルたちににイモを与えた。

サルたちはイモをつかむと、それぞれ自分の気に入った
場所に行って、イモを食べはじめたが、
一匹の若いメスザルが、別の行動をとったのだ。


若いメスザルは、イモをつかむと何を思ったのか、
ガケを伝って、海岸に降りて行った。

 「ハテ、なにをするのだろう。」

ほかのサルたちは、不思議そうに彼女サルの行動を
見ていたが、
イモを食うのに夢中で、そこを動くものはいなかった。

海岸に降りたメスザルは、ザブザブ音をたてて、
海に入っていった。

「へんなことをするなあ、だじょうぶか、」

とみんなが思っていると、彼女ザルはイモを海中につけて、
洗いだしたのだ。
イモについていた土や砂が落ち,きれいになったところで、
彼女は洗ったイモを、食べだしたのである。




次の日、また研究所員かイモを持ってきて、
サルたちに与えると、くだんの彼女ザルはまた、
海に入ってイモを洗いだしたのだ。
きれいになったところで、食べるのはきのうと同じだ。

三日目のことだ。
彼女がいつものとおり、ガケを降り海に入って、
イモを洗い出すと、

二三匹の仲間サルが、彼女に見習って同じことを、
やりだした。

若い仲間ザルは、彼女の行動を見ていて、

 「おもしろそうだなあ、オレもやってみるか」

と好奇心にかられた、
そこで彼女ののあとをつけ、海に入りイモを洗いだしたのである。

土や砂をよく落とし、きれいになったイモを口に入れ、
ガブリとやると、
これがなかなかイケルのだ、

砂がなくて食べやすいし、塩味がほどよくついて、
なかなか旨いのだ。

 「ウン、これはいける」

ということで、彼女を先頭に数匹のサルがイモを洗って、
食べだしたのである。  つづく