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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

日刊ゲンダイで、再来年の「大河ドラマ」についてコメント

2013年11月19日 | メディアでのコメント・論評

来年のことを言うと、鬼が笑うんでしたね。

じゃあ、再来年だと、どうなるのか。

2015年のNHK大河が話題に・・・・


再来年の大河ドラマは「吉田松陰の妹」!?
安倍カラーに染まるNHK 

再来年のNHK大河は「吉田松陰の3姉妹」に決定――。先週末、一部スポーツ紙がこう報じた。

現在放送中の「八重の桜」は幕末から明治初期を描き、そのバトンを引き継ぐ「軍師官兵衛」は戦国もの。幕末、戦国ともに大河ドラマでは十八番の時代設定だが、ひとつ置いてまた幕末である。

「15年の大河はキムタク主演で織田信長を描く『信長燃ゆ』や冲方丁原作の『光圀伝』が有力候補といわれていただけに、また幕末・明治維新期の女性が主人公とは驚きました」(TV誌関係者)

長州の思想家で明治維新の精神的指導者として知られる吉田松陰。今作でスポットライトが当たるのは吉田家三女で松陰の末妹にあたる人物。キャスティングはすでに井上真央で内定しており、ほかの共演者の人選も着々と進んでいるという。

これに大喜びなのが安倍首相だろう。地元山口出身の松陰を尊敬し、自身の座右の銘に、松陰の「至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり」という言葉を引用するほど。NHK大河でその松陰を描くというのだから、さぞご満悦のはず――。

しかし、「時期が時期だけに何かしらの“流れ”を感じる視聴者もいるかもしれません」というのは、上智大教授の碓井広義氏(メディア論)だ。

たしかに安倍首相はNHK経営委員に自身の思想に近い人物を推し、政治介入の声が巻き起こったばかり。NHK会長人事への介入も懸念されている。そんなタイミングで決まったのが吉田松陰のドラマである。NHKの安倍政権への「すり寄り」「おもねり」と取る向きも少なくないはずだ。

「中央政府の反対勢力となった会津藩を描いた『八重の桜』からひとつ置いて、また幕末が舞台の作品です。しかも明治維新の軸となる長州藩のドラマとは発想がちょっと安易な気がします。政治的文脈とは無関係であって欲しいのですが……」(碓井氏=前出)


これで脚本が同経営委員に就任した作家の百田尚樹なんてことになれば、NHKは「安倍色」に染まる。

(日刊ゲンダイ 2013.11.18)


「ポール・ マッカートニー」東京ドーム公演、間もなく開幕!

2013年11月18日 | 舞台・音楽・アート

もうすぐ、そう、あと2分で午後7時。

いや、「間もなく開幕」って言っても、私は東京ドームにいるわけではありません(笑)。

自宅で仕事中です。

ただ、今夜は、我が家のおかみさん(妻ですね)が、東京ドームに行っています。

高校時代からの親友と2人で。

親友は信州に住んでいて、ポールのために上京。

今夜は帰らないそうです。

いやはや、女子は元気だ(笑)。

「Save Us」「Queenie Eye」「Everybody Out There」などの新曲もさることながら、おかみさんたち、つまり私たちの世代としては、やはり
「Something」や「Hey Jude」や「Get Back」も楽しみなわけで・・・・

・・・・うーん、今ごろになって、「一緒に行けばよかったかな」と思っている私です(笑)。







Nスペで、ユニクロ

2013年11月18日 | テレビ・ラジオ・メディア

17日夜に放送された、NHKスペシャル「成長か、死か ~ユニクロ 40億人市場への賭け~」を見た。


今年、初めて売上高1兆円を超えたファーストリテイリング。衣料品チェーン「ユニクロ」を展開し、年々売り上げを伸ばしている。その原動力となっているのが海外での大量出店。年間150店舗という驚異的なペースで出店を続けている。ユニクロがグローバル展開を急ぐ背景には、世界で激化するファストファッション競争がある。日本ではトップのユニクロも、ZARA(スペイン)やH&M(スウェーデン)といったライバルに及ばず現在世界4位。柳井社長は、同じことをしても追いつけないと新たな戦略に打って出た。その一つが「ベースオブピラミッド(BOP)」と呼ばれる世界最貧国市場への進出。今年7月、ユニクロは競合他社に先駆けてバングラデシュに店をオープンさせ、Tシャツ一枚230円という破格の安さで勝負に出た。最貧国の一つバングラデシュでビジネスを成功させることができれば、アフリカなど世界中どこでも商売ができると語る柳井社長、「2020年に世界4,000店舗、売上高5兆円」という目標を掲げ、世界ナンバーワンを目指す。番組では、ユニクロのバングラデシュ出店戦略に密着。新たなマーケットを切り開く最前線を追い、グローバル市場での苛烈な競争にしのぎを削る日本企業の姿をドキュメントする。


・・・・バングラデシュだもんなあ。

女性が外で着るのは民族衣装が中心。

そこに進出するわけで、ユニクロ側の戦略通りにはいかない。

トライ&エラーの過程を、かなり見せていた。

柳井社長が、これだけの取材を許可した意図は、当然ある。

それを考慮しても、十分に面白い。

Nスペ「素数の魔力に囚われた人々 リーマン予想・天才たちの150年の闘い」で、科学ジャーナリスト賞2010を受けた、植松秀樹ディレクターによる1本でした

「慶応SFC碓井ゼミ」OB・OG会の開催

2013年11月18日 | 大学

この週末、毎年恒例になっている「慶応SFC碓井ゼミ」のOB・OG会が開かれました。

今回は、放送、新聞、出版、広告、映画、通信がほとんどでしたが、
わざわざ九州や大阪からも来てくれました。

子どもと一緒の参加者もいて、実ににぎやかな会でした。

















それぞれの職場では10年以上、15年以上のキャリアであり、一番活躍している世代になります。

また、ゼミのつながりが公私ともに生かされている様子もわかり、
嬉しい集まりでした。

みんな、ありがとう。

また来年!


メ~テレ(名古屋テレビ)の「勉強会」に参加

2013年11月16日 | テレビ・ラジオ・メディア
メ~テレのキャラクター「ウルフィ」(羊の皮をかぶったオオカミ)








「UP!」 星 恭博アナ、深津麻弓アナ






「ドデスカ」 佐藤裕二アナ、鈴木しおりアナ

今夜の「金曜オトナイト」は、眞鍋かおりさんと

2013年11月15日 | 金曜オトナイト

11月15日(金)夜10時54分
BSジャパン 「大竹まことの金曜オトナイト」


今夜の「金曜オトナイト」、ゲストは眞鍋かおりさんです。

頭の回転が実になめらかな女性。

バブル期ファッションの復活から、外国人ギャル化現象まで、テンポのいいトークが続きます。


















今週の「もえちゃん」



みのもんた「島倉千代子さん葬儀」発言についてコメント

2013年11月15日 | メディアでのコメント・論評

NEWSポストセブンに、女性セブンの「みのもんた『島倉千代子さん葬儀』をめぐる発言」に関する記事の要約がアップされました。

この中でコメントしているので、以下に転載しておきます。


みのもんたの失言は
「まだメディアにいる!」とのアピールか

11月9日、レギュラーMCを務めるラジオ番組『みのもんたのウィークエンドをつかまえろ』(文化放送)に出演したみのもんた(69才)。番組内で、島倉千代子さん(享年75)の葬儀について「私の復帰第一作。南青山の斎場。私の復帰にふさわしい舞台が揃ってるじゃないですか!」と話したところ、批判の嵐となり、結局島倉さんの葬儀参列を取りやめることとなった。

この発言について、上智大学の碓井広義教授(メディア論)はこう話す。

「とても公共の電波を使って言う話ではありません。元報道キャスターやタレントという以前に、人としてどうなのかと思います。彼はおそらく冗談のつもりなのでしょうが、そもそも人の死を冗談にするなんて…。もはや今、みのさんの人格が問われているといっていいでしょう」


なぜ彼はこうも問題発言を繰り返すのか。新潟青陵大学大学院教授で社会心理学者の碓井真史先生がこんな分析をする。

「週5日、当たり前のように出演していたテレビ番組がなくなり、彼は今“自分と社会の繋がりが絶たれてしまった”という不安に苛まれているのでしょう。みのさんにとってテレビの世界こそすべてだったのですから、それを取り上げられたことで、自分のよりどころがなくなったと感じているように見えます。

だからこそ、あえて世を騒がせる発言をして、メディアに取り上げられている自分を見て、“おれはまだメディアの世界にいるんだ”“まだ社会はおれに興味を持っているんだ”ということを実感し、安心したいのでしょう」

(女性セブン 2013年11月28日号)

女性自身で、「長寿番組」打ち切り現象について解説

2013年11月14日 | メディアでのコメント・論評

「女性自身」って、あらためて眺めると、不思議な誌名ですねえ(笑)。

てなことはともかく、その最新号が、「長寿番組」に関する特集記事を掲載しました。

記事のタイトルにあるように、「いいとも」「はなまる」を踏まえて、
“次の打ち切り”が話題の中心です。

とはいえ、もちろん打ち切りが決まったということではなく、俎上に乗ってくるのはどんな番組かというお話でした。


「いいとも」「はなまる」に続く
“次の打ち切り”長寿番組を全捜索
とんねるず、「とくダネ!」
そして「ごきげんよう」も!

「フジテレビの『笑っていいとも!』、TBSの『はなまるマーケット』と、ここのところ番組の打ち切りで世間をにぎわせたのは、いずれも視聴率低下に苦しんでいるテレビ局です。局全体の調子がよくないため、〝不良債権″を抱える余裕がなくなってしまった結果といえるでしょう」

そう話すのは、メディア論が専門の上智大学新聞学科・碓井広義
教授だ。


82年の放送開始以来31年続く『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の来年3月終了決定という衝撃の発表に続き、18年目に突入した『はなまるマーケット』(TBS系)も3月いっぱいで終了することが11月6日に明らかになった。

これら長寿番組の相次ぐ打ち切りについて、碓井教授はこう解説
する。

「視聴率が低下すれば、局の看板ともいえる番組でさえ打ち切られてしまうということです。とはいえ、それが〝聖域″とみられていた『いいとも!』にもおよんだのは思い切った決断でした。この〝いいともショック″の影響もあって、今後も各局で見直しは進んでいくことでしょう」

碓井教授によれば、視聴率に加えて、見直しのポイントとなるのは
大きく次の4つ。

①《最低限の視聴率は維持していても、視聴者層に偏りがあるなど  の理由でスポンサー受けがよくない》
②《出演者のギャラが高すぎるなど、予算に見合わない》
③《内容や出演者が与えるイメージがマイナス》
④《前後の番組で視聴率の上下が激しい、同時間帯で他局にまった  く勝てないなど、編成上の障害になっている》


バラエティやエンタメ情報番組を中心に、放送開始から15年以上が経過している主な番組をみていくと、左図のようにおなじみの番組がズラリ。では、このなかで次に危ない番組とは――。

TVウォッチャーの上杉純也氏はこう分析する。

「『とんねるずのみなさんのおかげでした』は、視聴率1ケタの回もあるなど、ギャラのわりに数字が稼げていません。フジテレビにとって、黄金期を支えたとんねるずは明らかな功労者ですが、『踊る大捜査線』のプロデューサーだった亀山千広新社長体制に変わったのをきっかけに、メスが入るかもしれませんね。

同様に『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』も、高額なギャラがネックになっています。最近の例ですが、やはりダウンタウンがMCを務めた『爆笑 大日本アカン警察』(フジテレビ=11年4月放送開始、今年9月に終了)のように、ゴールデンタイムで6%くらいまで視聴率が落ちこむと、赤信号が灯ってしまいます」

前出の碓井教授もこう語る。

「『みなさんの――』はマンネリ化で新しい視聴者を呼び込めていない。リニューアルする『チューボーですよ』も、固定ファンばかりで、
堺正章さんのギャラと視聴率を天秤にかけると楽観視できないでしょう」


また、テレビ局関係者が次のように明かす。

「ビートたけしさん、明石家さんまさん、所ジョージさんらが司会を務める一部の番組を除いて、多くの長寿番組が視聴率では苦戦しているのが現状です。安泰とみられているのは、〝たけしと政治″という、ほかにはない組み合わせの『TVタックル』、さんまさんの話術が際立つ『さんま御殿』、などですね」

前出の上杉氏は、『所さんの目がテン!』『さんまのまんま』『徹子の部屋』『タモリ倶楽部』を「視聴率がもう少し下がっても安泰」とみる。また、局側からではなく、タレントサイドからの“要望”で、番組のその後を考えなくてはならなくなるパターンも出てくることも。

「人気番組を複数抱える所ジョージさんは、『還暦の60歳でセミ・リタイヤしたい』と漏らしていますから、あと2年で彼の番組がなくなることも考えられます。所さんからほかの誰かにバトンタッチ、というわけにもいきませんからね……」(前出・テレビ局関係者)

いいとも終了の余波は、ある〝定説″を覆し、その後続番組にも影響をおよぼしかねないと前出の上杉氏が語る。

「もともと、『シオノギ・ミュージックフェア』などに代表される1社提供の番組は、スポンサーが降りない限り、打ち切りのケースは少ないとみられてきたのですが、今後は局側の判断でテコ入れするケースも出てくるかもしれません。『ごきげんよう』もライオンの1社提供ですが、裏番組の『ヒルナンデス』(日本テレビ系)が2時間の放送で絶好調。いいともに変わって放送される新番組が、これに対抗して同じような枠の編成にする可能性も考えられます」

そして、風当たりが強いのは、バラエティやエンタメ情報番組に限ったことではない。

「代表的なのが、フジテレビのニュース番組です。小倉智昭さんの『とくダネ!』(99年4月~)、安藤優子さんの『スーパーニュース』(98年3月~)のどちらも、キャスターのギャラと年齢が高いことは否めず、打ち切りの噂が絶えません」(前出・テレビ局関係者)

作家の麻生千晶さんも、これらの番組を打ち切り対象にリストアップする1人だ。

「小倉さんが当たり前のことをどこかえらそうな感じでまとめる展開を、なんだかバカにされているように感じる主婦は多いはず。安藤さんに関しては、ビジュアル的にも限界でしょう。先日みのもんたさんへのインタビューでも、ものの考え方の浅さを露呈してしまいましたよね」

もちろん、大切なのは打ち切りを決めることよりも、その後になにを放送するかだ。

「最近のテレビ局は新番組でどうしても若い視聴者の取り込みを求めていく傾向にありますが、いま現実に視聴率を支えているのは40代以上の人たちです。今を支えてくれている人たちを大事にして
ほしいというのはありますね」(碓井教授)


最近ではドラマ『半沢直樹』(TBS系、最終回42.2%)や先日の日本シリーズ(第7戦= 27.8%)の視聴率が、〝おもしろければみんなテレビを観る″ということを再確認させてくれた。

“いいともショック”の余波で始まったテレビ界の改革。次なる“必見番組”がまた誕生してくれることに期待したい。

(女性自身 2013.11.26号)

【気まぐれ写真館】 キャンパス2013年秋 

2013年11月13日 | 気まぐれ写真館

授業「テレビ制作」、撮影開始

2013年11月13日 | 大学






















深夜らしい冠番組「午前零時の岡村隆史」

2013年11月13日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、TBS「午前零時の岡村隆史」について書きました。

そういえば、単独司会って、なかったみたいで・・・・


午前零時の岡村隆史
「バカバカしいことをマジでやるバラエティー」は買い!?

ナインティナインの岡村隆史が単独司会の新番組を始めるというので見てみた。TBS「午前零時の岡村隆史」(水曜夜11時58分)である。

6日の第1回目は「岡村と99人の仲間たち」。 岡村会の99人が路上に落ちているお金を探す。1日でどれくらいの金額になるかという企画だ。

その理由が笑える。あの滝川クリステルが「お・も・て・な・し」のプレゼンで語ったように、日本では1年間に3000万ドル(30億円)の現金が警察に届けられる。だが、実際に落としたとされる総額は84億円。ならば残りの54億円を見つけ出そうというのだ。

「ウオーリーを探せ!」とそっくりな赤いボーダーシャツを着た99人が、渋谷や新宿など15ヵ所の繁華街に散って、自動販売機の下や植え込みの中を探す。一円玉から複数の財布までが出てきて、合計1万1168円也。これを警察に届けた。

確かにバカバカしい内容だ。しかし、「バカバカしいことをマジでやるバラエティー」としては“買い”かもしれない。それに、岡村が99人に指示を出すだけではなく、自分も自販機の下を覗き込んでいたところがいい。しかも別の番組の収録があって、途中でいなくなる様子まで見せていた。

この番組を担当するのは、「入社10年目以下のディレクター」だ。企画力も含め、彼らがどこまで頑張るかで成否が決まる。

(日刊ゲンダイ 2013.11.12)


『ごちそうさん』が『あまちゃん』超え!?

2013年11月12日 | メディアでのコメント・論評

NEWSポストセブンに、先日「週刊ポスト」でコメントした朝ドラの記事がアップされました。

あらためて、載録しておきます。

それにしても、「ごちそうさん」は好調ですねえ。

舞台が大阪に移って、西門家の小姑との“女の戦争”が始まったことも後押ししていると思います。

キムラ緑子さんが演じる「夫の姉」とか、ほんと、怖いですもん(笑)。



『あまちゃん』超えの『ごちそうさん』 
関西人の心掴み好調

視聴率はどうやら『ごちそうさん』に軍配が上がりそうだ。大人気を博した前作のNHK朝ドラ『あまちゃん』。その平均視聴率の最高は27.0%(9月16日放送)で、過去10年の朝ドラでトップだったが、現在放送中の『ごちそうさん』は第15回(10月16日放送)で早くも27.3%を記録。軽く『あまちゃん』超えを果たしてしまった。

週ごとの平均視聴率でも今のところ『ごちそうさん』のほうが優勢だ。

もちろん、『あまちゃん』のヒットで“朝ドラ視聴グセ”が広まっていたことも、好調の追い風になっているのだろう。しかし、理由はそれだけではないとNHK関係者が分析する。

「“わかる奴だけわかればいい”という小ネタが満載の『あまちゃん』は、コテコテの笑いやストーリーを好む関西では視聴率が悪かった。一方『ごちそうさん』は、大阪放送局制作ということもあって関西人の心をガッチリとつかんでいる。

これからは、ヒロインのめ以子(杏)が大阪に嫁いでからの話になるので、この傾向はさらに強まるはず」

『ごちそうさん』の好調は、中高年の支持によるところも大きい。上智大学文学部新聞学科の碓井広義教授(メディア論)がいう。

「『あまちゃん』はドラマの密度が濃く、かつテンポが速いという希有なドラマでした。しかしそれは“一話見逃すとついていけなくなる”可能性もあるということ。

一方の『ごちそうさん』は、朝ドラらしいゆったりとしたスピードに戻って、爽やかな恋愛やヒロインの成長を楽しめる。いわば“剛速球”と“スローカーブ”の違いですね。

『ごちそうさん』のゆるさは本来の朝ドラの視聴者層にとっては見やすく、心地がいいのでしょう」


指摘の通り、『ごちそうさん』は、ヒロインが偶然我が家に居候することになった帝大生・悠太郎(東出昌大)と恋に落ちるという王道ストーリー。おそらく今後の展開もそれほど意外なものではないだろう。しかし、それが忙しい朝にはピッタリなのだ。

それに引き替え『あまちゃん』は、「ヒロインの母・春子(小泉今日子)の若い頃に一体何があったのか」「震災が起こったら、どうなってしまうのか」という謎をドラマ終盤まで引っ張り続けた。

あえていうなら「ソワソワ不安にさせる物語」で、だからこそ普段は朝ドラを見ない若者や男性たちが飛びついた。

(週刊ポスト 2013年11月22日号)


“半沢直樹のいた夏”を振り返る

2013年11月11日 | 「月刊民放」「民間放送」連載の放送時評

「月刊民放」に連載している放送時評。

今回は、この夏、テレビ界の大ヒットというだけでなく、一種社会現象化したドラマ「半沢直樹」を総括しました。


半沢直樹のいた夏

もう忘れかけているが、今年の夏は暑かった。夜になっても気温は下がらず、外で遊ぶ気にもならない。できれば早く仕事を終えて家に帰り、クーラーの効いた部屋に避難したい。そんなふうに思いながら暮らした人も多いのではないか。

夏ドラマが始まった時、初回視聴率の高さに驚いた。テレビ朝日「DOCTORS2」19.6%。フジテレビ「ショムニ2013」18.3%。そしてTBS「半沢直樹」が19.4%。一瞬、高視聴率の原因は連日の猛暑か、と半分本気で思ったものだ。その後、「半沢」は単独でモンスター級ドラマへと成長していく。

7月の放送開始直後、「半沢」を次のように分析した。ポイントは2つあった。まず主人公が大量採用のバブル世代であること。企業内では、「楽をして禄を食む」など負のイメージで語られることの多い彼らにスポットを当てたストーリーが新鮮だ。池井戸潤の原作「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」は、優れた企業小説の例にもれず、内部にいる人間の生態を巧みに描いている。第2のポイントは主演の堺雅人である。フジテレビ「リーガルハイ」とTBS「大奥」の演技でギャラクシー賞テレビ部門個人賞を受賞したが、シリアスとユーモアの絶妙なバランス、特に目ヂカラが群を抜いている。まさに旬の役者だ。

8月に入っても、「半沢」は順調に数字を伸ばしていく。銀行、そして金融業界が舞台の話となれば複雑なものになりがちだが、「半沢」は実にわかりやすくできていた。銀行内部のドロドロとした権力闘争やパワハラなどの人間ドラマをリアルに描きつつ、自然な形で銀行の業務や金融業界全体が見えるようにしている。平易でいながら、奥行きがあった。また、銀行員の妻は夫の地位や身分で自らの序列が決まる。社宅住まいの妻たちの苦労を見せることで女性視聴者も呼び込んだ。8月11日放送の第5回、視聴率は前週の27.6%を超えて29.0%に達した。この頃、すでに「半沢」は堂々のブームとなっている。

ところが、なんと次の日曜日、18日は「半沢」を放送しないというではないか。その理由が「世界陸上」だ。独占生中継とはいえ、このタイミングで「半沢」を1回休むのはもったいないという声も多かった。しかし、結果的には視聴者の飢餓感を刺激し、また話題のドラマを見てみようという新たな層も呼び込むことになった。

前半(大阪編)がクライマックスを迎える頃、このドラマが「現代の時代劇」であることに気づいた。窮地に陥る主人公と、損得抜きに彼の助太刀をする仲間、際立つ敵役。勧善懲悪がはっきりしていて分かりやすい。威勢のいいたんかは「水戸黄門」の印籠代わりだ。主人公は我慢を重ね、最後に「倍返しだ!」と勝負をひっくり返す。視聴者は痛快に感じ、留飲が下がるというわけだ。

さらに半沢はコネも権力もない代わりに、知恵と友情を武器にして内外の敵と戦う。その手法は正義一辺倒ではなく、政治的な動きもすれば裏技も使う。巨額の債権を回収するためには手段を選ばないずるさもある。そんな「清濁併せのむヒーロー像」が見る人の共感を呼んだ。

9月、東京編に移っても「半沢」の勢いは止まらない。半沢の父を死に追いやった銀行常務の香川照之はもちろん、金融庁検査官を演じた片岡愛之助など脇役陣も自分の見せ場を作っていく。そして最後に用意された、運命の対決。半沢を正面からとらえたアップを多用する演出も、ぞくぞくするような臨場感を生んでいた。最終回の視聴率は今世紀最高の42.2%。録画で見た人を加えると膨大なものになる。

こうして振り返ってみて、このドラマが2つの小説を原作としていたことに再度注目したい。やろうと思えば大阪編だけでワンクールの放送は可能だった。しかし、それだと「半沢」が実現した密度とテンポの物語展開は無理だ。それは北三陸編と東京編の2部構成で成功した『あまちゃん』にも通じる。1話に詰め込まれている話の密度が極めて高く、またスピーディだ。それなのにわかりづらくないし、置いてきぼりもくわない。それは脚本や演出のチカラであると同時に、視聴者の情報処理能力のおかげでもある。つまり、2013年の今を生きる我々が日々体験している現実社会の情報量とテンポに、「半沢」は見事に合致していたのだ。やはりドラマは社会を映す鏡のひとつだと、あらためて思う。

(月刊民放 2013年11月号)


今週の「読んで、書評を書いた本」 2013.11.11

2013年11月11日 | 書評した本たち

『60年代 蘇る昭和特撮ヒーロー』(コミックス出版)というムック本を入手。

ラインナップがすごい。

「少年探偵団」
「月光仮面」
「遊星王子」
「隠密剣士」
「少年ジェット」
「怪傑ハリマオ」
「まぼろし探偵」
「仮面の忍者赤影」
「恐怖のミイラ」
「マグマ大使」
「忍者部隊月光」
「ウルトラマン」
「ウルトラセブン」等々

いやあ、懐かしい番組ばかりだ。

そして、これ全部、リアルタイムで見てきた自分にも驚きます(笑)。




今週の「読んで、書評を書いた本」は、次の通りです。

広瀬洋一 『西荻窪の古本屋さん』 本の雑誌社

レナード・ローゼン:著、 田口俊樹:訳 
『捜査官ポアンカレ』 早川書房

歌代幸子 『慶應幼稚舎の流儀』 平凡社新書

永瀬隼介 『白い疵~英雄の死』 さくら舎 

中原英臣 『こんな健康法はおやめなさい』PHP研究所

押井 守 『仕事に必要なことはすべて映画で学べる』 日経BP社

* 書いた書評は、
  発売中の『週刊新潮』(11月14日号)
  読書欄に掲載されています。

産経新聞で、みのもんた&辛坊治郎「危機管理」について解説

2013年11月10日 | メディアでのコメント・論評

<関西の議論>
TVの不祥事対応
「みのもんた」と「辛坊治郎」の
危機管理の“差”はどこにあるのか

テレビ局員だった次男の逮捕で、「朝ズバッ!」などTBS系の報道2番組を降板に追い込まれたタレント、みのもんたさん(69)。現在もバッシング報道はあっても、擁護する声はタレント仲間を除いてあまり聞こえてこない。放送界に長年身を置き、業界流の処世術は熟知していたはず。今回のピンチを最小限に食い止める手立てはなかったのか。

“追い込まれた”感にじませる

「私がみのさんのブレーンだったら、とにかく『しばらく謹慎します』と頭を下げてもらい、とりあえず一定期間、表舞台から身を引いてもらったでしょう。結局はそれが信頼回復への一番近道なんです」
こう語るのは、危機管理にも詳しい某民放幹部。

みのさんが神奈川県鎌倉市の自宅前で取材に応じたのは、次男逮捕2日後の9月13日。この時「大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と頭を下げた。

だが、報道2番組への出演は自粛したものの、テレビとラジオのバラエティー番組は出演を続行。そうした中では「子供の不祥事に親の責任は及ばない」との主張を繰り返し、自身に否定的なコメンテーターにクギを刺すなど強気な一面ものぞかせた。

また、TBSの報道2番組降板発表を受け、先月26日に開いた記者会見では「責任は親の私にある」と“責任論”に関しては一転させたが、一方で「やめなければおさまらない風潮に感じる」「なんでこんなに騒がれるのかなと思った」と“追い込まれた感”をにじませた。その後も、一部大手紙や週刊誌で弁明を繰り返している。

「テレビの怖さ」熟知しているはずなのに…

たしかに、《子供の不祥事をめぐる親の責任》については議論の余地はなくもない。

だが、元テレビプロデューサーの碓井広義・上智大学教授(メディア論)は次のような疑問を呈する。

「テレビは“印象のメディア”。その強烈な印象でのし上がってきたプロ中のプロが、最初の囲み取材で感情をむき出しにしてしまった。逆転を狙った記者会見は芝居じみてさらに印象を悪くした。

みのさんは“公人”です。本人はこの騒動さえクリアすれば何とかなるとお思いになっているようだが、いったん印象を悪くすると、週刊誌で報じられているいろんな疑惑についても『事実なんじゃないか』と思われてしまう。テレビというのは本当に怖いメディア。そのことは本人が一番ご存じだったはずなのに…」


辛坊氏の対応とは対照的

こうした一連の会見で思い出すのが、6月に太平洋横断中のヨットで遭難したニュースキャスターの辛坊治郎さん(57)の例だ。事情はまったく異なるが、2度の記者会見で涙を流しながら、終了をうながす司会者を制して丁寧に回答。その後、雑誌連載は続けたものの、約40日間、表舞台から姿を消した。

前出の民放幹部は「辛坊さんは復帰時期が早かったとはいえ、本音でしゃべっていた。みのさんは会見の最後に次男に言い放った“バカヤロー”も計算がすけて見えた。どこか他人事なんですよ」。

碓井教授も「辛坊さんは自分の情けなさを正直にさらけ出した。そのあたりは視聴者もちゃんと見ています」と分析する。

“裸の王様”に?

ただ、みのさんをめぐっては芸能ライターのこんな声も。「男性マネジャーが病気療養で退き、昨年には最愛だった靖子夫人を亡くした。TBSでも昨年、みのさんに具申できた唯一の幹部が病に倒れた。文字通り“裸の王様”になってしまったんです。本音を言える人が周囲にひとりでもいたら…」

(産経新聞関西版 2013.11.09)