goo blog サービス終了のお知らせ 

碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

鈴木聡さんと「ラッパ屋」30周年に拍手!

2013年11月07日 | 舞台・音楽・アート

夕方、授業を終えて、新宿へ。

紀伊国屋ホールで、ラッパ屋の新作「ダチョウ課長の幸福とサバイバル」を観るためだ。

何しろ、第40回公演にして、劇団結成30周年記念公演であります。

メデタイ!

で、紀伊国屋ビルに到着したら、まずは腹ごしらえ。

迷わず、B1にある「モンスナック」。

このブログでも何回か書いたが、学生時代から、もう40年も通う
カレー専門店だ。

こういう、「通い続けてきた店」が現存しているのは、とても有難い。

学生時代と同じで、今日もポークカレー(一番安い650円)を注文。

この店に入る時はいつも、店主だった名物おばちゃんの姿を探してしまう。今はもう居ないのに。

こちらをジッと見るおばちゃんの目は、一瞬怖く感じられるが、その愛想の無さも居心地がよかった。

本日もまた、スープカレーのごとき、サラサラのカレーの表面にうっすらと浮く脂が食欲をそそる。

ごちそうさまでした。


さて、これで安心して4階のホールへ。

入口には、これまたいつものように、脚本・演出、劇団主宰者である鈴木聡さんが立っていて、お客さんをお迎えだ。



鈴木さんと短く談笑。

ちょっとキャメロン・ディアス似(笑)の、山家かおりプロデューサー
にも、ご挨拶。

お土産の「どら焼き」を手渡す。


観客席に入れば、大人が多くて、これまたホッとする。

「ダチョウ課長の幸福とサバイバル」だが、ダサイので、社内で
ダチョウと呼ばれている課長さんの話だ。

会社の同期、定年までの年数も見えてきた、おかやまはじめさん、
俵木藤太さんの場面で幕を開けるが、いきなり中高年には思い当たるネタで、場内はくすくす。

弘中麻紀さん、岩橋道子さんの「オーバー40」OLも笑える。

三鴨絵里子さん、例によって「お姐ちゃん」という字が似合う役柄で痛快。

大草理乙子さんも出てくるだけで、この母が、この家庭を仕切って
いるとわかる。

そして、「ラッパ屋といえば」という感じの木村靖司さんと、福本伸一
さんのお二人が出てくると、やはり嬉しい。

客演のラサール石井さんも、よくなじんでいました。

笑いの中に、しっかり大人の苦味もあって、さすが30周年記念
公演。

その30年のうち、私は1993年の「アロハ台風」からの20年間は、ぜ~んぶ観てきました。

終演後の福本さんの挨拶で「まだまだ、この先、30年やります!」
宣言にも拍手。

30年は無理だけど、ラッパ屋の公演と、私の命が続く限り(笑)、
何があっても観に行く所存です。


ラッパ屋「ダチョウ課長の幸福とサバイバル」は、紀伊国屋ホールで、10日まで。


週刊プレイボーイで、「ほこ×たて」やらせ問題についてコメント

2013年11月07日 | メディアでのコメント・論評

『ほこ×たて』で
やらせ演出が発覚した
フジ社員たちの言い分!

フジテレビの人気バラエティ番組『ほこ×たて』でやらせ演出が発覚した問題について、当のフジテレビ社員たちの間でも賛否の声が上がっている。

事の発端となったのは、同番組のスペシャル放送(10月20日)で行なわれた「スナイパー軍団vsラジコン軍団」。ラジコンヘリ、ラジコンカー、ラジコンボートを操る3人と、スゴ腕スナイパー3人による勝ち抜き戦で、放送では最後にラジコンボートが3人抜きをするドラマチックな展開だった。

だが、放送後にラジコンカーを操縦していた広坂正美氏がホームページ上でやらせ演出を告発。意図的に対決順を入れ替えていたほか、ラジコンカーも反則で撃ち抜かれたものだった。

また、同時に過去のやらせ演出にも触れており、2011年10月放送の「鷹vsラジコンカー」では鷹が追いかけやすいようにゆっくりと車を走らせ、昨年10月放送の「猿vsラジコンカー」でも猿の首に釣り糸を巻いて車を追いかけさせたという。

テレビ評論家の今井舞氏はこう憤る。

「『ほこ×たて』は深夜番組からゴールデンに昇格して以降、派手な演出に頼り、中身を水増ししていた。やっぱりなという印象」

これに対し、フジ社員たちの反応はというと……。

中堅ディレクターA氏が語る。

「正直、対決の順番を入れ替えたり、ゆっくりと車を走らせてもらうぐらいのことは日常的に行なわれている演出のひとつ。これをやらせと言われたらキツい。ただ、ラジコンカーを強引に負けさせたことと猿の一件はやりすぎ。モラル的に許されないでしょう」
一方、若手社員B氏はこう話す。

「フォローが甘かったんだと思う。過去に2回、ラジコンの人が“過剰な演出”を受け入れてくれたから、今回も大丈夫だとタカをくくっていたんじゃない? 丁寧に交渉すれば、こんな結果にならなかったはず。もったいない」

まるで運が悪かったと言わんばかりの口ぶり。ふたりともどこか他人事(ひとごと)である。

やらせといえば、07年に下請けの制作会社がデータを捏造して打ち切りになった『発掘!! あるある大事典Ⅱ』(関西テレビ制作)が思い出されるが、『ほこ×たて』も制作会社に丸投げだった。

「現場が演出に頼りたくなる気持ちはわかります。今のバラエティ番組は、スタジオ収録に合わせてロケが組まれることが多い。それまでにネタを決め、ギリギリのスケジュールで撮影しないといけないんです。特に今回はアメリカまでロケに行っているから、制作会社としては『面白いものが撮れませんでした』とは絶対に言えない」(ある番組制作会社社員)

それにしても、フジテレビはここ最近、パッとしない。今年8月に放送された『FNS27時間テレビ 女子力全開2013』の「生爆烈お父さん」コーナーがBPO(放送倫理・番組向上機構)で問題視された。

「10年まで7年連続で視聴率三冠王だったのに……。今思えば、ケチのつき始めは11年の(韓流偏向)抗議デモだったのかな。あのとき、まともに対応していれば、ここまで嫌われることはなかったはず。当時は社内の誰もが、あれを視聴者の声だと思っていなかった」(前出・A氏)

上智大学新聞学科(メディア論)の碓井広義(うすい・ひろよし)教授が指摘する。

「フジの番組作りを見ていると、いまだに自分たちが時代をリードしていると勘違いしていて、さらに視聴者を見下しているフシがある。今回のやらせが顕著な例。過去の栄光にすがり、成功体験の権化みたいな人たちがトップに居座っている限り、体質はまだまだ変わらないんじゃないでしょうか」


(週刊プレイボーイ 2013.11.18号)

週刊現代で、木村拓哉「安堂ロイド」についてコメント

2013年11月07日 | メディアでのコメント・論評

視聴率ヒトケタ目前
木村拓哉『安堂ロイド』に死す!
なぜ大人の男は
キムタクが苦手なのか

木村拓哉(40歳)が天才物理学者と100年後の未来から来たアンドロイドの二役を務める『安堂ロイドA.I.knows LOVE?』(TBS系・日曜21時)がいま、ちょっとした社会現象になりつつある。

ドラマが放送されるたびに、ネット上に実況板(ドラマを見ながら感想を書き込む掲示板)が濫立し、そこに大量の書き込みがなされているのだ。

ただし、それはドラマの出来がいいからではない。

〈デビューしたての俳優がやる特撮を、知名度の高い芸能人で固めてやっているみたいな内容〉

〈キムタクドラマを20年間欠かさず見てきた母が、開始20分で寝ました〉

〈そもそもキムタクが「キムタク」しか演じられないのは、本人も制作側もわかってるでしょ。それでも、「キムタクを演じてください」っていうオファーが絶えないってことを象徴しているようなドラマだね〉

書き込まれているのはこんなコメントばかり。このドラマを見た大半の人は、批判を通り越して失笑しているのである。

当然、視聴率も急落している。初回こそ視聴率19.2%(ビデオリサーチ調べ・関東地区・以下同)と上々の滑り出しだったが、第2回は15.2%、第3回は13.2%と急降下。もはやヒトケタも目前である。

上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)が言う。

「柴咲コウさん演じる婚約者を守るために、未来から送り込まれたアンドロイドが、机の引き出しから登場して、敵のアンドロイドと撃ち合いや肉弾戦を繰り広げる。そんな『ドラえもん』と『ターミネーター』を合わせたようなストーリーを見たとき、無理がありすぎると感じました。

実社会での木村さんはすでに2女の父で40歳。もっと自分の年齢に見合った、大人の男を役柄に選ぶべきだった。企画が木村さんにはまっていないこと。それが今作の一番の間違いではないでしょうか」


大人が演じるにはあまりにも幼稚。そんなキムタクの役柄を象徴するシーンがあった。

第1話、未来からやってきたキムタク扮するアンドロイドは、婚約者を守って必死に戦う。しかし旧タイプのアンドロイドであるキムタクは、最新型である敵にまったく歯がたたない。敵の強力なパンチを浴び、まるでアンパンマンに殴られたバイキンマンのようにキムタクは天高く吹っ飛ばされる。そして真っ逆さまに落下し、屋根を突き破って叩きつけられる。

このシーンが流れた瞬間、実況板には〈これはコメディなんでしょうか〉、〈よくこんな役を引き受けたな〉、〈どんな気持ちで演じているんだろう〉といったコメントが溢れた。


   *この後、映画評論家の白井佳夫さんや、
    日本テレビ元エグゼクティブプロデューサーの 
    佐藤孝吉さんのコメントが並んでいます。

    そして、この特集記事の最後は、
    次のようにまとめられていました。


テレビ関係者が「キムタク以外だったら『安堂ロイド』はとっくにヒトケタ」と口を揃えるように、キムタクにまだ一定数の固定ファンがいることは事実だ。

しかし現状維持を選べば、キムタクといえど、『安堂ロイド』とともに消えていくことになる。

(週刊現代 2013.11.16号)