碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「GO HOME」小芝風花の笑顔と熱量

2024年08月07日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

小芝風花の笑顔と圧倒的な熱量

「GO HOME~警視庁身元不明人相談室~」

 

毎年、東京都内で亡くなり、身元が分からないご遺体は約100体あるという。対応しているのが警視庁本部に設けられた「身元不明相談室」だ。  

小芝風花主演「GO HOME~警視庁身元不明人相談室~」(日本テレビ系)のモデルとなった実在の部署である。

三田桜(小芝)は、この相談室所属の捜査官。10歳上の同期である月本真(大島優子)とコンビを組み、身元不明の遺体を家族など関係者の元へ帰す仕事をしている。

これまでに白骨の人体模型にされていた行方不明のバスケット選手や、アパートで変死していた身元不明の老人などと向き合ってきた。

先週、登場したのはバイク事故で亡くなった大学生だ。彼には集団強盗事件に関与していた疑いがあった。

だが、その理由を探っていくと、命がけで友人を救おうとしていたことが明らかになる。

当事者が身元不明人となった背後に何があったのか。そして帰るべき場所はどこなのか。それがこのドラマのキモだ。

いわゆる刑事ドラマのような殺人や追跡や犯人逮捕といった派手な見せ場はない。また、桜の「亡くなった人」への強すぎる思いも、おせっかいと紙一重かもしれない。

しかし、市井の人たちを深い悩みや葛藤から救うヒューマンドラマとして、見る側を揺さぶるものがある。物語をけん引しているのは、小芝の笑顔と圧倒的な熱量だ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.08.06)