碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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優れた海外ドラマのような、「MOZU~百舌の叫ぶ夜~」

2014年04月16日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、TBS「MOZU~百舌(もず)の叫ぶ夜~」について書きました。

期待に背かない内容で、2回目以降も必見の1本になりそうです。


「MOZU~百舌の叫ぶ夜~」TBS
優れた海外ドラマのようなしっかりした骨格を
俳優たちが見事に体現化している

春ドラマの真打ち登場と言っていい。TBS「MOZU~百舌(もず)の叫ぶ夜~」(木曜夜9時)。12年の「ダブルフェイス」と同様、WOWOWとの共同制作である。

東京の銀座界隈で爆発が起きる。テロの可能性が高い。爆弾所持者と思われる男(田中要次)と、現場に居合わせたという公安の女性刑事(真木よう子)の関係は不明だ。

また犠牲者の中に元公安で現在は主婦の千尋(石田ゆり子)がいた。その夫は公安部特務第一課の倉木(西島秀俊)だ。妻の死の謎を解くべく動き出す倉木。捜査一課の大杉(香川照之)も独自の捜査を進めていく。

テロ組織vs.警察、刑事部vs.公安部、西島vs.香川などいくつもの対立軸があるが、それをさばく脚本(仁志光佑)と演出(羽住英一郎)の手際がよく、飽きさせない。

「ダブルフェイス」もそうだったが、優れた海外ドラマのようなしっかりした骨格を、俳優たちが見事に体現化している。

さらに繁華街の爆発現場、けが人が収容される病院なども予算と人員を投入して手抜きがない。

感心するのは、捜査本部となった大会議室の片隅に水とコーヒーのサーバーが置かれていたことだ。しかも残量がわずかで使用感がある。

ほんの一瞬しか映らないし、アップになるわけでもない。しかし、こうした細部もまたドラマのリアリティーを下支えしているのだ。

(日刊ゲンダイ 2014.04.15)