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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

成功体験による巨艦大砲主義の新番組「アイアンシェフ」

2012年10月31日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評
雑貨屋さんで、つい購入(笑)


日刊ゲンダイに連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週、取り上げたのは、フジテレビ「アイアンシェフ」だ。

今どき珍しい、バブリー臭充満の“新番組”だった。

贅沢に見えるセット。

一般市民にとっては敷居の高そうな料理店。

そこで腕をふるう、一流といわれるらしい料理人。

彼らが作る、贅沢と思われる食材を使った、贅沢そうな料理。

それを、「私たち美食家は味がわかるから」という“したり顔”で
食べるセレブ風審査員たち。

2012年の今、視聴者は、何が悲しくて、そんな光景を、テレビの
こちら側から眺めていなくてはならないのか。


下の原稿を書き送った時点では、まだ数字は出ていなかったが、
豪華2時間スペシャルに仕立てた初回の視聴率、10.7%。

フジテレビ側の皮算用の半分だろう。

あまり視聴者を侮ってはいけません(笑)。


「アイアンシェフ」
“凱旋帰国”と豪語していたが・・・

フジテレビが鳴り物入りで“復活”させた「料理の鉄人」、いや「アイアンシェフ」。26日にその1回目が放送された。フジは記者会見で、単なるリメイクや逆輸入ではなく「凱旋帰国」と豪語していたが、そうは見えなかった。

確かに変わった点はある。かつての鹿賀丈史に代わって勝負を仕切るのは玉木宏だ。当然、鉄人たちも審査員も当時とは違う。

しかし「キッチンコロシアム」という舞台が象徴するように、基本的な中身は同じだ。一定条件の中で料理人を競わせ、それを過剰ともいえる演出でショーアップすることに尽きる。

成功した過去の番組が語られる時、最高視聴率など「よかったこと」のみにスポットが当たる。一方、その番組が衰退し淘汰されていった理由に触れることはない。

はっきり言って、「料理の鉄人」も中期以降はあまり感心しなかった。その最大の理由は審査員にある。途中から芸能人が目立ち、当の料理人はもちろん視聴者も「あんたに言われたくないよ」とツッコミを入れたくなったのだ。

今回もその感が強い。秋元康や林真理子などに混じって、明らかに映画の宣伝のために出てきた周防正行・草刈民代夫妻や伊藤英明が審査しているのは一体何なのか。岸朝子や平野雅章などが、専門家としての名前を賭してジャッジしていた姿が懐かしい。

(日刊ゲンダイ 2012.10.30)





さてさて、プロデュースしたドキュメンタリー「テルミヌス神と美の匠たち〜駅と街の記憶」。

北海道で、このあと午前2時前から(笑)放送です。

2012年10月30日(火)
25時58分~26時53分(55分)

札幌テレビ(NTV系)

「テルミヌス神と美の匠たち〜駅と街の記憶」


札幌駅には、ギリシャ神話の「テルミヌス神」をテーマに創られた作品が多くある。作品に込められた芸術家の想いと創作風景を織り交ぜながら、普遍的な「駅」のあるべき姿を探っていく。

出演: 流政之、田村能里子、八鳥治久、五十嵐威暢、臼井幸彦

撮影・ディレクター: 藤島保志

プロデューサー: 碓井広義

制作: アウンビジョン