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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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TBS&WOWOW共同制作ドラマ「ダブルフェイス」が面白い

2012年10月24日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週は、TBSとWOWOWの共同制作によるドラマ「ダブルフェイス」を取り上げました。

“オトナの男のための1本”と自信をもっておススメできます。


TBS&WOWOWの
“ダブルフェイス”が面白い!

ヤクザ組織に潜り込み、幹部となっている刑事(西島秀俊)。優秀な警察官でもあるヤクザの潜入員(香川照之)。

そんな男たちの暗闘を描いたのがTBSとWOWOWの共同制作ドラマ「ダブルフェイス」だ。そのTBS版「潜入捜査編」が、15日に放送された。

冒頭は、急な雨から逃れてビルの軒先で一休みする2人の男だ。互いの素性も知らないままの、一瞬の遭遇と別れ。その表情とたたずまいが、これから始まる物語を予感させる、実にいいシーンだ。

このTBS版は大きな麻薬取引を軸に展開されるが、本当の身分を隠した2人の動きがスリリングで目が離せない。特にヤクザと警察官の境界が見えなくなった西島の苦悩が濃厚に表現されている。

もちろん香川も負けてはいない。あくまでも冷静に警察を裏切り続ける男を、役に溶け込んだかのように演じている。

2人の男優を支えるのは羽原大介(映画「フラガール」)の脚本と「海猿」の羽住英一郎監督だ。

組織の中の個人にこだわることで、原作映画「インファナル・アフェア」とも、そのリメイク「ディパーテッド」とも異なる独自のドラマとなった。

香川が中心の「偽装警察編」は27日にWOWOWで放送予定。未加入者の「そんなあ~」という反応も狙い通りだろう。 2つの局による“ダブルフェイス”な試み、まずは成功といえる。

(日刊ゲンダイ 2012.10.23)