『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

◎道傳・高橋・草野/NHK女性アナウンサー列伝抄:(6)最終回 

2013年02月25日 20時30分35秒 | ■人物小論

 道傳 愛子

  現在は、「解説委員」の道傳愛子(どうでんあいこ。1965年生)さん。

 声には、“穏やかで落ち着いた静けさ” があり、加えて “シャイな感じの柔らかさ” を持っています。

 ことに、ひと段落ついたときに見せる「囁き口調」に、この人独特の “いっそう低いトーンが混じり、成熟した女性らしさ” がさらに感じられます。

  もともと、ニュース原稿をどんどん読み進めるタイプではないようです。もちろん、そこがこの人の魅力でもあるわけですが、『ニュース7』のキャスターを、1999年3月からちょうど1年間務めました。

 一時期、バンコク(タイ)の特派員となり、「ワールドニュース」のレポーターとして、アジア情勢を伝えたこともあります。

 ゆったりと構えた表情と仕草に、剣道をされていた〝気〟のようなものが漂い、加えて、情報の最先端を行く「特派員」という雰囲気が、大変よく出ていました。

 現在の「解説委員」は適任かもしれません。

 ともあれ、全体のイメージも “これぞNHK” といえる雰囲気の方でしょう。

 

  高橋 美鈴    

  初めて高橋美鈴(たかはしみすず。1971年生)さんの声に接したのは、『美の壺』という美術番組がスタートした2006年春でした。

 “しっとりとした静謐で柔らかいナレーション” に、一瞬にして魅了されていました。

 正直に告白すれば、番組が終了した後も、しばらくその余韻に浸っていたほどです。

   加賀美さんや山根さんのような「骨太の声」に多く接していたため、筆者にとって “その一瞬の高橋さんの声” は、別次元のものでした。それほどの衝撃であり、また感動だったのです。

   当時の『美の壺』の主人公(司会)は、元クレージーキャッツの谷啓氏であり、そのコミカルな「語り口」や「動作」と、高橋さんの “囁く” スタイルのナレーションとがよくマッチしていました。NHKの人選や演出の巧みさを、あらためて痛感したものです。

  ことに番組3回目の『アール・ヌーヴォー』は、垂涎の的ともいえる「エミール・ガレ」や「ドーム兄弟」のガラス細工特集――。

 それだけに彼女のナレーションは、もうこの人以外にはないと思われるほど適任でした。その “ほんのりした甘さ” に、“清潔感に包まれた艶” を感じさせるしなやかな声……。

 「壊れやすいガラス細工」と、高橋さんの、これまた〝壊れそうなほど繊細で優美な囁き〟とが、和歌や俳句における独特の「匂いの移り合い」を感じさせたほどです。

 それに加え、一貫して流れるBGMのジャズも、とてもよくフィットしていました。その「テーマ曲」は、今もジャズ界のポピュラーといわれる「モーニン」です。選曲のセンスが素晴らしい。この回の照明や音響は、特に印象深く憶えています。

 いつもよりも「絞った照明」に「緩くしたBGMのテンポ」。さすがNHK。

        

 草野 満代

   草野満代(1967年生)さんは、ご存じのように元「NHKのアナウンサー」でした。 

 朝のニュース番組を担当していた頃、よく観た記憶があります。年齢の割には落ち着いて見え、ニュースを読む口調に、ひときわ勢いと弾みがあり、その抑制の効いた力強さと調べのよさに、グイグイ惹きつけられたものです。

 冷静沈着さが、際立った印象として残っているのは、彼女の個性だったでしょうか。それとも、当時のNHKの既定方針だったのでしょうか。とにかく、「清新な朝のニュース」にピッタリの〝弾みと抑制〟が効いた印象を持ちました。

   NHK退局後は、『筑紫哲也NEWS23』において、キャスター・筑紫哲也氏のサブを務めたわけですが(1997.9~2006.9)、筑紫ファンの筆者は、この番組を楽しみに観ていました。

 必然、「サブ」の草野さんを観る機会も多く、彼女の優れた面をさらに感じる機会となったようです。

  ある意味、筑紫氏が彼女を育てたのは確かですが、同時に彼女が筑紫氏を引き立てまた深化させたのも確かです

 個人的には、やはり「アナウンサー」として堂々と自信を持ってニュースを読み上げる表情が一番魅力的であり、また〝得も言われぬ気品と成熟した女性の魅力〟が発揮されていたように思います。

  この草野さんの後任が、同じNHK出身の後輩、膳場貴子(ぜんばたかこ:1975年生)さんでした。

            ★  ★  ★

      

  「NHK」と「民放」との “絶対差” は、基礎訓練の差?!

  筆者が「NHKのアナウンサー」が好きな理由は、初回にも述べたように、

 第1に、アナウンサーとしての「基本」がしっかりしていることでしょう。やはり、まずは「発音」つまりは「音としての言葉」の明瞭さであり、「言葉のフィーリング」を大切にしているかどうかでしょう。

   私見ですが、「NHK」のアナウンサーの方は、想像もつかないほどの「厳しい訓練」を受けているのではないでしょうか。「民放」と比較するとき、そう思わせるほどの “絶対的な差” を感じるから です。それはつまりは、「新人時代」における基礎訓練の“質・量”の違いかもしれません。

   第2の理由は、やはり知性品位であり、

 第3は、洗練された物腰ということでしょうか。「一人の女性」としてみても魅力的であり、内に秘めた麗しさが自然に滲み出ているような気がします。

            

   ちょうどこの頃、ある民放の「の番組」の中で、女性アナウンサーが「ニュース」を読み上げ始めました。筆者は、そのときの彼女の姿に驚いた事があります。

 彼女は、茶髪系の髪に真っ赤な口紅、そして直径が5,6cmもあるリングのイヤリングを、ぶらぶらさせながら原稿に目をやっていました。その彼女が、その民放局のエース級と聞いて、二度びっくりしたことがあります。

 ディレクターやAD他、たくさんのスタッフが見守っていたと思うのですが。「バラエティ」番組ならまだしもと、不信と疑惑が残りました。

 ことに、当該女性アナウンサーの外見だけでなく、肝心のニュースの「読み上げ方」や「発声・抑揚」についての疑問もあっただけに、釈然としない出来事でした。

            

  とはいえ、もちろん 「民放」にも、魅力的で優れた女性アナウンサーは多いようです。しかし、その「素晴らしさ」が充分に発揮されていないような気がします。

 独断ですが、「民放」は「アナウンサー」を安易に「芸能タレント」扱いしているような気がしてなりません。「アナウンサー」として真剣に育てる意志があれば、もっと違った起用の仕方があるように思うのですが。

            

 

 アナウンサーを活かしきるNHK

  今回、久しぶりに真剣に「テレビ」を観ることになったわけですが、そこで「NHK」という「放送局」に関して強く感じたことがあります。

  それは第1に、番組の性格やイメージに即した「アナウンサー」(キャスター、司会など)の「人選に優れているということです。

  第2に、登場させた「アナウンサー」をよく“活かしきっている” ということでしょうか。高橋美鈴さんのところで触れたように、語りを「囁き口調」にし、BGMにモダンジャズを配したのもその表れです。その基本方針は、無論、他の番組にも見られます。

   「NHK」から「民放」に移ったアナウンサーに対し、多少の “違和感” を覚えるのは、以上の「裏返し」といえるのかもしれません。

 『なぜ “NHKにいたあのアナウンサー” が、このような番組の司会をしているのだろうか?』、

 『なぜあのような番組進行をしているのだろうか?』

 と言った疑問を抱いたことはありませんか?

  少なくとも筆者は、NHKの番組についてそのように思ったことはありませんでしたが……。 (

 

           ★★★ 美しき…… ★★★  

   ――あたくし思うの。高橋アナウンサーって、趣味は茶道にお芝居の観劇……。それに、そうそう、一人で着物を着ることがおできになるそうよ。また、リフレッシュのために旅に出たり、「美術館」でゆったり過ごしたり……。

 まるで「感性」が誰かさんとピッタリなのね。ひときわ上品で穏やかで、それに何~んたって、美人でいらっしゃるし……。 

   あれっ? もしかして、もしかしてって……こと? 道傳さんも草野さんも、そして渡邊さんや有働さん、石井さん……。さらには、加賀美さんも山根さんにしても……みなさん “美しき熟女”……ってわけなのね。

  そうなんでしょ? ねえ? 聞いてる? ね~え? ねえってば…….。

  あれっ? 眠ちゃったの?

 

 ◎2020年12月3日午前 加筆修正 花雅美秀理 

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◎渡邊・有働・石井アナ/NHK女性アナウンサー列伝抄:(5)

2013年02月21日 21時17分26秒 | ■人物小論

 

  加賀美・山根のビッグ2に続く、渡邊・有働・石井さん

   加賀美幸子さんと山根基世さんの「ビッグ2」に続くNHKの女性アナウンサーは? 

 ……となれば、個人的には渡邊あゆみ(わたなべ)さん、有働由美子(うどうゆみこ)さん、それに、あまり知られていないかもしれませんが、石井かおるさん、道傳愛子(どうでんあいこ)さんでしょうか。

 「元NHK」となれば、草野満代(くさのみつよ)さんを外すことはできません。

  筆者はほとんどテレビを観ません。それでも今回ばかりは、この「シリーズ」を書き上げるため、NHKのみならず「民放」各社の女性アナウンサーもチェックしました。  

 ことにNHKについては、各曜日の主だったTV番組にひととおり眼を通したつもりです。ラジオも例外ではありませんでした。

 

                  

 渡邊 あゆみ

   渡邊あゆみ(1960年生)さんは、姓が「久能木(くのき)」、「黒田」、そして「渡邊」と変わったようです。現在、『歴史秘話ヒストリア』のナビゲーターを担当しており、先週は「和宮降嫁」に関する秘話でした。

    渡邊さんは、“無造作に言い切る” 喋り方が特徴です。それはときに、“愛想のないぶっきら棒” な印象を与えるかもしれません。声の質が “低く、太い” ため、言い終わった後の余韻が、あとあとまで残りやすいと言えるでしょう。

 ……と、こうして原稿を綴っているだけで、彼女の声が筆者の脳髄に響いています。その印象度の強さたるや、半端ではありません。といっても〝別格の加賀美さん〟には叶いませんが。

   やや籠りがちな感じの独特な “ひびき” も、この人ならではの特色であり、声の印象度という点では、現役のNHK女性アナウンサーの中でも一、二でしょうか。

 “声の老(ふ)け” を感じさせない、大変エネルギッシュな人です。

   どんなジャンルのナレーションも器用にこなす人のようですが、筆者的には「中国史」をはじめ、アジア系歴史物のナレーションなど面白いような気がします。

             

 有働 由美子               

   一時期、特派員としてニューヨークにいた有働由美子(1969年生)さん――。

 つい最近、民放各社にNHKを加えた「女子アナ人気ランキング」において「ベスト3」にランクされ、NHKではトップでした。

 関西出身だけあって、気さくで明るく、男性的な骨太キャラクターの印象を与えます。 

  しかし、実像は案外(…といったら失礼かもしれませんが…)真の女性らしさを湛(たた)えた繊細な感性の人なのかもしれません

 現在、有働さんは『あさイチ』という番組の「キャスター」を務めています。その番組は、気さくな感じの軽いノリがコンセプトのようです。彼女が、自分を律しながら番組の雰囲気づくりに心を砕いている様子が判ります。

   「紅白歌合戦」の「総合司会」等を担当することもあるようですが(ちなみに筆者はこの十数年、同番組は観ていません)、「ナレーター」としての技量もなかなかのものです。

   もう十年以上になるでしょうか。番組のタイトルも内容もほとんど憶えていませんが、有働さんのナレーションによる  “川の流れや川土手の殺風景な様子を描写した表現”  に、深い感動を覚えたことがあります

   彼女が「三十歳代前半」のときですから、おそらく今よりも「高い声」だったのでしょう。しかし、そういう印象はまったくありません。とても落ち着いた低い声で、彼女自身が実際に眼の前でその光景を観察しているかのような訴求力がありました。

    いかに優れたNHKのアナウンサーとはいえ、そうそう誰にでもできることではありません。原稿の文章が素晴らしかったのは事実ですが、彼女の高い美意識や感性の賜物でしょう。

                ★

 石井 かおる

  石井かおる(1963年生)さんも、昔から注目していた一人でした。

 20数年前、彼女の名前を初めて知ったのは、森林事業者に関する数分間のナレーションでした。

 おそらく石井さんが二十歳代半ばの頃ではなかったでしょうか。現在よりも、少し「高く弾んだ声」であったのは確かです。

  ナレーションが終りに近づいたときでした。画面に登場した森林関係者の名前を告げ、優しく問いかけるようなシーンでした。彼女が画面に登場したわけではありませんが、一段と “澄んだ清浄無垢な声” が、背景の森林とよくマッチしていたように記憶しています。

 深く心に沁み入る “自然体” のナレーションであり、しかも〝少しも気取った感じ〟や〝身構えた感じ〟がなかったのです。そのため、聴き手の心の奥深いところまでスムーズに伝わって来ました。

  ついこの間まで、『あさイチ』のレギュラーでしたが、現在は金沢放送局勤務なのでしょうか。

 数年前、教育テレビの「俳句講座」の司会を担当。俳句大好き人間の筆者は、ビデオに撮ったりして欠かさず観ていました。番組の性格もあったのでしょうが、「言い終わった後の余情」のようなものを感じ取ることができました。

 それが親しみを帯びたものだけに、いっそう印象深く耳に残ったことを覚えています。

  間もなく五十代に入る石井さん。“充分な声量に、太くて粘りのある弾んだ現在の声” は、「加賀美幸子系」と言えるでしょう。

 つまり、これから先が楽しみです。個人的には、彼女による芭蕉の『おくのほそ道(奥の細道)』の朗読……など。贅沢な願いでしょうか……。(続く

 

  ◎2020年11月30日 午後 加筆修正 花雅美 秀理

   

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・現代史ナレーションの山根基世/NHK女性アナウンサー列伝抄:(4)

2013年02月12日 21時28分03秒 | ■人物小論

 加賀美幸子調「朗読」の真髄

 先週土曜日の『古典講読:平家物語』……いかがでしたか? 今回も「一の谷の戦い」でしたね。笛に長けた紅顔の美少年・平敦盛(たいらのあつもり)が、源氏方の熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)に討たれるという、これもまた有名な場面でした。

  それを加賀美幸子さんの朗読で……。充分、堪能されたことでしょう。加賀美調独特の “自然流自然体” であり、声の強弱・高低・速度が、繊細な心配りで使い分けられていましたね。上手いとか、凄いとか……そういうけ形容を遥かに凌駕しています。

 それにしても、生命力溢れる堂々とした朗読。……あれが72歳の方の声でしょうか。驚きとしか言いようがありません。辺りを圧する朗々とした声と響き……。全身に伝わって来ました。まさに圧巻の朗読といえるでしょう。

                 ☆

  その日、筆者は番組が始まる夕刻5時が待ち遠しく、いそいそと部屋の中を片付け、あとはひたすら待っていました。ラジオが告げる午後5時――。感動の瞬間が訪れ、まさしく、“そのとき歴史が動いた” のです。

  自室において、これほど真剣にラジオを聴くなど、何十年ぶりでしょうか。……そうです。ラジオに対する筆者の歴史が、革命的と言えるほど大きく変化し始めたのです。

  お聴きになった方は気付かれたでしょう。

  朗読中はもとより、その前後においても、いっさい「音楽」いや「」が入らなかったということを。さすがはNHK。あるべき「朗読のスタイル」を、そして何よりも「朗読者・加賀美幸のすべて」を、とてもよく弁(わきま)えた企画・演出そして編集でした。

  何と言っても加賀美さんご出身の局ですからね。朗読者の特性をよく心得ていたというべきでしょうか。

   思うに、このような場合の「音響」や「効果音」は、「奏でたり、付ければいい」というものではありません。その点、NHKの専門技術スタッフや企画デザイナーの方々は、実にレベルが高いと思います。

 こういうところにも、民放・民間との圧倒的な絶対差を痛感します。

            ★

 

  山根基世さんのドキュメンタリー

  「朗読の名手」が加賀美幸子さんとすれば、「ナレーションの名手」は、山根基世さんでしょうか。とはいえ、これはあくまでも「朗読」と「ナレーション」のいずれか一方をという「比較」によって導かれたものです。

  無論、加賀美さんも山根さんも、「朗読」であれ「ナレーション」であれ、“名手中の名手”ということに変わりはありません。しかし、“世間一般” は、何かとお二人を “対照的に描きたい” ようです。無論、筆者もその世間一般を構成する一市民です。

             ☆

  山根基世さん(1948年生)も加賀美さん同様、際立った声の質と伸びを持っています。それに加えて女性らしい独特の、“高音をブレンドした柔らかさや色っぽさ” とでも言うのでしょうか。

 低い声のような、そうでないようなトーンと言えるかもしれません。元NHKアナウンサーの草野満代さんも、同じような “しっとりとした、上品で柔らかいお色気” を滲ませたトーンのような気がします。

  ともあれ、高い教養と品位に支えられ、年齢相応の落ち着きを伴った山根さんの響き……。『新日曜美術館』でのナレーションも素晴らしいのですが、「ドキュメンタリー」物にいっそう適しているような気がします。

  ことに「現代史」の一面をとらえた『映像の世紀』のナレーションに、そのことを痛感しました。筆者のような団塊世代からすれば、「山根基世ナレーター」に、同じ時代を生きて来たという、仲間意識のようなものが働くのでしょう。

 一語一語噛みしめるような語り……。自らの時間を投影させるかのような、それでいて、決してその “映像の世界” に入り込まない傍観者の視点……。

  無論、それは番組の狙いであり、演出ではあるのでしょうが……。伝える側の客観的なスタンスを維持するためにも、不可欠なのでしょう。

 しかし、ナレーターの山根さん個人の感情や意識、躊躇や困惑といったものが、“隠し味” として効いているような……そういう雰囲気が感じられます。アーカイブとして永く残る優れた番組です。

             ☆

  加賀美さんと山根さんを比べると、前者は「」、後者は「」という雰囲気でしょうか。本シリーズの(1)で述べたように、加賀美さんは “日本のお母さん” であり、“日本のこころの郷愁” です。

  そうなれば山根さんの方は……。強いて言うなら、“現代史のメッセンジャー” と言えるのかもしれません。それも決して「日本史」や「東洋史」ではなく、「西洋史」というイメージが色濃く感じられます。

            ★

  筆者の勝手なイマジネーションによれば、1919年、ドイツのヴァイマールに設立された『バウハウスBauhaus)』の「歴史」を紐解く「案内人」など、いかがでしょうか。

 建築家と建築・美術・デザイン、さらには同校で研究・指導された幅広い芸術全般に関するナレーションなど……。もちろん、この『バウハウス』が、ナチスの圧力を受けながらも、その存立のために格闘し……しかし、ついには1933年に「閉校」に追い込まれた真実などについて……。

  たった14年間の活動期間にもかかわらず、『バウハウス』がどれだけ、この世紀に、そして世界に……建築に、美術に、芸術に……“確たる美と永遠” なる可能性をもたらしてきたか……。

  こうして綴りながらも、鳥肌が立ってきました。

  超至急! 求む! 某局文化関係の「プロデューサー」及び「ディレクター」各位!  〝山根基世とたどるバウハウス〟の制作を!続く

 

                ★   ★   ★

 

  演劇のごあんない

    2012年度九州大学演劇部 後期定期公演

       「ボクサァ」> 作:高橋いさを  演出:石松紘宇

<日時> 2013年2月23日(土) 開演 14:00 (開場 13:30)
                      開演 18:00 (開場 17:30)
                24日(日) 開演 13:00 (開場 12:30)


<場所> h732シアター 〒811-2202 福岡県糟屋郡志免町志免2-27-16 ヒミツ基地732.       

       TEL. 092-936-7732. 座席数. 70. アクセス. 1)西鉄バス 志免バス停より徒歩7分.
<交通> 西鉄バス 福岡空港バス停よりバス15~17分(運賃300円)

       志免バス停下車から徒歩7分(当日は案内を用意させていただきます)

 
<内容> アパートの一室に集まった5人の友人達。
       その部屋の真下にはボクサァが住んでいるらしい。
       話をしているうちに次第に膨らむボクサァへの妄想、
             ボクサァに対抗すべく策を練る5人。
       最後に彼らに待っているものとは・・・

<料金> 前売り・予約300円 当日500円
<ご予約・お問い合わせ> 九州大学演劇部・酒井 09011967569
       abysskyuen@yahoo.co.jp
       ※メールでのご予約の際は、お名前、希望枚数、希望日程を
        明記のうえお送りください。
 
<九州大学演劇部公式HP> http://kyu-en.readymade.jp/
             「Ichibell」で検索すれば見つかります。

<Twitter公式アカウント>@kyu_en

    ★   ★

   部員一同、ご来場お待ちしております。

   九州大学演劇部 制作 酒井絵莉子
   公式サイト:http://kyu-en.readymade.jp/
   メールアドレス:abysskyuen@yahoo.co.jp
 
    ★       ★       ★

   今宵のサービスとして、女性ジャズ歌手・ジュリー・ロンドンの歌(曲目「ミスティ」)を。

  ◆Julie London―「Misty」http://www.youtube.com/watch?v=oPnh2sa4Fek

 

 

 

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・加賀美幸子の『平家物語』/NHK女性アナウンサー列伝抄:(3)

2013年02月07日 19時43分04秒 | ■人物小論

 

  NHKラジオ2「古典朗読」の『平家物語』

  先週2月2日の土曜日の夕方――、筆者はスーパーでの買物を終え、あと数分で自宅に到着するところでした。何気なくラジオの周波数を変えたそのとき、カーラジオの時報が5時を打ち、「NHK文化講座(ラジオ第2)」の「古典講読」という番組が始まりました。何とその案内の「ナレータ―」は、加賀美幸子さんでした。もちろん、第一声ですぐに判りましたたが、ほぼ1年ぶりに耳にする声でした。

  「平日」のこの夕刻、筆者は学校帰りの愛車の中。NHKをはじめ、ニュースや時事系の番組を何となく聞いています。しかし、授業がない「土・日の夕方5時」に、車を運転することも、ラジオを聞くこともありません(自宅でラジオを聞くことは皆無)。

  番組タイトルの『古典講読』……作品は『平家物語』……そして、「朗読者」は憧れの加賀美幸子さん……。ああ! 何と言う幸せな巡り合せ。これを“僥倖(ぎょうこう)”と言わずして、何と言えばよいのでしょう! NHKに、ラジオに、そして周波数にひたすら感謝感激でした。

  筆者は家に帰ることを止め、「番組終了」まで車の中に居ようと決心しました。1秒たりとも聴きもらしたくないという気持ちでした。結果として「45分間」もの“至福の時間”となり、車を停めたまま聴き入っていました。

      ☆

  今回の物語(朗読)の中心は、薩摩の守・平忠度(たいらのただのり)が、「一の谷の戦い」において源氏方の岡部忠澄(おかべただずみ)に討たれる場面でした。……忠度……ただのり……そうです。“無賃乗車”の隠語として呼ばれている“あのタダノリ”です。しかし、彼はなかなかの“歌人(うたびと)”であり、平家一門と一旦「都落ち」した後にわざわざ都へ引き返し、師事した藤原俊成(ふじわらのとしなり)に百余首もの歌を収めた巻物を託したほど。                        

      ☆

  話が少し逸れてしまいました。筆者は前回、次のように述べています。

   『加賀美さんは特に「源氏物語」や「枕草子」といった「古典文学」の「朗読」に、いっそう魅力を発揮されるような気がします。』

  そして、最後の締めくくりとして――、

   『「古典文学」の中でも、ことに絢爛豪華で艶麗耽美な「平安朝の文学」にピッタリでは……と個人的には思うのですが……。』

  しかし、今回の『平家物語』を聴き、力強く“物語の世界”を拡げようとする重厚で奥の深い語りに魅了されました。いやいや。どうしてどうして。戦記物や男性的な闘いも悪くない……。というより、まさに《加賀美歴史観》の“かおり”が感じられたほどです。

  そこで「ネット検索」を試みたところ、我が意を得たりとの結果でした。やはり、ご自身がかなり古典に魅力を感じている様子がよく判りました。古典文学についての「講演」などもやられているようです。

       ☆

  さらに検索を進めたところ、『中原中也の詩の朗読(加賀美幸子)』というサイトを発見。筆者の期待とテンションは急激に高まりました。“ひょっとしたら、あの詩かな……”と秘かに『汚れちまった悲しみに』や『サーカス』などの一節を想い浮かべながらクリックを……。画面が現れ、ヴァイオリンが控えめに小さく短く「♪ゆあ~ん、ゆよ~ん♪」と入り、一呼吸おいて朗読が始まったのです――。

  “汚れちまった悲しみに、今日も小雪の降りかかる”……う~ん。シビれる。筆者は眼を瞑り、加賀美幸子さんの“玉音”ならぬ“玉声”に全身全霊を集中させたのです。

  ところが次にピアノが入り、……“汚れちまった悲しみに、今日も風さえ吹きすぎる”……そして今度は、フルートとピアノのデュエットが入り……しばし、フルートが短いソロを……。そしてガラッと変わった雰囲気の加賀美さんの朗読が……。

  だがその次の一節は『汚れちまった悲しみに』ではなく、他の詩の一節であり、さらに途中でまた別の詩である『サーカス』の一節に変わり……。その後はずっとピアノ、フルートそしてヴァイオリンが交互に、ソロとして、またデュエットやトリオとして、「朗読のバック」となったり、「間奏」となったり……。忙しいこと、忙しいこと……。ゆっくりじっくり、加賀美さんの玉声を味わう……なんてな雰囲気ではありません。

       ☆

  いったいこれは何だろう? 筆者の脳は完全に疑念と不安と混乱に陥り始めたのです。そのような戸惑いの中、“汚れつちまつた悲しみに、なすところもなく日は暮れる……”と最後の一節が流れ、慌ただしかった3分43秒が終了しました。まさしく、筆者の方こそ“なすところもなく”……でした。

  大フアンの加賀美さんの朗読なので、何とか最後まで聴いたし、また聴けたと思います。これが他の朗読者であれば、最初の1分くらいでやめていたでしょう。それにしても、“何と言うことをしてくれたものだ企画・演出者は……”というのが筆者の率直な感想です。

       ☆

  楽器を、バックや間奏に使う必要などなかったのです。もし楽器を使用するのであれば、それは加賀美さんが「朗読」に入るまでの“つなぎ”として、さりげなく必要最小限にとどめるべきでしょう。

  加賀美幸子さんの《朗読》すなわち《声》だけで充分であり、それ以外に何が必要でしょうか。加賀美さんの“声そのもの”が、そしてその声によって織りなされる“絶妙な間の取り方や休止”こそが、ときに音楽であり、楽器であり、メロディであり、リズムであり、そして何よりも台詞であり、地の文であり、詩情であり、自然や情景の描写であり、人物の内面であり、感情の発露であり、意識や思想の表出であるのですから。 (続き

       ★   ★   ★

   ――今回ばかりは、あたくしも全く同感。加賀美幸子さんも、どことなく乗り気じゃなかったみたい。そうよねえ。言ってみれば、加賀美さんの「声の継ぎはぎ」みたいなものでしょ? それにしても、あなたの最後のフレーズの……『加賀美さんの声そのもの”が、そしてその声によって織りなされる“絶妙な間の取り方や休止”こそが……』のところ、とっても素敵よ。懸命に憤りを堪(こら)えている様子がよく伝わって来て……。企画・演出の方って、何をしてらっしゃったのかしら。と言うより、演出なんかこれっぽちも、いらなかったわけでしょ?  ほんとに、それこそ「ああ! 無情」ってとこね。

  ……ん? ああ! 無情……。そうだわ! フランス語で「レ・ミゼラブル」でしょ? そうそう! 今凄い話題ですって! 観に行かなくちゃ。 ……え? 知らないの? 『レ・ミゼラブル』って映画よ。ほら。ジャンバルジャンという主人公が……たった1本のパンを盗んだだけで……。 ねえ? 聞いてる? ……ね~え? あれっ? 眠ちゃったの……?

 

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・古典朗読の加賀美幸子/NHK女性アナウンサー列伝抄:(2)

2013年02月03日 08時13分27秒 | ■人物小論

 

 ◇「朗読・ナレーション」の名手

  女性アナウンサー以外で「朗読」や「ナレーション」とくれば、まず次のお三方を思い浮べます。声優でナレーターの白坂道子(しらさかみちこ)さん、それに奈良岡朋子(ならおかともこ)さんと市原悦子(いちはらえつこ)さんの女優お二人でしょうか。

  と言っても、白坂さんについてはこの15、6年、その声を聴く機会もなく、また市原、奈良岡のお二人についても、やはりここ10年ほど耳にした記憶がありません。それでも筆者の中では、20年以上前に聞いた白坂さんによる高村光太郎の「千恵子抄」の朗読が鮮明に甦って来ます。

   『……東京には空がないといふ、ほんとの空が見たいといふ。……(中略)……千恵子は遠くを見ながら言ふ。阿多多羅山の山の上に、毎日出ている空が千恵子のほんとの空だといふ。あどけない空の話である。』

  ……『あどけない…空の話である…… 』。最後の一節が流れたあと、印象深い独特の余韻、そして余情がありました。言い足りないような感じで終っただけに、“もっと聴きたい”という気持ちがいっそう強く残ったのかもしれません。もっともこのような余韻や余情は、優れたナレーターや朗読者が、ごく自然に表現していることではありますが。

        ☆

  ◇『おしん』にみるナレーションの威力

   市原さんはNHKの『日本むかし話』の朗読が、また奈良岡さんは、NHKの朝ドラ……そうです。『おしん』のナレーションです。彼女の口から発せられた『おしん……』という台詞の出だしは、物語の進行とは別次元の世界を創り出していたのではないでしょうか。

  わずか「3音」の「おしん……」という言葉にすぎなかったのですが、その後に続く「言葉」すなわち「情景」を簡潔明瞭に、かつ視聴者の自由なイマジネーションを妨げないよう伝えるものでした。

       ☆

  小林綾子演じる子供時代の「おしん」を想い出してください。「おしんの置かれた情況」がいろいろありましたね。辛い出来事……、悲しい場面、嬉しいことや嫌なこと、おしんの心を傷つける心もとない人物の言葉や態度。胸の張り裂けるような哀しみ……。ようやく差し始めた希望の光……。敢然と切り拓いて行こうとする、さまざまな人生の岐路……。

  奈良岡さんのナレーションが優れていたのは、「おしん」に同情して“これ見よがし”的にはならなかったということです。意図的に視聴者の感情移入を抑え、どこまでも “物語の流れ” すなわち「おしん」や両親をはじめとする人物や出来事を淡々と語っていたからです。子供向けの番組であれば、ナレーターは登場人物以上に喜怒哀楽を誇張した口調になるものです。

  とはいえ、ときには視聴者を特定の「登場人物」や「事件」に近づけたり、逆に遠ざけたり、また好意的な感情やその逆の感情をを呼び起こさせたりと、その使い分けや演出は無論、ディレクターによるのでしょう。しかし、その具体的な表現は、ナレーターや朗読者の感性や力量に負うところが大きいのです。

   『おしん』の場合の奈良岡朋子さんがそうであり、他のナレーションや朗読の名手にして同じです。そしてそれら“名手の頂点”こそ、筆者の独断に従えば、加賀美幸子さんであり、山根基世(やまねもとよ)さんということになります。

  

 ◇加賀美幸子のイメージ喚起力

  加賀美さんは「ナレーション」と「朗読」のいずれにも群を抜いたセンスと感性を持っています。ドキュメントやドラマの「ナレーション」であれ、小説をはじめ詩、短歌、俳句、童話等の「朗読」であれ、瞬時に“その世界”へ惹き込む巧みさは“別格”と言えるでしょう。しかもその“完成度はきわめて高い”ものです。

  私見ですが、加賀美さんは特に「源氏物語」や「枕草子」といった「古典文学」の「朗読」に、いっそう魅力を発揮されるような気がします。「古典」に限らず「文学」ジャンルは、伝える側にも受け取る側にも「イマジネーション(想像力)」や「クリエイティヴィティ(創造力)」が求められるわけですが、とりわけ「古典文学」においては、いっそうその要求が高いといえるでしょう。それは、「歴史の事実」として受け止めなければならない「現代史を語るナレーション」と比較するとき、その違いがはっきりすると思います。

  その意味において、加賀美さんの声質、音量、太さ、伸びそして勢い、さらには堂々とした言い回し、そして何よりも“絶妙かつ繊細な休止や間”……。彼女ほどイマジネーションを刺激しながら受け手の創造性を膨らませてくれる「朗読者」はいないのではないでしょうか。「古典の時代には存在しなかった我々現代人」にとって、「古典」は、そして「その文学作品」は、どこまでもイマジネーションとクリエイティヴィティの世界であり、加賀美さんは「その世界」への「導きびと」と言えるでしょう。

    「古典文学」の中でも、ことに絢爛豪華で艶麗耽美な「平安朝の文学」にピッタリでは……と個人的には思うのですが……。(続く

 

コメント (8)
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