『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・スペイン・サッカー連盟会長の母上様へ-5:書簡❹(最終回)

2023年09月15日 19時47分15秒 | ◇聖書・キリスト教

 ルイス・ルビアレス氏の母上:アンヘルス・ベハーレ様へ

 

 スペイン/マドリッドの裁判所によれば、「性的暴行の容疑」で起訴されたルビアレス氏は、9月16日に出廷されるとのこと。裁判はどのように推移して行くのでしょうか。

 ところで今になって思うのですが、ルビアレス氏は早い段階で「あえて裁判での決着」を希望されていたのではないでしょうか。そう判断した理由は、氏がエルモソ選手に「謝罪する意志が無い」という報道でした。

 つまり氏は「一連のキス騒動」に関する「自身の感情や言動」について、「ゆるぎない自信」と「自分が正義であるとの確信」をお持ちなのでしょう。しかし、次のような報道があったのも確かです。

 それは「エルモソ選手の親族」が、ルビアレス氏と「彼を取り巻く人々」(※註:「RFEFの側近」と言うことでしょうか)によって、圧力をかけられたとする事実です。その内容は『エルモソ選手がルビアレス氏のキス行為を、(合意が合ったものとして)正当化するように』との働きかけであった由。そのため検察も「起訴状」に、「強要の疑い」を追加したのでしょう。

 今や世界中のマスコミが、この時とばかりに「ルビアレス問題」を取り上げており、「裁判の決着」がどのようになるにしても、マスコミの関心は当分この問題から遠ざかることはないでしょう。

 そこで私は最後に「この書簡のまとめ」として、貴女に「お願い」があります。「神に助けを求める」ために教会に立て籠り、「ハンガーストライキ」(断食)までされた貴女を、「聖書の教え」に忠実な「真のクリスチャン」と信じての「お願い」です。

 それはルビアレス氏と貴女のお二人」が、「エルモソ選手及び親族のみなさま」に「直接お会いして謝罪をする」ということです※註1

 無論、容易にできることではないと思います。特にこれまでのルビアレス氏の強硬な態度や、ハンストをされた際の貴女の発言等を振りかえるとき、『何を今さら』と、お叱りを受けるかも知れません。

 それでも私が「お二人の謝罪」にこだわるのは、「謝罪がなければ、真の問題解決にはならない」と思うからです。ルビアレス氏が「無罪」を勝ち得ても、それで氏の「真の名誉回復」となるのでしょうか。誰もが納得できる「最終的な解決」と言えるのでしょうか

 【ルビアレス氏は「RFEF連盟会長の正式な辞任」について、次のように語っていました。『これ(辞任)は私だけの問題ではない。私に対する態度は、非常に重要な第三者に影響を及ぼしかねない。(辞任は)私がしなければならない賢明な対応だった』と。】

 仮に「無罪」を勝ち得たにしても「謝罪」などが無い場合、「スペイン国民」の圧倒的多数は、そして「世界の人々」はどう反応するでしょうか。おそらく後々まで、次のように語り継がれて行くのではないでしょうか。

 ルビアレス氏もハンストを実施した母親」も、結局「謝罪をしなかったし、自分たちの「いたらなさ」や「誤解を与えたこと」を認めようともしなかった』と

 その結果、どのようなことが予想されるでしょうか。おそらくルビアレス氏の三人のお嬢様をはじめ、彼女たちの現在及び将来の家族に「思いもよらない不名誉な評価」が下されるかも知れません。それはルビアレス氏を支持し、また支持した人々についても同じだと思います。

 そう言う意味において、ルビアレス氏や貴女の「今後の言動」は、ご自身やご家族を含めた身近な人々に「重大な影響」を与えることは必至です。お二人のそうした「今後の言動」が、「聖書の教えに叶うもの」であることを切に祈るばかりです。

 私が自分の「戒め」としている〈箴言(しんげん)〉の一節があります。この聖句はクリスチャンではない友人知人に語ることもあり、《主》すなわち《創造主である神》の本質を端的に表現しているように感じます。それは――、

主の憎むものが六つある。いや、主ご自身の忌み嫌うものが七つある。高ぶる目、偽りの舌、罪のない者の血を流す手、邪悪な計画を細工する心、悪へ走るに速い足、まやかしを吹聴(ふいちょう)する偽りの証人、兄弟の間に争いを引き起こす者。』(箴言6:16~19) 

 その《神》の御子である《主イエス》は、「山上の垂訓」の中で次のように語っています。

『もし人の罪を赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたを赦して下さいます。しかし、人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの罪をお赦しになりません。』(マタイ6:14、15)

 また同7章においても――、

『さばいてはいけません。さばかれないためです。あなたがたがさばくとおりに、あなたがたもさばかれ、あなたがたが量(はか)るとおりに、あなたがたも量られるからです。』(マタイ7:1、2) 

 ……に続き、

『また、なぜあなたは、兄弟の目の中のちりに目をつけるが、自分の目の中の梁(はり)には気が付かないのですか。(中略)偽善者たち。まず自分の目から梁を取りのけなさい。そうすれば、はっきり見えて、兄弟の目からも、ちりを取り除くことができます。』(マタイ7:3、5)

 そのためにも、先ずは主イエスが唱える「謙遜な態度」が、ルビアレス氏にも貴女にも求められるのではないでしょうか。

 しかし、私は貴女をひたすら信じ、ルビアレス氏と貴女によってもたらされる《謙遜と隣人愛に溢れた素晴らしい決断と行動》を祈っております。

 

 

 今回、巻末に『Jesus bleibet meine Freude(主よ、人の望みの喜びよ)』の【音楽動画】をお付けしました。「Johann Sebastian Bach(ヨハン・セバスチャン・バッハ)」による有名な教会礼拝楽曲」であり、もちろんご存じのことと思います。私も大好きな一曲であり、一時期、或る日本のmobile phoneの「着信音」の一つに使われていたため、私は迷わずその機種を求めたほどです。

 それではアンヘルス・ベハーレ様、からに渡る「書簡」に長々とお付き合いいただいたことに対して、心より感謝申し上げます。

 ドイツ語と日本語ではありますが、「歌詞」もお楽しみください。

 

 Jesus bleibet meine Freude(イエスは変わらざる私の喜び),

 Meines Herzens Trost und Saft(私の心の慰めであり 潤い), 

 Jesus wehret allem Leide(イエスはすべての悲しみから守ってくださる),

 Er ist meines Lebens Kraft(イエスは私の命の力),

 Meiner Augen Lust und Sonne(目の歓びにして太陽),

 Meiner Seele Schatz und Wonne(魂の宝であり 歓喜);

 Darum laß ich Jesum nicht(だからイエスを放しません)

 Aus dem Herzen und Gesicht(この心と視界から)

 

 貴女やルビアレス氏を含むご家族及び身近な人々全てに、神の御加護がありますように。アーメン(amen)(完)

 



 

◆【音楽動画】『Jesus bleibet meine Freude主よ,人の望みの喜びよ)』(3:24)(指揮:飯浦 直哉 (柏グリーンハーモニー合唱団) Orgel / Markus Michel オルガン:マルクス・ミヒェル)☚クリック

 この動画は2016年7月30日、「日本の合唱団」がドイツ・ミュンヘン市の「聖ウルズラ教会」の夕べのミサにおいて、現地教会の合唱隊と「合同演奏会」を実施した際のものです。聖堂に響くパイプオルガンの伴奏や合唱もさることながら、白と黒だけの「聖堂」と「合唱隊」のシンプルな色調がいいですね。

 なおこの動画では、画面に「ドイツ語」と「日本語」の「歌詞」が流れており、「主イエス・キリスト」を言い尽したかのような歌詞が素敵です。

※註:上記「本文」に掲載した「歌詞」については念のために「フィーリ」というサイトから採用しましたが、「動画で流れる歌詞」と全く同じです。ちなみにサイト「フィーリ」には、【このページへのリンク、バナーのお持ち帰りはご自由にどうぞ。】と表記されています。


※註1:◆主イエスも「山上の垂訓」において、「(刑事)告訴」された際における心構えとして、次のように語っています。『あなたを告訴する者とは、あなたが彼といっしょに途中にある間に早く仲良くなりなさい。そうでないと、告訴する者は、あなたを裁判官に引き渡し、裁判官は下役(したやく)に引き渡して、あなたはついに牢に入れられることになります。』(マタイ5:25)◆早く仲良くなりなさい』を今日風に言えば、「告訴した相手」に対して「誠心誠意ある反省と謝罪」を行うということではないでしょうか。「そのような行動」は、たとえ裁判が始まったあとであっても、充分意味があると思うのですが。

 


・スペイン・サッカー連盟会長の母上様へ-4:書簡❸

2023年09月11日 21時08分36秒 | ◇聖書・キリスト教

読者のみなさまへ:その1

 実は今回のブログ「書簡❸」の記事は、本日「午後1時頃」にアップの予定でした。そのため私はいつものようにブログアップ前の最終調整をしながら「昼食」をとっていました。いざ記事をアップしようと思い、念のため1時間前に見たばかりの「ネットニュース」に再び目を通した瞬間、「1つ目の小さな驚き」がありました。

 「スペインサッカー連盟(RFEF)」の「ルビアレス会長」が「辞任」という文字が目に飛び込んで来たからです。「BBC NEWS/Japan」〔9月11日(月)12:34発信〕のニュース記事であり、「見出し」のタイトルはスペインサッカー連盟会長が辞任「仕事を続けられない」女子選手へのキス批判となっています。

 記事を目で追い始めたとき2つ目の大きな驚き」がありました。《検察が、性的暴行及び強制わいせつの罪ルビアレス氏スペインの高等裁判所起訴したと綴られていたからです。  

 というのも当初のこの「書簡❸」では、「検察」は「起訴前の予備捜査」の段階であり、私は「起訴される前」に「刑事告訴者(エルモソ選手)」とルビアレス氏が、「示談によって問題を解決するのでは」と、予想していたからです。

 その結果、私は慌てて原稿を大幅に修正し、「書きためておいた小記事」をいくつも破棄せざるを得なくなりました。

 そこで当初は今回の「書簡❸」を、本シリーズの「最終回」としておりましたが、急遽、記事の「差し替え、修正、追加等」が生じたため、最終回は次回の書簡」となることをご了承ください。


 

●読者のみなさまへ:その2●

 今回の記事(書簡❸)をご覧になる際には、巻末スペインサッカー連盟RFEF)の公式サイト】に関する「筆者の説明」に加え、記事:A【記事:】【記事:をご参照ください。



 

 ルイス・ルビアレス氏の母上アンヘルス・べハ―ル様へ

 

 初めに申し上げます。前回「書簡」の時点におけるルビアレス氏の「役職」は、世界の「3大通信社」と言われる「AP通信」「FAP通信」そして「ロイター(Reuters)」等の「日本版ニュース」では、いずれも「スペインサッカー連盟(RFEF会長」となっていました。

 しかし実は、前回の「書簡」をお送りした直後(9月7日朝9時40分頃)、私は自ら「RFEFREAL FEDERACIÓN ESPAÑOLA DE FÚTBOL)」の「公式サイト」を確認し、ルビアレス氏が8月28日辞任されたことを知りました。もちろん貴女は母上としてその事実をご存じでしょうし、「RFEFの公式サイト」もご覧になられたと思います。

 世界に数多くの「支局」を配する有力な通信各社は、なぜ足並みを揃えて「その事実を公表しなかった」のでしょうか。おそらくスペイン政府」の意向や「RFEF」の思惑があったのだと思います。

 ともあれ、先ずは以下までの「重要な事実」を再確認しておきましょう。※註:以下のA・B両記事は「8月22日のGOAL」より筆者がまとめました。

(A)ルビアレス氏は「キス騒動(一方的キス行為)」の「批判者馬鹿」と呼ばれたようです。また会長職辞任を要求」されたものの、辞任否定されています。

(B)スペイン政府」の「ペドロ・サンチェス首相」や「ミケル・イセタ文化ポーツ大臣」も、ルビアレス氏会長職辞任を要求

(C)9月1日、スペインの「①スポーツ裁判所(TAD)」は、ルビアレス氏エルモソ選手の「一方的なキス行為」に関する捜査に合意。これを受け、ルビアレス氏は「真実」を証明すると反論。

(D)②スペイン政府」は、ルビアレス氏の「一方的キス行為」を非常に深刻な犯罪」として、政府機関の「スペインスポーツ評議会CSD」に告発

(E)スペイン検察当局」は、ルビアレス氏の「キス行為」が性的暴行」の罪に該当する可能性があるとして、予備捜査を開始

(F)9月5日エルモソ選手ルビアレス氏刑事告訴した旨、スペインの検察当局9月6日発表

9月11日、「スペインサッカー連盟(RFEF)」の「ルビアレス氏」が正式に「会長職」を「辞任」。

9月11日、スペインの検察性的暴行」及び「強制わいせつ」の罪ルビアレス氏スペインの高等裁判所起訴


 ✤

 以上の中で重要なものG、Hであることは明らかであり、(C)(D)(E)と併せて考えるときこの3点は相互に深く関係していると思われます。また赤字で示した3機関は、おそらく「スペイン政府」が中心となって、RFEF等関係各機関との情報交換や意見の調整を図っているのではないでしょうか。

 それにしてもスペイン政府の介入という事実は、この問題が国家レベルでの判断や解決を求められている」証左であり、「ルビアレス氏個人」や「RFEF」さらには「スペインサッカー界」云々という次元を遥かに超えています。

 スペイン政府介入は、一連の事件や騒動が「世界的な拡がり」を見せていることへの危機感の表れであり、今や「世界の関心」が、「ジェンダー問題」を絡めながら、「スペインと言う国家そのもの」に対する印象や評価へと発展しているからだと思います。政府としても「やむにやまれぬ介入」ではなかったでしょうか。

 それに加え、ルビアレス氏や貴女にとっては、検察が「起訴」に踏み切ったことによって、予断を許さない事態となりました。とはいえ、おそらく「検察当局」が「予備捜査」を開始した時点で、「弁護人」を選任されていたのではないでしょうか。

 私個人としては、エルモソ選手との「示談」が早い段階で成立し、「不起訴」となることを願っておりました。もちろん弁護担当の方も、当然そう言う働きかけをなされていたとは思いますが……...

 ともあれ記事によれば、『裁判所が「訴え(起訴状)」を受理すれば、判事1人が選任されて捜査を指揮し、事件を裁判にかけるか棄却するかの判断が下されることになる。』とのことでした。

 なお「後任のRFEF会長」となられたペデロ・ロシャ」氏による『RFEFとしての謝罪文』の「概要」は、以下のようになっております。

 文中では「ルビアレス氏の行為」を『不適切な行為』、『最高代表者として容認できない行為』として糾弾する表現が見られ、『私たちの社会を汚した出来ごとに対して、最大限の遺憾の意を表します』と続いています。

 さらに『ルビアレス氏に対する懲戒手続き』や『RFEFウエブサイト上に記述されていた不適切で無意味なコミュニケーションを直ちに削除』したとも綴られていました。

 以上に加え、『損害の補償』や『執行体制の見直し』についての記述もみられます。(続く)



 

スペインサッカー連盟RFEF)」の公式サイト☚クリック

RFEFはサッカー界と社会全体に謝罪します』という「見出し」をクリックすると以下の「リード文」が出て来ます。

ペドロ・ロシャは、「スペイン王立サッカー連盟」(※註:RFEFのことです)の会長として、最新の出来事に直面して、サッカーの世界と社会全体に宛てた謝罪の手紙を送りたいと考えていました。「テキスト(謝罪文)」は次のリンクで読むことができます』と続き、その下に「リンク」が貼られたRFEF会長からの書簡があり、そこをクリックすると「謝罪文の全文」を読むことができます。ただし、日本語訳の設定が必要です。


 

記事:】《スペインサッカー連盟会長が辞任。「仕事を続けられない」女子選手へのキス批判》☚クリック

【記事スペインのスポーツ裁判所がキス問題の捜査決定。ルビアレス会長は「真実」示すと反論(AFP:2023.9.2・12:06/発信地:マドリード/スペイン)☚クリック


記事エルモソ、キス問題でスペインサッカー連盟会長を刑事告訴(2023.9.7・11:10/発信地:マドリード/スペイン) ☚クリック

 


・スペイン・サッカー連盟会長の母上様へ-3:書簡❷

2023年09月07日 09時30分22秒 | ◇聖書・キリスト教

●読者のみなさまへ● 今回の「書簡❷」をご覧になる前に、巻末【1】及び【2】を確認されるのが良いと思われます。


 

スペインサッカー連盟会長の母上:アンへレス・ベハール様へ

 

 さて、【第1】に続く2つ目の「疑問と懸念」を挙げたいと思います。

第2】/貴女が『神に助け求める』ために「教会」に籠(こも)って「ハンガーストライキ」(以下、「ハンスト」)をされたことを、クリスチャンとしてどのように考えるべきでしょうか。

 「ハンスト」すなわち「一時的に食物や飲料水を断つ〈断食(だんじき)〉」は、労働条件の改善要求などの手段として、一般社会において行われています。

 〈断食〉については〈旧約聖書〉にも数多くの事例がありますが、凡俗(ぼんぞく)な私には、あまりにも専門的で近寄りがたいテーマです。そこでここでは〈現実に実行された貴女断食〉という一点に絞って、話を進めましょう※註①

 これまでに学び得た私の拙(つたな)い知識と知恵に基づく〈断食〉とは、

肉体的な苦痛を通して罪の自覚悔い改めを悟りつつ、不退転の決意で〈赦し救い求めようとする〉、きわめて個人的かつ秘匿(ひとく)な行為」のような気がします。

 そのため〈断食〉とそれに伴う祈り〉において大切なことは、既存の自分の感情や考えを解き放ち生まれたての赤子のような白紙の状態で臨むことが大切だと感じるのですが……。

 そう想いながらこのたびの貴女の〈断食〉を振り返るとき、「私の心に今一つしっくりと来ない」ものが残ったような気がしてなりません。と言うのも、主イエスは前回ご紹介した有名な「山上の垂訓(さんじょうのすいくん)」の中で、〈断食〉について次のように語っているからです。

:『断食するときには、「偽善者」たちのようにやつれた顔つきをしてはいけません。彼らは断食をしていることが人に見えるようにと、その顔をやつすのです。(後段略)(マタイ6:16)※註②

 と語った後、『しかし、あなたが断食するときには、自分の頭に油を塗り、顔を洗いなさい。』(マタイ6:17)とし、続けて――、

:『それは断食をしていることが、人には見られないで、隠れた所におられるあなたの父見られるためです。そうすれば、隠れた所見ておられるあなたの(むく)いてくださいます。』(マタイ6:18)

 お気づきのように、主イエスは「偽善」や「偽善者」に対して過剰と思えるほどの嫌悪感を示すことが少なくありません。つまりはそれだけ、“見せかけ優しさ善意言動を忌避されています。とりわけ「律法学者※註③や「パリサイ人※註④に対する反感は、かなり強いようです。

 ことに〈マタイの福音書〉23章における『(いま)まわしいものだ。偽善律法学者、パリサイ人たち』と、7回も繰り返される“言い出しの厳しさ”には、「偽善者」に対するイエス」の忌避感が、尋常(じんじょう)ではないことを物語っています(マタイ23:13~15、23、25~27)

 参考までに、全く同じ「言い出し」の節を「聖書協会共同訳」(日本聖書協会)でみると、『律法学者たちとファリサイ派の人々。あなたがた偽善者に災いあれ。』となっています。『偽善者(わざわい)いあれ』とまで言い切っており、かなり辛辣(しんらつ)です。

 なお主イエスは、〈断食〉について語る前に〈祈り〉についても次のように述べています。

:『祈るときには、偽善者たちのようであってはいけません。彼らは人に見られたくて会堂や通りの四つ角に立って祈るのが好きだからです。(中略)あなたは、祈るときには自分の奥まった部屋に入りなさい。そして、戸をしめて隠れた所におられるあなたの父祈りなさい。そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、あなた報いてくださいます。』(マタイ6:5,6)

 主イエスによるここでの断食〉とそれに伴う〈祈りは、本来きわめて“プライベート”なものであり、その実施方法は《隠れた所見ておられるあなた》に対して、“秘かに静謐(せいひつ)”ということでしょうか。

 そうであれば『あなたの父は『報いてくださいます』となるわけです。そのためにも、少なくとも断食とその際の祈り〉については、『人に見られない』ことが前提条件となっているのではないでしょうか。

 「特定の人々や世間」への「抗議行動」として「教会」に籠(こも)り、スポークスマンを立てて「マスコミ」にメッセージを送るという方法――。今回は、それが結果として「世界の隅々にまでニュースとして伝わって行った」ようです。

 しかし以上のような方法は、果たして主イエス》や《その御父(みちち)=神創造主)》の〈みことば〉すなわち〈聖書のみ教え〉に叶うことなのでしょうか

 そう考えるとき、貴女早い段階で〈断食〉を中止されたことに、私は「安堵感敬意」を抱くことができました。

 なぜなら「ご自宅」に戻られた貴女は、おそらく新たなお気持ご子息のルビアレス氏をはじめとする関係各位と、数多くのお話をされたことでしょう。その結果、さまざまな〈神の導き気づき〉を得られたのではないでしょうか。

 もちろん貴女は、“一人静かに”〈隠れた所見ておられるあなたの父〉に、新たなお気持祈り〉も捧げられたはずです。そして体調を取り戻された際には、おそらく“秘かに一室に籠(こも)って”〈断食〉をされるのでしょう。いえ、もうすでにそうされたのかも知れません。私には、そのような貴女のお姿が浮かんでまいります

 たとえ国や民族やキリスト教としての宗派は異なっても、私は貴女すなわち「アンヘレス・ベハール姉妹」を「同じクリスチャンの一人」として、見守り続けたいと思っております。そのため次回(最終回)のこの「書簡」では、私なりの「ささやかな提案」をさせていただく所存です。

 今回の最後に、私の好きな〈箴言〉の一節を、姉妹ご子息ルビアレス氏にお贈りしたいと思います。この聖句はよく知られており、貴女もご存じのことでしょう。

心を尽くして主に拠(よ)り頼め自分の悟りたよるな。あなたの行く所どこにおいても、主を認めよ。そうすれば、あなたの道まっすぐにされる自分知恵のある者思うな。主を恐〔畏〕(おそ)れて、悪から離れよ。』(箴言3:5、6)(続く)

 


【1】アンヘレス・ベハール」という「スペイン・サッカー連盟会長:ルビアレス」氏の母親が、息子への「非人道的な扱い」に抗議するため、「教会」で「ハンガーストライキ」を開始したとのこと。報道によると、母親は「(息子に対する)非人道的で血なまぐさい狩りの解決策が見つかるまで続けると語ったようです。 ★8月30日のアップ記事より

【2】「アンヘレス・ベハール」さんが、「ハンガーストライキ」のために教会に籠(こも)った際に、記者団の質問に応じたルビアレス氏の「従姉妹(いとこ)」という女性の応答の一部。

『彼女は病気になるかも知れない。だが彼女は彼の母親であり、息子が不当な扱いを受け攻撃を受けているとき、彼女のように誠実な母親であれば、神に助けを求めるのは普通のことだ。絶望に打ちひしがれ、他にどこを当たればいいのか、わからなくなる時が来る。それは論理的で普通のことだ。』 ★9月3日のアップ記事「書簡❶」より


※註①断食」:モーセはイスラエルの民が犯した罪のために、四十日四十夜の「断食」を実施しました(申命記9:18)。またイエスも悪魔の試みを受けるために「御霊(みたま)」に導かれ、荒野にて四十日四十夜の「断食」をされたのです(マタイ4:1、2)。

※註②:本稿において引用した「聖書」の文言は、一部を除いて「日本聖書刊行会」の「新改訳」2版19刷(2001年1月10日発行)」に基づいています。

※註③律法学者」:旧約聖書の時代から引き継がれて来た「律法(法令)」を専門的に研究する教師をいい、その多くは「パリサイ派」に所属。彼らの中には「全議会」(次の「✦註」参照)の議員もいました。

✦註全議会」:他の聖書では「最高法院」とか「サンヘドリン」と呼称。「全議会」は「司法」と「行政」の「2権」を掌握する71人から成るユダヤの自治機関であり、その長は、その時の「大祭司」が務めました。

※註④:「パリサイ人(びと)」は「パリサイ派」とも呼ばれ、「律法の遵守」ことに「安息日」や「施し」の実践を強く唱え、「口伝(くでん)の律法」を重視したようです。また「復活」や「天使」「霊」を容認し、それらを否定する「サドカイ派」と対立したものの、“イエスの排斥”に関する両派の利害は一致していました。「律法学者」の多くは「パリサイ人」であり、「新約聖書(全27巻)」において数多くの「書簡」を記した「パウロ」も、かっては「パリサイ派」でした。なお「パリサイ」は、他の聖書では「ファリサイ」となっています。

 


・スペイン・サッカー連盟会長の母上様へ-2:書簡❶

2023年09月03日 21時46分22秒 | ◇聖書・キリスト教

 スペインサッカー連盟会長の母上:アンへレス・ベハール様へ

 

冠略 ご子息の件に関し、教会において「ハンガーストライキ」による「抗議行動」を開始されたとのニュースを拝見しました。

 8月29日配信のロイター・ニュースでは、ご子息の従姉妹(いとこ)とおっしゃる女性が、貴女やご子息について記者団の質問に答える様子が映っていました動画1。その際、「画面」に翻訳された彼女のメッセージは、以下のとおりです原文のまま)

『彼女は病気になるかも知れない。だが彼女は彼の母親であり、息子が不当な扱いを受け攻撃を受けているとき、彼女のように誠実な母親であれば、神に助けを求めるのは普通のことだ。絶望に打ちひしがれ、他にどこを当たればいいのか、わからなくなる時が来る。それは論理的で普通のことだ。』

 そう語った彼女は、『ハンストの事を(ルビアレス)会長は知っているのか?』という記者の質問に対し、

『もちろんは知っているし、そのことでとても苦しんでいる。母親にそんな事をして欲しくないから苦しんでいる。だが息子の本当の姿を知っている母親にとって、普通の事だよ。』

 その3日後の9月1日、貴女の体調を懸念されたご家族が貴女を入院させたとのニュースが入り、その数時間後にご子息のルビアレス連盟会長が迎えに来られ、無事退院されたとのことでした。この一報に、世界中の多くの方々が安堵されたことでしょう記事1

 もちろん私もその一人としてホッとするとともに、多少なりとも「聖書」に基づく生き方を心がけたいと願うクリスチャンとして、“考えさせられること”ありました。

 時代や民族を超えた“家族相互の愛”の奥深さ。中でも“母親とその子供との愛”は、想像を超えたものがあるように思います。その意味において、貴女のこのたびの「ハンガーストライキ」は、“母性愛の究極的な証”と言えるのかも知れません。

 とはいえそれは、あくまでも「一般社会」すなわち“「聖書」とは無縁の社会・文化における価値基準によるものではないでしょうか。少なくとも「聖書」を生活信条とする「クリスチャン」として、私は以下のように第1】【第2】のような「疑問や懸念」を抱かざるをえませんでした。

 

✤✤✤

 【第1】/ご子息に対する、このたびの“母性愛の行使”は、明らかに「聖書」の教えとは異なるものではないでしょうか。と言うのも《主イエス》は、〈マタイの福音書〉において次のように語っているからです(※❶❷❸印は筆者によるもの)。

わたしよりも父や母を愛する者は、わたしにふさわしい者ではありません。また、わたしよりも息子や娘を愛する者は、わたしにふさわしい者ではありません。自分の十字架を負ってわたしについて来ないものは、わたしにふさわしい者ではありません。(マタイ10:37)※註①

 ❶❷は、“他人よりも自分の家族を最優先しがちな人間のエゴイズム”を戒める趣旨でもあるのでしょう。世の中には“愛する妻や子供”のために、他人を欺いたり盗んだりしてでも、金品を奪い取ろうとする者がおり、ときには生命を奪うこともあります。しかし、生命を奪われた人”にも、“愛する妻や子供がいる”のです。

 それだからこそ《主イエス》は、自分の十字架を負ってわたしについて来る』ようにと説いています。『自分の十字架を負って』とは、この場合“自分や家族の利害損得に固執することなく”、“主イエスがお手本として示される《隣人愛》に徹する”ことだと思います。無論、《平和・正義・公平公正》と言われるものが含まれていることは、言うまでもありません。

 それがひいては、“神の御心に叶う生き方”であるとの教えでしょう。そうでない人は、❶❷❸において繰り返される『わたしにふさわしい者ではありません。』となります。

 『わたし』すなわち《神のひとり子・主イエス・キリスト》。その〈御子の想いや言葉〉は、全て“御子を地上に送られた”《父なる神創造主)》のものです。従って『わたしにふさわしい者ではありません。』とは、父なる神の御心に叶う人ではないということになります。

 主イエスはまた、『天におられるわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、姉妹、また母なのです。』(マタイ12:50)とも述べられ、

 〈ヨハネの福音書〉においても、『わたしが話していることは父がわたしに言われたとおりを、そのまま話しているのです。』と語っています(ヨハネ12:50)

 なお〈マタイの福音書〉には、次のような聖句も見られます。それは非クリスチャンの方であってもご存じの、主イエスによる《山上の垂訓》での一節です。

自分を愛してくれる者を愛したからといって、何の報いが受けられるでしょう。収税人※註②でも同じことをしているではありませんか。』(マタイ5:46)

 “人が人を愛する”こと、特に“家族同士の愛”は至極当然であり、とりわけ“母性愛”なるものはそうだと思います。だが主イエスは、そのような『家族愛や母性愛は、ことさら誇ったり賞賛されるものではない。』と諭しているかのようです。

 その証左として、あの時代に同胞のユダヤ人から「卑しむべき職業」として嫌われた「収税人(しゅうぜいにん)」でさえ、『愛し愛される人間である』との趣旨を付け加えたのではないでしょうか。

 もっとも“家族愛”や“母性愛”と言われるものは、人間に固有のものではなく、どのような動物であれ「種の保存本能」として備わっているのは周知の事実です。ことに我が子が他の動物に襲われようとする際の母親の反撃は、自身の危険を顧みることのない崇高なものであり、その必死の様に胸を打たれるものがあります。(続く)

 


動画1選手にキスしたスペインサッカー連盟会長の母親がハンスト、息子への「不当な扱い」に抗議(ロイター)(8月29日16:00配信)クリック

記事1:キス問題のスペインサッカー連盟会長の母親が入院 息子の処分にハンストで抗議も3日で体調不良(9月1日8:12配信) ☚クリック

なおご参考までにーー、

記事2エルモーソ、スペインサッカー連盟会長に反論「キスには決して同意していない。彼が辞めない限りスペイン代表に戻らない」…そして政府も動き出す ☚クリック

◆【記事3】“キス騒動”が収まらない。スペインサッカー連盟会長はどんな人物か?犯した罪の核心 ☚クリック


※註①:本稿において引用した「聖書」の文言は、全て「日本聖書刊行会」の「新改訳」2版19刷(2001年1月10日発行)」に基づいています。

※註②:「収税人(しゅうぜいにん)」とは、その当時ユダヤを属州として支配していた「ローマ帝国」のために、税金の取り立てを請け負ったユダヤ人です。彼等はユダヤ人同胞から税を取り立て、しかも「定められた額」よりも多く取り立てることがあったため、「罪人(つみびと)」として同胞から嫌悪され、排斥されていました。しかし、イエスはそう言う「収税人」であっても弟子にしたのです。イエスの「12使徒」の一人「マタイ」の職業は「元・収税人」であり(マタイ9:9)、彼は〈マタイの福音書〉を書いたと言われています。