『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

神様、仏様、水神様、そして……(福岡豪雨顛末記)

2009年07月27日 19時53分37秒 | ■つれづれに(日記)
 


 それにしてもこのたびの豪雨はまさに驚天動地。わが人生最大の降雨であり、氾濫といえるかもしれない。24日金曜の夜、幹線道路を車で通っていた時、まるで水中翼船を走らせているような気分になった。明らかに自分の車が水を分けて走っている。タイヤに水の抵抗を感じはするものの、車体は少し浮いていたはずだ。水の上を滑って行くような感覚があり、正直言って心地よかった。そのため、ついその気になってやや興奮気味にハンドルを握っていた。

 何とか家に帰りついてテレビをつけた。放映されている画面の外枠に「避難警報」が報じられ、「避難対象地域」とその「避難先」が表示されている。……草香江1丁目、2丁目…避難先:草香江小学校、六本松公民館。田島1丁目…避難先:田島小学校。鳥飼4丁目……。思わずハッとした。いずれもわがマンションから近く、しかも川沿いの地域だった。

 結局、この「避難勧告」は土曜、日曜と続き、「避難対象地域」は拡大するばかりだった。なんと福岡県下で2万世帯以上が「避難勧告」を受けたようだ。それでも、わが町が対象地域になるはずはないと高を括り、優雅に『マントヴァーニ』オーケストラの華麗なる演奏を聴いていた。

 雨音が少し落ち着いた日曜早暁。何となく眠りから覚め、また何気なく窓を開けた。外は薄暗く、また眼鏡を掛けていなかったので、よく見えなかった。しかし、得体の知れない「白い物」がいくつか動いていることに気づいた。よく見かける猫の動きにしては、やけに軽くまた落ち着いた動きだ……と思ったそのとき、眼の前の表面が光りながら流れているように感じられた。「白い物」は水に浮いた発泡スチロールの箱だった。

 やっと眼が慣れて来た。その眼に映ったのは、道路に溢れた雨水であり、ようやく意味を理解した私は窓際に近づき、マンションの玄関アプローチに眼を落した。紛れもなく水が押し寄せている。
 しかし、今さらジタバタしたところでどうなるものでもない。そう腹を括ったものの、一応、玄関とドアの下端に眼をやった。雨水が浸入した気配はまったくなく、何事もなかったかのようにシンとしている。

 やはり「RC=Reinforced Concrete(鉄筋コンクリート)」と「玄関ドア」の“気密性”の高さが物を言う……“気密性”が高いということは、それなりの“水密性”も期待できる……と自らに言い聞かせながら、大いに納得していた。

 それにしても得手勝手なものだ。普段は安藤忠雄氏の『打ち放しコンクリートの建築』を称賛しながらも、「素材」としてのコンクリートについては、“呼吸もできないデカオモ野郎”と、その“馬鹿でかさ”と“重さ”に悪態をつくばかり。

 だが、今回はさすがに“神様、仏様、水神様、そしてRC様……”と感謝の意を込めてRCの壁とドアを撫でまわし、華麗なる『マントヴァーニ』のメロディに、いつしか眠り落ちて行った……。

 ところが、水が退いた昼過ぎに《衝撃の事実》を悟った。玄関からの浸水はなかったものの、木材によって床組された堀炬燵付きの和室の床が早晩ダメになるのでは……。

 “ああ! 神様、仏様、水神様、エトセトラ……”


 ★お礼とご報告★
 このたびの福岡の豪雨に際しましては、いろいろとお気遣いをいただき、心より感謝申し上げます。本文中にありますように、私の住戸はまったく被害もなく本当にありがたいかぎりでした。被害に遭われた方々に対して、大変申し訳ない気持です。今回のブログは他の原稿を予定しておりましたが、急遽、以上のようなご報告となりました。 深謝
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ゴーストライター

2009年07月18日 17時07分04秒 | ■世事抄論
 

 今日、“ゴーストライター(ghost writer)”が盛んな時代といえそうだ。といっても、その名の通り表舞台には出てこない“幽霊(ghost)”としての「書き手」であり、その道では“覆面ライター”ともいう。
 
 芸能人やスポーツ選手の著作の99.99%は、ゴーストの手によると言われている。のみならず、企業経営者や文化人、さらには政治家の著作にしても、そのほとんどがゴーストによるといえそうだ。そういう「ゴースト本」を知人から貰ったことがある。著名な男性経営者のものを、三十歳台の彼女がゴーストしたものだった。

 どのような分野のものであれ、多くの『ゴースト本』の制作過程の基本はシンプルだ。まず本人に関するデータを集め、関係者へのヒヤリングや本人のインタヴューをフォノライトして元ネタとする。それに本人に関するエピソードやテレビ、雑誌での発言を入れて仕上げるものがもっともポピュラーだろう。「フォノライト」とは「テープ起こし」、即ちテープに録音された会話や講演内容を文字に書き直す仕事をいう。
 
 実は筆者自身、かつて“ゴースト”をしていた。不動産・住宅産業関係の月刊誌や週刊誌等への寄稿であり、不動産関連法規の改正ポイントや業界への影響について、その新聞社の論説委員の立場から書いていた。また取材のため毎月上京していたこともあり、中央での不動産業界の動向を地元業界誌の派遣記者の形で書くこともあった。

 当時、本業は不動産業者団体の事務局スタッフであり、その「機関紙」の取材・編集を一手に引き受けていた。「署名」はなくとも、その「機関紙」の記事や論説が筆者によるものであることは、周知の事実だった。のみならず、業者団体のスポークスマンとして、会長挨拶や役職者のコメントなども書いていた。
 
 ところが他誌での“ゴースト”は、まさしく「幽霊」であるため、誰が書いているのか判らない(知っているのは各誌の編集長のみ)。こちらは他人の目を気にすることなく、自由に書くことができた。そのため、不動産業者団体の「機関紙」に書いた自分の「論説」に、「他誌(紙)」の「ゴースト」として多少ケチを付けることもあった。

 「機関紙」ではホンネが書けなかった場合の捌け口であり、ゴーストとしての密かな愉しみでもあった。と同時に、“ゴースト”が“自分ではない”ことをさりげなくアピールするカモフラージュともなった。

 で、もしかしてこの原稿も“ゴースト”?
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◎マイケル・ジャクソンはミカエル大天使/聖書人名小伝(下) 

2009年07月11日 17時29分32秒 | ◇聖書人名小事典

 
 パウロ=ポール

 キリスト教最大の伝道者とされる「パウロ」の英名は「ポール(Paul)」です。ビートルズの「ポール・マッカートニー」、名優「ポール・ニューマン」、そして筆者が大好きな「ポール・モーリア楽団」となります。

 「マリア」は、歌手の「マリア・カラス」、テニスの「マリア・シャラポラ」であり、英名は「メアリー(Mary)」や「メリー」「マリー」。ミュージカルの『メリーポピンズ』や『メリーさんの羊』の歌、それに悲劇の「マリー・アントワネット」でしょうか。

 実は、あの「マリリン・モンロー」の “Marilyn” や「マライヤ・キャリー」の “Mariah” も、この “Mary” から来ています。

 「エリザベツ(Elizabeth)」という、聖母マリアの母と姉妹関係にある女性がいます。イエスにバブテスマを施した「洗礼者のヨハネ」(十二使徒の「ヨハネ」とは別人物)の母親ですが、言うまでもなく「エリザベス(Elisabeth)」となり、「エリザベス女王」やハリウッドきっての美女と言われた「エリザベスリズ)・テイラー」の名前となります。その愛称が「リザ」「リズ」「リサ」そして「ライザ」となるのです。

            ★

 いま世界各地で追悼イベントが催されている故「マイケル・ジャクソン」(Michael Jackson)。

 彼の「マイケル」は、聖書中最大級の「天使」といわれる「ミカエル」の英名であり、俳優の「マイケル・ダグラス」や元NBAの「マイケル・ジョーダン」がいます。

 その愛称は「マイク(Mike)」であり、また「ミッキー(Mikey)」となるのです。実はあの『ミッキー・マウス』も、「ミカエル大天使」から来ています。

 ついでにいえば、『トムとジェリー』の「トム」は無論「トマス」の愛称ですが、「ジェリー(Jerry)」は、旧約聖書「エレミヤ書」の作者、預言者「エレミヤ」の愛称です。

            

 以上は、あくまでも「英名」つまり「英語読み」であり、これが「フランス語」や「イタリア語」となると、またさまざまな呼び方に代わって行くのです。

 英名の「ピーター」は、「フランス語」では「ピエール」であり、「ピエール・カルダン」や「ピエール・バルマン」となり、「イタリア語」では「ピエトロ」となります。

 「ミカエル」を意味する「マイケル」は、フランスではビートルズの名曲のタイトルにもなった「ミシェル」。ところがロシアでは「ミハイル」となり、旧ソビエト連邦の初代大統領として『ペレストロイカ』を推し進めた、あの「ミハイル・ゴルバチョフ氏」の名前となります。
 
 宮沢賢二の『銀河鉄道の夜』の主人公は「ジョバンニ」ですが、これは「イタリア名」であり、「英名」は「セント・ジョン」つまりは「聖ヨハネ」となるのです。

            

 以上の名前は、これに[son](息子、子孫、後継者)が付くことによって「派生人名」はさらに増大します。

 「ジョンソン(Johnson)」や「ピーターソン(Peterson)」となるわけですが、前者は「リチャード・ジョンソン大統領」であり、米国の医療製品メーカーである「ジョンソン&ジョンソン」などが挙げられます。後者には、ジャズピアノの巨匠「オスカー・ピーターソン」がいます。

 [son]は、さらに「トマス」から「トムソン(Tomson)」、「アンデレ」から「アンダーソン(Anderson)」、そして「ヤコブ」から「ジャクソン(Jackson)」を生み出しています。 

 したがって『マイケル・ジャクソン』は、「ヤコブ(Jacob)の後継者」の意味合いも含んでいることになります。
 
 だが彼は、“地上に降りた最後の天使” ならぬ “歌曲のミカエル(大天使)” として地上に来ていたのかもしれませんね。(了)

  

  ◎2020年12月12日午後 加筆修正 花雅美 秀理

コメント (2)
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◎ベッカム様は“ダビデ”/聖書人名小伝(中)

2009年07月04日 20時09分51秒 | ◇聖書人名小事典

 
 イエス・キリスト=ジーザス・クライスト

 正解は、「ジーザス・クライスト(Jesus Christ)」ですね。

 「イエス」という名は、「ヘブライ語」人名を「ギリシア語」に音訳したものです。

 「キリスト」は固有の名前ではなく、「メシア(救世主)Messiah」を意味する「ヘブライ語」であり、この “メシア” の「ギリシア語」訳が「キリスト」となります。

 ちなみに「メシア」の英語読みは、「メサイア」です。

 さて、十二使徒の一人「アンデレ」は、故ダイアナ妃の次男「アンドリュー(王子)と同じです。この「アンドリュー」の愛称が「アンディ」となり、多才な画家・彫刻家の「アンディ・ウォーホール」や、伝説の歌手「アンディ・ウィリアムス」、それにテニスの「アンディ・ロディック」となるのです。

 「シモン」は『サイモン・アンド・ガーファンクルズ』。“Simon”は、ごく自然に「ローマ字読み」により、「シモン」や「サイモン」と読めるのではないでしょうか。

 「ピリポフィリポ)」の「フィリップ(Phillip)」は、これまた沢山のキング名(国王)に使われています。

 「ヤコブ」すなわち「ジェームズジェームス)」の愛称として、「ジム(Jim)」や「ジミー(Jimmy)」があり、また同じ「ヤコブ」を意味する “Jacob” の愛称に「ジャック(Jack)」があります。

 「ジミー・カーター」大統領であり、『ゴルフの帝王』の「ジャック・ニクラウス」、そして『ジャックと豆の木』の「ジャック少年」となります。なお、この「ジャック」は「ジョンヨハネ)」の愛称でもあるようです。

            

 「十二使徒」以外で一般的に知られている人物は、『旧約聖書』の「モーセ」や「ダビデ」、それに「ソロモン」でしょうか。

 その他「アブラハム」「イサク」「ヨブ」、さらには『新約聖書』の「福音書」を書いた「マルコ」や「ルカ」がいます。それに「パウロ」、「イエス」の母の「マリア」や大天使「ミカエル」も忘れてはなりません。

 「ダビデ」といえば、ルーブル美術館の彫刻『ダビデ像』が思い浮ぶことでしょう。『旧約聖書』において、当初、「羊飼いの少年」として登場する「ダビデ」は後に「イスラエルの王」となり、その息子が莫大な富を築く「ソロモン王」です。

 この「ダビデ(Dawid)」から、「ダビッド」「デビッド」それに「デービッド」といった名前が生まれます。ルーブル美術館の大作「ナポレオン1世とジョセフィーヌの戴冠」を描いた画家の「ダビッド」、それにあのサッカー選手の「デビッド・ベッカム様」。

 古くは「デビッド・二―ベン」(映画『北京の55日』)であり、映画『アラビアのロレンス』や『戦場にかける橋』の「デビッド・リーン」監督です。

 熟年女性には、毎回ハラハラドキドキのTVドラマ『逃亡者』において、リチャード・キンブルを演じた「デビッド・ジャンセン」が思い浮ぶのかもしれません。

 「アブラハム」は「エイブラハム(Abraham)」、「イサク(Issac)」は「アイザック」となり、「エイブラハム・リンカーン」大統領や『万有引力の法則』の「アイザック・ニュートン」となります。「マルコ(Mark)」には、『トムソーヤの冒険』の作者「マーク・トウェイン」がいます。

            ★

 「福音書」と「使徒行伝」を記述した「ルカ(Luke)」は、「医者」であったとされることから、日本でもその偉業を讃えて『聖路加病院』と名前が冠されています。つまりは「セント(Saint)・ルカ」というわけです。

 したがって、『聖路加』は “セイ・ロカ” ではなく、“セイ・ルカ” と読むのが正しいのかもしれません。

 

  ◎2020年12月12日午後 加筆修正 花雅美 秀理

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