『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・『テイク・ファイブ』のドラム美学-3/ディヴ・ブルーベック・カルテット

2014年02月22日 20時15分11秒 | ●Jazz名演・名曲

 

   ◇「シンバル」を使わないドラム・ソロの魅力

   ともあれ、少年のドラム修行にとってジャズ系の「デューク・エリントン」、「ライオネル・ハンプトン」、それに「ジョージ・ケイツ」という3楽団のドラム奏法(ドラミング)は、とても参考になりました。ことに「ジョージ・ケイツ楽団」の「2小節」や「4小節」のドラム・ソロは、コンパクトな中に “洗練されたキレ” と “豊かな創造性” を感じさせるものであり、“脱エレキバンド・ドラム” を目指していた少年の、その後のドラミングに大きな影響を与えたのです。

   特に惹かれたのは、シンバル」類を使わないところでした。つまりは、何枚ものシンバルを、これでもかと叩きつける “うるさい” ドラム奏法(ドラミング)ではなかった点です。「バスドラ」「スネアドラム」「タム」三者のコンビネーションによる、“落ち着きと品位 ”をもった ドラム・ソロでした。そのとき体感したリズムやビート、そしてテンポは、ほぼ半世紀を経た今も、筆者の身体にはっきりと刻み込まれています。

       ☆

   当時、日本人ドラマーとしては「白木秀雄」氏や「ジョージ川口」氏に人気があり、ときどきテレビで観ることができました。「フランキー堺」氏や「ハナ肇」氏のドラミングも二、三度観た記憶があります。白木氏については、高校卒業の1966年夏、「後楽園」の野外ステージで実際のプレイを観ました。ステージの一番前に、ドラム・スティックを持った何人もの若者が陣取っていたのが印象的でした。氏のスティックに合わせながら、自分のスティックを叩き、そのドラム奏法のテクニックを盗み取っていたのです。

 

  ◇『テイク・ファイブ』のドラム奏法の美しさ

  確かに、上記「4人のドラマー」のドラミングやドラム・ソロは迫力があり、「ドラム少年」が遥かに及ばないテクニックを駆使していました。しかし、それを凌駕したのが、前回、「視聴動画-1」でご紹介した「ディヴ・ブルーベック・カルテット(Deve Brubeck Quartet)」の「テイク・ファイブ(TAKE FIVE)」であり、「ジョー・モレロ」のドラム演奏です。

  結論的にいえば、それは少年にとっての“究極のドラム演奏”でした。聴けば聴くほど、そして研究すればするほど、ジョー・モレロが叩き出すドラミングに心を打たれ、その崇高な音楽性と、テクニックを超えた芸術に打ちのめされたような気がしたのです。これを会得するには、人間としての成長や芸術家と呼ばれる確たる何かがなければならない” という漠然とした想いが、少年の心に湧き起こっていました。

   今回、ほぼ半世紀ぶりに『テイク・ファイブ』を繰り返し聴き込み、またジョー・モレロのさまざまなドラミングを「動画」によって “観聴きした” とき、そのことをいっそう痛感しました。

 

  ◇「ドラムス」とは「太鼓」なり

  それでは、まず「視聴動画-3」をごらんください。『ジョー・モレロのテイク・ファイブのドラム・ソロ」』となっています。演奏スタイルは、「スネアドラム」と「バスタム」それに「小タム」の3つを「手」で叩きながら「ドラム・ソロ」をしているシーンが大半です。もちろん、この「ドラム・ソロ」は、本シリーズ「初回」の「視聴動画―1」の演奏時のものではありません。

  前半は一切「シンバル」類を使わず、ひたすら「ボンゴ」を叩く要領で、「手と指だけの「ドラミング(ドラム奏法)」を駆使しています。途中から「スティック」(いわゆる「撥(ばち)」)をもって通常のドラミング(ドラム演奏)を行うわけですが、それでも「ハイハット」以外の「シンバル」類を使うことなく、「ドラム」に固執した演奏を続けています。まさに“ストイックなまでにシンバル類を排し”という言い方がぴったりしているでしょう。

  なお「ハイハット」とは、左足で踏み続ける「小さなシンバル」が2枚合わさった形のものです。上下2枚の「シンバル」が、開いたり閉じたりしているのが見えると思います。

   さて、この「ドラム・ソロ」は、いろいろなことを教えており、“JAZZの本質”に迫るものではないかと筆者は考えています。

 第1に、「ドラム」の本質は間違いなく「太鼓」であること。

 第2に、「ドラム・セット」は、このようなシンプルな構成で充分であること。

 第3に、ことに「シンバル」は極力少なくすること。  [続く]

 

   ◆視聴動画-:ジョー・モレロの『テイク・ファイブ』のドラムソロ(1961年)[2:32]

  

  

  ★ ★ ★ 次回予告 ★ ★ ★

  次回は、2月25日 午前0時にアップいたします。

  この日は、『JET STREAM』の初代機長・城達也氏の命日です。

  「哀悼記事」を、2回に分けてお届けしたいと思います。

 

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・『テイク・ファイブ』のドラム美学-2/ディヴ・ブルーベック・カルテット

2014年02月18日 18時51分51秒 | ●Jazz名演・名曲

 

  ◇ジャズ・ドラムへの傾倒

  少年が、“大人受けする格調高い”ドラム演奏をと思って目を付けたのが「モダン・ジャズ」であり、そのスイングから生まれる“重厚で奥深い”、「ドラム演奏(奏法)」でした。そこで注目したのが「アートブレーキ・ジャズメッセンジャーズ」の『危険な関係のブルース』です。

  このドラムスの「アート・ブレーキ」によって、少年はジャズの「スイング・リズム」の基本と、エレキバンドのドラムにはない「ジャズ・ドラム演奏」の魅力を知ることができました。他のお気に入り「ドラマー」は、「バディ・リッチ」や「マックス・ローチ」であり、「ディヴ・ブルーベック・カルテット」の「ジョー・モレロでした。

  しかし、複雑なリズムと速いテンポの「ジャズのドラム奏法」をマスターするのは、容易なことではありません。そこで少年は、「テープレコーダー」を手に入れ、レコードの回転数を遅くして「録音」し、それを何十回となく聴きながら「ジャズ・ドラム奏法(演奏方法)」をチェック分析し、その「スイング・リズム」や「ドラム・ソロ」の基本構成や独創性を掴もうとしたのです。具体的には、簡単な「譜面」にそれらのパターンを書き記すことでした。

  しかし、これは“気の遠くなるような作業”となりました。しかもそれを、 “受験勉強モード” 全開であるべき「高3の秋頃」から始めたのです。何事も徹底的にやらなければ気がすまない “少年の悪い癖” でした。

  

  ◆視聴動画-2:『危険な関係のブルース』 (アートブレーキーとジャズメッセンジャーズ)[7:23]

 

   ◇ドラムによる曲想・メロディの想起力

  とはいえ、この “気の遠くなるような作業” を経験したことで、以下のことが理解できました。といっても、当時は「明確な理論づけ」ができていたわけではなく、今回、当時を思い返しながら何とか「理論的に」まとめてみたものです。

 

1: 「ドラムス」という「楽器」および「楽器構成」の “音楽的意味” が、何となく判りかけたこと。

  少年が感じたことは、「ドラムス」を構成する「スネアドラム、バスドラ、各種タム、各種シンバル、そしてハイハット」が、「リズム&テンポ楽器」として、ピアノ・弦楽器・管楽器等の「メロディ楽器」に“どのように貢献するのか”ということです。具体的に言えば、「メロディ楽器」が奏でる “音の強弱・緩急・遅速 における「ドラムス」の “サポート機能”や“リード(導く)機能”  であり、ときには “コントロール力” というものでした。

 

2: 「ドラムス」という「楽器」の“曲想・メロディの想起力

   本来は「リズム&テンポ楽器」ではあっても、節度ある「ドラム演奏(奏法)」には、 “曲想(曲のイメージ)・メロディを想起させる力があることを学びました。

  といってそれは、「音色」の異なった数多くの「シンバル」類を用いて、“手数多く叩く” ことを “指している” のでもなければ、またそれを “善し” とするものでもありません。むしろ、その “逆” です。このことについては、本シリーズ「」において、「ドラム演奏の視聴動画」を確認しながら、具体的に説明したいと思います。

   簡単に言えば、「ドラムス」が「リズム&テンポ楽器」に徹することによって、「メロディ楽器」がいっそう「メロディ楽器」としての魅力を発揮するということであり、最終的には、メロディ」、「リズム」、「テンポ」三者の “渾然一体” こそが、ジャズを含む “音楽の美” であり、“音楽そのもの” であるとの確信でした。

 

 「ドラミング(ドラム奏法)テクニック”における“難易度の違い”

  つまりは、「ドラム奏法(演奏)」すなわち「スティック捌き」や「ブラッシング」(ブラシを使った奏法)における、「各テクニック」の“難易度の違い”です。

 

 「一つ一つの音そのもの」の持つ存在感や大切さ

  つまりは、「或る音(複数あるのが通常)」と「その前後の音(1音に限らず複数音)」との “連続・非連続性” による “SOUNDの妙” であり、究極的には “音楽としてのハーモニー” というものでした。

 

 他の楽器とのコンビネーションやコラボレーション

   さらに、他の楽器とのコンビネーションやコラボレーションの緊張感であり、その魅力でした。これは現時点で言い換えると、“インプロビゼーション” や “インタープレイ” すなわち “即興演奏の妙” ということになるでしょう。だが残念ながら、当時の「少年」には、まだこの両者を理解する知識もキャリアも、そしてドラマーとしての技術も、圧倒的に不足していました。

  しかし、以上のようにして “何となく掴みえた感覚” は、その後の「JAZZ」や「音楽鑑賞」にとどまらず、「文学・美術」そして「建築や都市」等の鑑賞の際にも活かされたように思います。 

  以上、理屈っぽい説明となりましたが、表題中にある『ドラム美学』を理解していただくために、どうしても必要でした。ご理解ください。 (続く)

 

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・『テイク・ファイブ』のドラム美学-1/ディヴ・ブルーベック・カルテット

2014年02月14日 21時52分34秒 | ●Jazz名演・名曲

  

  読者のみなさんへ

   お待たせいたしました。ただいま、無事に「再アップ」することができました。

      ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

 

  ◇多くの日本人が耳にした『テイク・ファイブ』

   筆者が敬愛する建築家の安藤忠雄氏(1941年生)は、1950年台終わりから60年代半ばにかけて、足しげく「ジャズ喫茶」に通ったようです。その頃、初めて「ディヴ・ブルーベック・カルテット」の『テイク・ファイブ』(TAKE FIVE)を聴いたそうですが、氏はこの曲を「名曲」と言っています。

  この『テイク・ファイブ』は、巻末「視聴動画-1」のように、1959年7月1日【この日だけではなく、前後もあるようですが】に、ニューヨークで録音されたものと思われます。当時は「レコード盤」でした。

   そしてこの同じ曲を「東京オリンピック」(1964年)の翌年秋頃に、「ジャズ喫茶」や街中の雑踏の中で耳にし、影響を受けて購入した「少年」がいます。高校3年生の「筆者」でした。つまりこの時代、『テイク・ファイブ』はあちこちで流れていたため、“かなりの日本人”がどこかで耳にしていたはずです。

       ☆

   ところで、通常、「4/4拍子」や「3/4拍子」と言うリズムはよく耳にします。つまり、「1小節」の中に、前者であれば「4分音符」が「4つ」、後者は「3つ」(※註:「3連符」ではありません)ということになります。「4分音符」というのは「♩」ですね。一番「オタマジャクシ」らしい「♪」は、「8分音符」ですね。

   しかし、この『テイク・ファイブ』は、そのタイトル通り、「1小節」が「5/4拍子」(4ぶんの5びょうし)となるため、必然、スピード感に満ちたものとなります。「4分音符」が「4つ」ですむところを、「5つ」奏でるわけですから、必然、速くなるというわけです。この同じ「5/4拍子」で、みなさんがご存じの曲と言えば、『スパイ大作戦』のテーマ音楽でしょう。

   メロディをご存じの方は、〈ジャジャ・ンジャ・ジャン・ジャン・ジャン,ジャジャ・ンジャ・ジャン・ジャン・ジャン……………〉と、メロディを口ずさみながら「指」を折ってみてください。5本の指が自然に「折れ」、次にそれが自然に「開く」ようになりますね。つまりは「1・2・3・4・5,1・2・3・4・5……………」と「5拍」になっているからです。一度聴けば“記憶に残りやすいリズム”でしょう。

 

   ◇エレキバンドのドラムス担当

  さて、この「高3時代」、少年は同じ高校の友人と「エレキ・バンド」を結成し、ドラムスを担当しました。「ドラム・セット」などとても……と思っていたところ、奇跡のようなことが起きて、自分のものとすることができたのです。

   「バンド」は、ほとんど「ベンチャーズ」(The VENTURES)のコピーバンドでしたが、「ビートルズ」(The BEATLES)の曲目もいくつか採り入れました。

   当然、ドラムの練習をするわけですが、当時の「エレキバンド」系のリズムは、「アフター・ビート」という、4拍子の「2拍目と4拍目」に強いビート(アクセント)をおくものでした。その上、「ドラム類」や「シンバル類」を“強く叩く”ため、必然、大きな音量となり、ドラム担当の少年自身が“うるさい”と感じ、気が引けたほどです。しかし、少年にとっての最大の欠点は、「リズム」も「ドラミング」(ドラム演奏)も、“単調で退屈”なものということでしょう。

  もちろん、ベンチャーズ・ナンバーの「ワイプアウト」や「十番街の殺人」、それに「キャラバン」といった曲にも、エレキバンド独特の「ドラミング」や「ドラム・ソロ」があったのは確かです。    

  しかし、「モダン・ジャズ」の“それ”に比べて“あまりにも単調で味気なく”、何よりも“騒々しいだけのもの”でしかなかったのです。 [続く]

 

  視聴動画-1:『テイク・ファイブ』(ディブ・ブルーベック・カルテット1959.7.1New York

  ◇ディブ・ブルーベック(ピアノ)、ポール・デスモンド(アルト・サックス)、ジーン・ライト(ベース)、ジョー・モレロ(ドラム)

  ◇「TAKE FIVE」(Deve Brubeck Quartet):Deve Brubeck(piano)、Paul Desmond(alto sax)、Gene Wright(bass)、Joe Morello(drums)

             ★    ★   ★

 ――あれっ? 今日なのね。みなさん、大変そう……。え? あたくしですって? ああ。あたくしって“オーベイ・シコウ”でしょ? あちらではこの件は“男性から女性へ”って言うのが基本なの。何かを“あげる”ってことは、“まもる”ってことと同じじゃなくて?

  ……でも、“あげる”って言っても、すっかりわかりきった“あの甘いもの”ってのも、ね~え。すこ~し、工夫していただきたいかなァ~……なんて。

 その点、いつも“イマジネーション”を大切に、あくなき“クリエイティビティ”の追及者でいらっしゃる方が選ぶ“ミステリアスなもの”ってわくわくどきどきするわ。

  ああ。……でもサン・テグジュベリも『星の王子様』の中で言ってるのよ。

  『大切なものって、目に見えないんだね』……って。

  あなたと、あたくしにとっての“大切なもの”……何かしら。やっぱり……L??E……ってこと!? 目には見えない…ってわけなのね……そうよ、ね~え。

  あっ!! わかった!! 解けたわ!! きっと、こうなのよ!! “見えないL・?・?・Eの言” と “見えるSOMETHING” ……これこれ。これよ。絶対に! これで解決ね! ねえ? そうでしょ? そう思うでしょ? ね~え? 聞いてる? あれっ? 眠ちゃったの?

 

  お知らせ

  ご覧になった方はお判りのように、この「記事」は「2月14日の朝方」まで別の内容として記述されていました。

  ところが、筆者が微修正を試みようと14日早朝に操作した際、とんでもないミスを犯し、「今回の原稿すべて」を“消失”するという事態を招いてしまいました。まさしく、Oh My God! でした。

  残念ながら、「バックアップ」処理をしていなかったため、そっくりそのまま「再生する」ことができませんでした。そこで、やむなく「復元再書き起こし)」した次第です。記憶をたどりながら、多少は新たに書き加えたり、省いたりしました。

 ともあれ、ご心配をおかけいたしました。  花雅美 秀理

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