『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・現代史ナレーションの山根基世/NHK女性アナウンサー列伝抄:(4)

2013年02月12日 21時28分03秒 | ■人物小論

 加賀美幸子調「朗読」の真髄

 先週土曜日の『古典講読:平家物語』……いかがでしたか? 今回も「一の谷の戦い」でしたね。笛に長けた紅顔の美少年・平敦盛(たいらのあつもり)が、源氏方の熊谷次郎直実(くまがいじろうなおざね)に討たれるという、これもまた有名な場面でした。

  それを加賀美幸子さんの朗読で……。充分、堪能されたことでしょう。加賀美調独特の “自然流自然体” であり、声の強弱・高低・速度が、繊細な心配りで使い分けられていましたね。上手いとか、凄いとか……そういうけ形容を遥かに凌駕しています。

 それにしても、生命力溢れる堂々とした朗読。……あれが72歳の方の声でしょうか。驚きとしか言いようがありません。辺りを圧する朗々とした声と響き……。全身に伝わって来ました。まさに圧巻の朗読といえるでしょう。

                 ☆

  その日、筆者は番組が始まる夕刻5時が待ち遠しく、いそいそと部屋の中を片付け、あとはひたすら待っていました。ラジオが告げる午後5時――。感動の瞬間が訪れ、まさしく、“そのとき歴史が動いた” のです。

  自室において、これほど真剣にラジオを聴くなど、何十年ぶりでしょうか。……そうです。ラジオに対する筆者の歴史が、革命的と言えるほど大きく変化し始めたのです。

  お聴きになった方は気付かれたでしょう。

  朗読中はもとより、その前後においても、いっさい「音楽」いや「」が入らなかったということを。さすがはNHK。あるべき「朗読のスタイル」を、そして何よりも「朗読者・加賀美幸のすべて」を、とてもよく弁(わきま)えた企画・演出そして編集でした。

  何と言っても加賀美さんご出身の局ですからね。朗読者の特性をよく心得ていたというべきでしょうか。

   思うに、このような場合の「音響」や「効果音」は、「奏でたり、付ければいい」というものではありません。その点、NHKの専門技術スタッフや企画デザイナーの方々は、実にレベルが高いと思います。

 こういうところにも、民放・民間との圧倒的な絶対差を痛感します。

            ★

 

  山根基世さんのドキュメンタリー

  「朗読の名手」が加賀美幸子さんとすれば、「ナレーションの名手」は、山根基世さんでしょうか。とはいえ、これはあくまでも「朗読」と「ナレーション」のいずれか一方をという「比較」によって導かれたものです。

  無論、加賀美さんも山根さんも、「朗読」であれ「ナレーション」であれ、“名手中の名手”ということに変わりはありません。しかし、“世間一般” は、何かとお二人を “対照的に描きたい” ようです。無論、筆者もその世間一般を構成する一市民です。

             ☆

  山根基世さん(1948年生)も加賀美さん同様、際立った声の質と伸びを持っています。それに加えて女性らしい独特の、“高音をブレンドした柔らかさや色っぽさ” とでも言うのでしょうか。

 低い声のような、そうでないようなトーンと言えるかもしれません。元NHKアナウンサーの草野満代さんも、同じような “しっとりとした、上品で柔らかいお色気” を滲ませたトーンのような気がします。

  ともあれ、高い教養と品位に支えられ、年齢相応の落ち着きを伴った山根さんの響き……。『新日曜美術館』でのナレーションも素晴らしいのですが、「ドキュメンタリー」物にいっそう適しているような気がします。

  ことに「現代史」の一面をとらえた『映像の世紀』のナレーションに、そのことを痛感しました。筆者のような団塊世代からすれば、「山根基世ナレーター」に、同じ時代を生きて来たという、仲間意識のようなものが働くのでしょう。

 一語一語噛みしめるような語り……。自らの時間を投影させるかのような、それでいて、決してその “映像の世界” に入り込まない傍観者の視点……。

  無論、それは番組の狙いであり、演出ではあるのでしょうが……。伝える側の客観的なスタンスを維持するためにも、不可欠なのでしょう。

 しかし、ナレーターの山根さん個人の感情や意識、躊躇や困惑といったものが、“隠し味” として効いているような……そういう雰囲気が感じられます。アーカイブとして永く残る優れた番組です。

             ☆

  加賀美さんと山根さんを比べると、前者は「」、後者は「」という雰囲気でしょうか。本シリーズの(1)で述べたように、加賀美さんは “日本のお母さん” であり、“日本のこころの郷愁” です。

  そうなれば山根さんの方は……。強いて言うなら、“現代史のメッセンジャー” と言えるのかもしれません。それも決して「日本史」や「東洋史」ではなく、「西洋史」というイメージが色濃く感じられます。

            ★

  筆者の勝手なイマジネーションによれば、1919年、ドイツのヴァイマールに設立された『バウハウスBauhaus)』の「歴史」を紐解く「案内人」など、いかがでしょうか。

 建築家と建築・美術・デザイン、さらには同校で研究・指導された幅広い芸術全般に関するナレーションなど……。もちろん、この『バウハウス』が、ナチスの圧力を受けながらも、その存立のために格闘し……しかし、ついには1933年に「閉校」に追い込まれた真実などについて……。

  たった14年間の活動期間にもかかわらず、『バウハウス』がどれだけ、この世紀に、そして世界に……建築に、美術に、芸術に……“確たる美と永遠” なる可能性をもたらしてきたか……。

  こうして綴りながらも、鳥肌が立ってきました。

  超至急! 求む! 某局文化関係の「プロデューサー」及び「ディレクター」各位!  〝山根基世とたどるバウハウス〟の制作を!続く

 

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  演劇のごあんない

    2012年度九州大学演劇部 後期定期公演

       「ボクサァ」> 作:高橋いさを  演出:石松紘宇

<日時> 2013年2月23日(土) 開演 14:00 (開場 13:30)
                      開演 18:00 (開場 17:30)
                24日(日) 開演 13:00 (開場 12:30)


<場所> h732シアター 〒811-2202 福岡県糟屋郡志免町志免2-27-16 ヒミツ基地732.       

       TEL. 092-936-7732. 座席数. 70. アクセス. 1)西鉄バス 志免バス停より徒歩7分.
<交通> 西鉄バス 福岡空港バス停よりバス15~17分(運賃300円)

       志免バス停下車から徒歩7分(当日は案内を用意させていただきます)

 
<内容> アパートの一室に集まった5人の友人達。
       その部屋の真下にはボクサァが住んでいるらしい。
       話をしているうちに次第に膨らむボクサァへの妄想、
             ボクサァに対抗すべく策を練る5人。
       最後に彼らに待っているものとは・・・

<料金> 前売り・予約300円 当日500円
<ご予約・お問い合わせ> 九州大学演劇部・酒井 09011967569
       abysskyuen@yahoo.co.jp
       ※メールでのご予約の際は、お名前、希望枚数、希望日程を
        明記のうえお送りください。
 
<九州大学演劇部公式HP> http://kyu-en.readymade.jp/
             「Ichibell」で検索すれば見つかります。

<Twitter公式アカウント>@kyu_en

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   部員一同、ご来場お待ちしております。

   九州大学演劇部 制作 酒井絵莉子
   公式サイト:http://kyu-en.readymade.jp/
   メールアドレス:abysskyuen@yahoo.co.jp
 
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   今宵のサービスとして、女性ジャズ歌手・ジュリー・ロンドンの歌(曲目「ミスティ」)を。

  ◆Julie London―「Misty」http://www.youtube.com/watch?v=oPnh2sa4Fek

 

 

 


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