『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

◎道傳・高橋・草野/NHK女性アナウンサー列伝抄:(6)最終回 

2013年02月25日 20時30分35秒 | ■人物小論

 道傳 愛子

  現在は、「解説委員」の道傳愛子(どうでんあいこ。1965年生)さん。

 声には、“穏やかで落ち着いた静けさ” があり、加えて “シャイな感じの柔らかさ” を持っています。

 ことに、ひと段落ついたときに見せる「囁き口調」に、この人独特の “いっそう低いトーンが混じり、成熟した女性らしさ” がさらに感じられます。

  もともと、ニュース原稿をどんどん読み進めるタイプではないようです。もちろん、そこがこの人の魅力でもあるわけですが、『ニュース7』のキャスターを、1999年3月からちょうど1年間務めました。

 一時期、バンコク(タイ)の特派員となり、「ワールドニュース」のレポーターとして、アジア情勢を伝えたこともあります。

 ゆったりと構えた表情と仕草に、剣道をされていた〝気〟のようなものが漂い、加えて、情報の最先端を行く「特派員」という雰囲気が、大変よく出ていました。

 現在の「解説委員」は適任かもしれません。

 ともあれ、全体のイメージも “これぞNHK” といえる雰囲気の方でしょう。

 

  高橋 美鈴    

  初めて高橋美鈴(たかはしみすず。1971年生)さんの声に接したのは、『美の壺』という美術番組がスタートした2006年春でした。

 “しっとりとした静謐で柔らかいナレーション” に、一瞬にして魅了されていました。

 正直に告白すれば、番組が終了した後も、しばらくその余韻に浸っていたほどです。

   加賀美さんや山根さんのような「骨太の声」に多く接していたため、筆者にとって “その一瞬の高橋さんの声” は、別次元のものでした。それほどの衝撃であり、また感動だったのです。

   当時の『美の壺』の主人公(司会)は、元クレージーキャッツの谷啓氏であり、そのコミカルな「語り口」や「動作」と、高橋さんの “囁く” スタイルのナレーションとがよくマッチしていました。NHKの人選や演出の巧みさを、あらためて痛感したものです。

  ことに番組3回目の『アール・ヌーヴォー』は、垂涎の的ともいえる「エミール・ガレ」や「ドーム兄弟」のガラス細工特集――。

 それだけに彼女のナレーションは、もうこの人以外にはないと思われるほど適任でした。その “ほんのりした甘さ” に、“清潔感に包まれた艶” を感じさせるしなやかな声……。

 「壊れやすいガラス細工」と、高橋さんの、これまた〝壊れそうなほど繊細で優美な囁き〟とが、和歌や俳句における独特の「匂いの移り合い」を感じさせたほどです。

 それに加え、一貫して流れるBGMのジャズも、とてもよくフィットしていました。その「テーマ曲」は、今もジャズ界のポピュラーといわれる「モーニン」です。選曲のセンスが素晴らしい。この回の照明や音響は、特に印象深く憶えています。

 いつもよりも「絞った照明」に「緩くしたBGMのテンポ」。さすがNHK。

        

 草野 満代

   草野満代(1967年生)さんは、ご存じのように元「NHKのアナウンサー」でした。 

 朝のニュース番組を担当していた頃、よく観た記憶があります。年齢の割には落ち着いて見え、ニュースを読む口調に、ひときわ勢いと弾みがあり、その抑制の効いた力強さと調べのよさに、グイグイ惹きつけられたものです。

 冷静沈着さが、際立った印象として残っているのは、彼女の個性だったでしょうか。それとも、当時のNHKの既定方針だったのでしょうか。とにかく、「清新な朝のニュース」にピッタリの〝弾みと抑制〟が効いた印象を持ちました。

   NHK退局後は、『筑紫哲也NEWS23』において、キャスター・筑紫哲也氏のサブを務めたわけですが(1997.9~2006.9)、筑紫ファンの筆者は、この番組を楽しみに観ていました。

 必然、「サブ」の草野さんを観る機会も多く、彼女の優れた面をさらに感じる機会となったようです。

  ある意味、筑紫氏が彼女を育てたのは確かですが、同時に彼女が筑紫氏を引き立てまた深化させたのも確かです

 個人的には、やはり「アナウンサー」として堂々と自信を持ってニュースを読み上げる表情が一番魅力的であり、また〝得も言われぬ気品と成熟した女性の魅力〟が発揮されていたように思います。

  この草野さんの後任が、同じNHK出身の後輩、膳場貴子(ぜんばたかこ:1975年生)さんでした。

            ★  ★  ★

      

  「NHK」と「民放」との “絶対差” は、基礎訓練の差?!

  筆者が「NHKのアナウンサー」が好きな理由は、初回にも述べたように、

 第1に、アナウンサーとしての「基本」がしっかりしていることでしょう。やはり、まずは「発音」つまりは「音としての言葉」の明瞭さであり、「言葉のフィーリング」を大切にしているかどうかでしょう。

   私見ですが、「NHK」のアナウンサーの方は、想像もつかないほどの「厳しい訓練」を受けているのではないでしょうか。「民放」と比較するとき、そう思わせるほどの “絶対的な差” を感じるから です。それはつまりは、「新人時代」における基礎訓練の“質・量”の違いかもしれません。

   第2の理由は、やはり知性品位であり、

 第3は、洗練された物腰ということでしょうか。「一人の女性」としてみても魅力的であり、内に秘めた麗しさが自然に滲み出ているような気がします。

            

   ちょうどこの頃、ある民放の「の番組」の中で、女性アナウンサーが「ニュース」を読み上げ始めました。筆者は、そのときの彼女の姿に驚いた事があります。

 彼女は、茶髪系の髪に真っ赤な口紅、そして直径が5,6cmもあるリングのイヤリングを、ぶらぶらさせながら原稿に目をやっていました。その彼女が、その民放局のエース級と聞いて、二度びっくりしたことがあります。

 ディレクターやAD他、たくさんのスタッフが見守っていたと思うのですが。「バラエティ」番組ならまだしもと、不信と疑惑が残りました。

 ことに、当該女性アナウンサーの外見だけでなく、肝心のニュースの「読み上げ方」や「発声・抑揚」についての疑問もあっただけに、釈然としない出来事でした。

            

  とはいえ、もちろん 「民放」にも、魅力的で優れた女性アナウンサーは多いようです。しかし、その「素晴らしさ」が充分に発揮されていないような気がします。

 独断ですが、「民放」は「アナウンサー」を安易に「芸能タレント」扱いしているような気がしてなりません。「アナウンサー」として真剣に育てる意志があれば、もっと違った起用の仕方があるように思うのですが。

            

 

 アナウンサーを活かしきるNHK

  今回、久しぶりに真剣に「テレビ」を観ることになったわけですが、そこで「NHK」という「放送局」に関して強く感じたことがあります。

  それは第1に、番組の性格やイメージに即した「アナウンサー」(キャスター、司会など)の「人選に優れているということです。

  第2に、登場させた「アナウンサー」をよく“活かしきっている” ということでしょうか。高橋美鈴さんのところで触れたように、語りを「囁き口調」にし、BGMにモダンジャズを配したのもその表れです。その基本方針は、無論、他の番組にも見られます。

   「NHK」から「民放」に移ったアナウンサーに対し、多少の “違和感” を覚えるのは、以上の「裏返し」といえるのかもしれません。

 『なぜ “NHKにいたあのアナウンサー” が、このような番組の司会をしているのだろうか?』、

 『なぜあのような番組進行をしているのだろうか?』

 と言った疑問を抱いたことはありませんか?

  少なくとも筆者は、NHKの番組についてそのように思ったことはありませんでしたが……。 (

 

           ★★★ 美しき…… ★★★  

   ――あたくし思うの。高橋アナウンサーって、趣味は茶道にお芝居の観劇……。それに、そうそう、一人で着物を着ることがおできになるそうよ。また、リフレッシュのために旅に出たり、「美術館」でゆったり過ごしたり……。

 まるで「感性」が誰かさんとピッタリなのね。ひときわ上品で穏やかで、それに何~んたって、美人でいらっしゃるし……。 

   あれっ? もしかして、もしかしてって……こと? 道傳さんも草野さんも、そして渡邊さんや有働さん、石井さん……。さらには、加賀美さんも山根さんにしても……みなさん “美しき熟女”……ってわけなのね。

  そうなんでしょ? ねえ? 聞いてる? ね~え? ねえってば…….。

  あれっ? 眠ちゃったの?

 

 ◎2020年12月3日午前 加筆修正 花雅美秀理 

コメント (5)
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