『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

〇演劇案内:戯曲『hなhとA子の呪い』/演劇ユニット「」(かぎかっこ)

2019年03月16日 19時00分02秒 | ○福岡の演劇案内

 【演劇ユニット「」(かぎかっこ)の第5回本公演】

 この【演劇ユニット 」(かぎかっこ)に本格的に注目し始めたのは、2012年7月の「旗揚げ公演(第1回)」だ。この「公演」は、巻末《参考》にあるように、九州大学卒業後、社会人となっていた浜地泰造氏と、同大演劇部後輩の現役女子大生(2年)の酒井絵莉子嬢との「二人芝居」だった。

 実はこの時、筆者は友人O氏を初めて「演劇」に誘ったが、このときの彼の感動した様子に筆者の方が驚いた記憶がある。当時の彼の言葉はーー、

 『舞台演劇がどういうものか良くわかりませんが、この舞台が素晴らしいことは何となく感じます。それにしても、彼女が二十歳そこそこの女子大生とはとても思われませんね。凄いとしか言いようがありません』

 そう言った彼は、その後何度も筆者と「九演」の舞台を観劇し、すっかり「学生演劇」のファンとなっている。

 ともあれ、筆者がこの「旗揚げ公演」を観ようと思った動機は、ひとえにこの浜地・酒井両氏に注目していたからにほかならない。そのキッカケこそ「学園祭(大学祭)」での「テント小屋公演」であり、ことに両氏が1年生のときの活躍に注目したことが始まりと言えるだろう。この件については、本ブログの〝どこか〟で触れたと思われるので重複は避けたい。とにかく《ひときわ抜きん出た印象》を与えたのは確かだ。

 そしてこの「旗揚げ公演」を皮切りに、筆者は第2回(2013年11月)、第3回(2015年3月)、第4回(2018年3月)と、この劇団の本公演を「紹介(演劇案内)」するとともに「鑑賞文」を残して来た。といっても、前回の「第4回公演」については、いまだに「未稿」となってはいるが。 

          ★   ★   ★

 「漫画」の原作を戯曲化

 今回の舞台作品は「漫画」の原作(中野でいち)を「戯曲」化したという。下記の「あらすじ」をご覧になるとおわかりのように、従来の【「」(かぎかっこ)】の中心テーマ的なものを遥かに超えたものということだろうか。

 チラシとともに同封された「案内書状」には、次のようにあった。

 『これまでの落ち着いた作風とは一変、温度のある会話はそのままに、ポップで刺激的な世界観……』

 『〝真実の愛〟をテーマに、性欲と罪を描く「史上最もビビッドな問題作!』 

         ★

 ここでの「性欲」云々には、フロイト的な「リビドー」の仄かな灯りがちらつくとともに、「とある男の性欲と過去の罪」と来れば、筆者的には「ドストエフスキー」の「運命的生涯テーマ」という思考回路のスイッチが、たちまち〝ON〟となる。それだけに、この「演劇作品に対する筆者独自の向き合い方」もいっそうの広がりと深まりを求められるというもの。

 舞台を堪能したあとの「自らの鑑賞文」に、今から若干の緊張と新鮮な刺激のようなものを感じている。筆者にとって、「舞台を観劇する自分」と「鑑賞文をまとめる自分」との闘いでもある。

 


    演劇ユニット「」(かぎかっこ)第5回本公演   

     戯曲 hhA子の呪い

・作 演出 : 浜地泰造
・原作 : 中野でいち「HなHとA子の呪い(リュウコミックス)

日時    2019年4月13日  13:00 / 18:00

             4月14日   13:00 

会場   ぽんプラザホール (福岡市博多区祇園町8ー3) 

 ☝「会場案内地図「会場までの交通アクセスが出て来ます。

チケット 前売り 1800円 / 当日 2000

◆チケット予約(申込みの様式が出て来ます)

お問合せplayunitkagikakko@yahoo.co.jp tel:090-1196-7569(酒井)                                                                   


 あらすじ

「性欲は真実の愛にとって障害となる」との信念を持つ針辻真(はりつじまこと)
そんな彼の前に謎の幼女A子が現れ囁く
「針辻君にも性欲は存在するー」。
A子の言葉は呪いとなって、針辻は惑い乱れていく…
愛に捕らわれ縛られた男は「真実の愛」を手にする事ができるのか?

 これは、とある男の「性欲」と「過去の罪」についての物語。


出演                                              浜地泰造                                             ぽち (非・売れ線系ビーナス)                                     藤田 恵佳(演劇ユニットそめごころ )                                酒井絵莉子                                             中山博晶(フリー)                                       丸尾行雅                                            石川優衣 ほか 


◆【演劇ユニット「」かぎかっこ】の「ホーム/facebook」

◆【演劇ユニット「」(かぎかっこ)】のTwitter 


 参考:

〇演劇案内:『かぎかっこ』(演劇ユニット「」第4回本公演)

 この記事中に、第2・3回の公演について少し触れています。

『愛と青春の旅立ち』-13/リネットにプロポーズするシド

  この記事の最後に「演劇案内」として、2012年7月14・15日の「旗揚げ公演」の案内をしていました。 『F』・作:宮森さつき ・演出:浜地泰造  〔北九州で社会人の浜地泰造と、現役大学2年生の酒井絵莉子がまさかの二人芝居! 年齢も住所も遠距離なコンビがこの夏、ついにユニットを結成!〕

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囲碁のこだわり―後編②(最終回)/桂盤と栗碁笥と硝子の碁石

2019年03月10日 17時50分07秒 | ■囲碁・将棋

  ルビコン川の向こうに   

 賽は投げられた! あとは《ルビコン川を渡る》=《囲碁3点セットとの対面》のみである。それがすべての始まりであり、また終わりでもある。

 その夜ーー。我が「カイサル(=シーザー)」は、5,000 yen」なる「貨幣」と〝交換〟可能な〝商品の価値〟について、密かに〝経済(観念欠落)学〟的分析を試みていた。

 言うまでもなく、ここでの「商品」とは「碁盤」一つに凝縮されるものであり、それがはたして「厚さ4寸(12㎝)以上の無垢榧盤」であるか否かということに尽きる。そのため彼は、「ジモティー」に掲載された「碁盤」の「写真3様」について、以下の「3点」を中心に検証を重ねた。

 ①碁盤の「樹種」は「材」or「材」。またはそれ以外なのか。

 ②その碁盤は「無垢材」or「加工材」。

 ③その碁盤の「厚み」は「何寸(㎝)」なのか。

 「写真」を縮小・拡大しながら、特に「盤面」の「木理(もくり=木目)」と「断面」を見極めようとした。結論として「樹種」の断定はできないまでも、明らかに「無垢材」であり、「厚み」も〝4寸2分ほど〟あることが判明した。その「数値」は、写真の「長径」と「厚み」の〝縮尺率〟から割り出したもの。カイサルは沈着冷静に、科学的合理性に富む対応を遺憾なく発揮したのだ。

 その結果、この時点すなわち〝ルビコン川を渡る以前〟に彼は早くも確信した。少なくとも《負けはない ❢ 》=《一応、購入か否かの対象にはなる》=《門前払いではない》。

 ※なお「掲示板」を通した「X氏」との「Q&A」のメールによって、「碁笥」は「栗」、「碁石」は「ガラス」ということが判明。しかし「碁盤」の樹種については判断が付かないとのこと。

            ★

 そして翌12月29日土曜日午後2時ちょっと前、カイサルは、予定通りスーパー駐車場のX氏」の車にあった「碁盤」と対面した。すなわち《ルビコン川を渡った》のだ。見事なシルバーヘアのX氏の推定年齢は、おそらくカエサルと同じ〝団塊の世代〟か年上の方だろうか。

 「囲碁はなさらないのですか?」 と言うカイサルの問いに、X氏は答える。

 「ええ。まったくしません」 そして〝ひと呼吸〟おいたX氏は、カエサルが「碁盤」の表面にそっと手を置いたのを確かめると、遠慮がちではあっても自信をもって〝さりげなく〟言った。

 「10,000円はするようですね」 ※注:もちろん「碁盤」だけの価格を意味する

 ……カエサルは、その〝ひと言〟に小さく頷きながらも、「碁盤」と「碁笥」の〝商品価値〟を〝超高速回転の脳髄〟で検証した。……「碁盤」には木質の汚損や欠損はなく、使用された痕跡も感じられない。「碁盤」は「榧盤」ではなかったが無垢」の「桂盤。カエサルは、その厚みが間違いなく「4寸2分あることを〝視覚〟と〝手触り〟で確認し、次に「碁笥」の独特な「目模様確認した。

 ……両確認タイムの合計=《only 10 seconds》……そして〝超々高速の最終決断〟を下す。言うまでもなく、あの

 (われ) 来た! 見た! 買った!

 ……である……その瞬間、カエサルは自らの気持ちに区切りをつけるかのように、

 「いただきましょう」……そう言うとブレザーの内ポケットから、事前に用意しておいた「封筒入り」の「5千円のピン札」をX氏に確認してもらうと、再びすみやかにそれを封筒に戻し、X氏に渡した。〝超々高速の手際よさ〟であり、〝円熟の境地〟に近づきつつある〝さりげなさ〟だった。

             ★   ★

 その夜の「掲示板」のX氏のメッセージはーー、

 『おかげで、とても良い取引ができました』(原文のまま)

 であり、無論、我がカエサルも、長文のメッセージを「掲示板」に返した。

 ……とここで〝一部の読者氏は〝疑念〟を持たれたに相違ない。前回記事の「X氏」による「掲示板のメール」では―ー、

 【……価格はあくまでも参考にしてます、希望価格の問い合わせをお待ちしてます】となっていたのでは? ……そうであれば当然そこに、

 A:価格交渉の余地〟があったのでは? 

 そしてこの〝疑念:A〟により、また〝別の一部の読者氏〟は、次のような新たな〝疑念〟を抱かれたに相違ない。カイサルが「5千円のピン札」を〝わざわざ封筒に入れてブレザーの内ポケットに準備完了〟していたという事実に対し、

 B:彼はルビコン川を渡る以前、すでに価格の〝引下げ交渉〟をする意志〟など毛頭なかったのでは

 結論を急ごう。……そうなのである。すなわちカエサルは、X氏の提示価格「5,000 yen」が、当初予算below 10 thousand yenを大きく下回ったことにより、あえて「価格引き下げ交渉」をする必要を感じなかったのではなかろうか。

 それに加えて、目の前の「碁盤」も「碁笥」も想像以上に品物がよく、しかもX氏はどうやら「目上の方」。さらに〝あと2日半〟で「新たなる年」を迎えようとしている〝時〟。……加えて、取引価格が「50,000 yen」というのであれば、多少の交渉の余地はあったかもしれない。……が、たかだか「5,000 yen」ではないか。

 ……そう。我が「ユーティリタリアン」カイサルは、彼なりの〝最大多数の最大幸福〟を自らに言い聞かせていたのかもしれない……。というより、生来の〝経済観念欠落性価格交渉不適応症状〟にすぎなかったのだろうか。ともあれ、これ以上詮索することは控えよう。

            ★

 硝子の碁石を洗う

 かくして、年も押し詰まった2018年12月29日 pm5:00。「桂の碁盤」と「栗の碁笥」と「硝子の碁石」を手に入れたカイサルは、まず「桂盤」と「栗碁笥」をじっくりとタオルで〝空拭き〟した。次に「バスユニット」にて「硝子製の白黒の碁石」を洗面器に入れ、そこに洗剤と水を入れた。

 それを終えたカエサルは、以下のような〝予定〟を〝瞬時に起案〟した。

 ①きっかり2時間経過後に「硝子の碁石」の「洗浄/拭上げ」を完了。

 ②上記①の完了後、直ちに「バスユニット」全体の「洗浄/洗出し/拭上げ」に着手及び完了。

 ③上記②の完了後、直ちに「部屋全体の本格的な整理整頓/清掃」に着手及び完了。

 すなわち彼は、「硝子碁石」の〝洗浄〟を機に「年末恒例の大規模な片付けと大掃除」をやろうというのだ。

            ★   ★   ★

 結論を急ごうーー。カエサルは上記①について、手際よく確実に作業を進めた。素材が「硝子」ゆえ、限りなく慎重かつ丁寧に〝洗浄〟し、その「ひとつずつ」を愛情深く慈しむような優しさで〝拭き上げ〟た。

 ……だが……上記①の作業完了後、カエサルがその後②の作業を完了し、③の作業に着手したという形跡は一切見られない。カエサルは①の作業終了後、ロフトに「碁盤・碁笥・碁石」を持ち込み、32年と1か月ぶりに触れた「碁石」と「碁盤」の感触にいたく感激したようだ。そして「名局」と言われた名人戦や本因坊戦をはじめとする「ネット上の棋譜」をひたすら並べ、それ以降のほぼ1週間、読書すら中断するほど没頭しきっていた。(了)


コメント (2)
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