★巻末に『九州大学春季公演』のご案内があります。
NHKの『100分 de 名著』の素晴らしさ
筆者は、本ブログの2011年8月27日と9月1日の2回に分け、『時を超えて/V.E.フランクル「夜と霧」』を連載しました(巻末にご案内)。
ヴィクトール・エミール・フランクルの著作『夜と霧』について、私の個人的な体験を綴ったものです。私自身の愛読書としても大きな意味を持っており、今でもちょくちょく拾い読みをしています。3月初めにも、ブログ掲載稿の再チェックのため、数回読み返したほどです。
そう思っている矢先、久しぶりに訪れた大型書店にて、『フランクル 夜と霧 -100分de名著』という文字が眼に止まりました。NHKの「テレビテキスト」です。さすがNHK、なかなかのタイトルですね。1回25分の番組を月4回行い、合計100分で名著のエキスに触れるとの趣旨なのでしょう。昨年8月放送のアンコールのようです。
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しかし、残念なことに1,2回分はすでに終了、何とか3月27日の3回目(再放送)を観ることができました。最後の4回目もすでに終了しており、再放送は4月3日水曜日の午前5時30分と午後0時25分です。ぜひご覧ください。
「テキスト」の中で、番組「語り手」の諸富祥彦(もろとみよしひこ)氏は、こう語っています。
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『フランクルの思想のエッセンスは、次のようなストレートなメッセージにあります。
どんなときにも人生には意味がある。
あなたを待っている“誰か”がいて、あなたを待っている“何か”がある。
そしてその“何か”や“誰か”のためにあなたにもできることがある。
このストレートな強いメッセージが多くの人の魂をふるわせ、鼓舞し続けてきたのです。』
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傍線部は私によるものですが、この確信と希望と使命に基づくフランクルの強いメッセージは何処から来たものでしょうか。それは、どんな“絶望の淵”にあっても“太陽の光”に感動し、どんなときにも“神への畏敬や祈り”を忘れなかった人々を目の当たりにした体験からでしょう。
フランクルは、人間の究極の価値たる“愛”についてこう語っています――。
――愛は結局人間の実存が高く翔(かけ)り得る最後のものであり、最高のものであるという真理である。私は今や、人間の詩と思想とそして――信仰とが表現すべき究極の極みであるものの意味を把握したのであった。愛による、そして愛の中の被造物の救い――これである。たとえもはやこの地上に何も残っていなくとも、人間は――瞬間であれ――愛する人間の像に心の底深く身を捧げることによって浄福になり得るのだということが私にも判ったのである。
被災地でよく読まれるという『夜と霧』
いきなり“『夜と霧』を読破しましょう”といっても、なじみにくいかもしれません。そこで、この番組を紹介したNHKのサイトをご紹介しましょう。
その最後に『プロデューサーNの「こぼれ話」』というコーナーがあり、以下の件(くだり)に眼がとまりました。N氏は、次のように述べています。
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『……今「生きる意味」を問うことは、閉塞感が漂う震災後の日本にとって大切だと思ったからです。このコンセプトを決めた後、制作協力をお願いしているテレコムスタッフのディレクターにさらに取材してもらったところ、「夜と霧」が被災地でよく売れているという事実が分かりました。そこで今回は、仙台と岩手でのロケも織りこみながら、構成を立てることにしました。……』
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この「番組」はとはとてもよくできています。4回分の番組のエキスがコンパクトに示されており、堅くて難しい『夜と霧』を親しみやすく、また何よりも非常に判り易く説き明かしています。
最後の4回目の“苦悩の先にこそ光がある”については――、
『……シリーズの集大成として、先行きの見えない不安が広がっている今、わたしたちは生きる希望をどのようにして見いだすべきか、フランクルの思想から共に語りあう。』
と締め括っています。
フランクルの『夜と霧』は、wikipediaによれば、1991年のアメリカ国会図書館の調査において「私の人生に最も影響を与えた本」のベストテンに入ったようです。また読売新聞による「読者の選ぶ21世紀に伝えるあの一冊」のアンケート調査において、翻訳ドキュメント部門の第3位にランクされました。
◆ヴィクトール・エミール・フランクル(Viktor Emil Frankl) 1905―1997。オーストリアの精神科医・心理学者。「精神分析学」の創始者であるシグムント・フロイト(Sigmund Freud 1856-1939).に師事。ウィーン大学医学部精神科教授。
※掲載の訳文は「みずず書房」の『夜と霧』(霜山徳爾)によるものです。
●併せて以下の3つをご覧ください。 👇クリック!
これはNHKのサイトです。
◆時を超えて(上)/V.E.フランクル『夜と霧』」(2011.8.27)
これは、私・花雅美秀理が、父によって『夜と霧』の本と出会った小学3年時の体験です。
◆時を超えて(下)/V.E.フランクル『夜と霧』」(2011.9.1)
これは大学生となった私の、『夜と霧』との再会を巡っての体験です。
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九州大学春期公演 のご案内
「再考」 作・演出/山本貴之
◆公演日時/2013年4月27日(土) ①13:00~ ②16:00~
※「演劇時間」は、いずれも「40分」程度です。
◆料金/無料
・ご予約は「メールボックス」もしくは「お電話」にて承っております。
・メールには、お名前、ご希望の時間、を明記してください。
◆場所(会場)/さいとぴあ ⇒ 会場HPはこちら
・九大学研都市駅から徒歩1分以内。
・道路をはさんで反対側には「イオンモール」があります。
・建物内において、「係り」の者が「ご案内」をさせていただきます。
《あらすじ》
2012年世界は滅亡しなかった……………
絶望する少年と、そこへ歩み寄る謎の男。
「世界を終わらせる。」
”終わり”の後には何が起きるのか?
宇宙と人間の愚かさは本当に無限大か?
少年と男の結末の行方は?
ご来場を心よりお待ちいたしております。
九州大学演劇部