『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・哀悼:『JET STREAM』城達也氏:下/SOUNDアーカイヴ:Vol.4

2014年02月28日 00時07分29秒 | □Sound・Speech

 

 前回ご紹介した「JET STREAM」の「ナレーションメッセージ」をご覧ください。「ゴシック」(太字)になっている部分が2か所あります。

 「たゆみない」については、「限りない」となっているものもあるようです。「限りない」から「たゆみない」へと後に変わったものでしょう。私見ですが、「たゆみない」の方が、ぴったりしていると思います。

 「限りない宇宙の営み」となれば、「時空」すなわち「時間・空間的」な「制限」あるいは「限界」といったニュアンスがありますが、「たゆみない宇宙の営み」となれば、「時間・空間」を超えた「宇宙の意思」のようなものを感じさせます。そこに「果てしない広がりや深さ」が、いっそう表現されているような気がするのですが……。

 「光と影」については、「消えて行った遥かな地平線」が「まぶたに浮かんで……」ということですから、ここでの「」とは、本来「(翳)」のことでしょう。つまりは、「」=「光がある部分」と、「(翳)」=「光がない部分」との対比なのだと思います。

 

  ◇ヴァイオリンSOUND と 城氏のナレーション……奇跡のコラボ

 それにしても、城達也氏のメッセージナレーションとバックの音楽が見事に調和しています。高音部中心の、ゆったりと流れるような「ヴァイオリン SOUND」がいいですね。清浄無垢な “夜の静寂(しじま)” が、余すところなく表現されています。そのため、 “果てしない宙空” への誘(いざな)いがいっそう感じられ、 “SPIRITUALな夜間飛行” が巧みに演出されているようです。

 そこに、“さまざまなしがらみ” に疲れた、人それぞれの “安らぎ” もあるのでしょう。同時に、明日への希望と再生も見いだせるようです。まさに「ヴァイオリン SOUND」と「城氏のナレーション」との “絶妙なコラボレーション” といえるでしょう。いえ、“奇跡” と言うべきかもしれません。

 なお「番組終了時」の「エンディング・メッセージ」は以下の通りです。

        ☆

  夜間飛行のジェット機の翼に点滅するランプは、遠ざかるにつれ 次第に星のまたたきと区別がつかなくなります。

  お送りしておりますこの音楽が、美しく、あなたの夢に溶け込んでいきますように。

    「お送りしております」には、「お聴きいただいております」というバージョンもあります。

        ☆   ☆   ☆

  城達也氏を初代の「機長」すなわち「パーソナリティ兼ナレーター」として、現在は「五代目」の「大沢たかお」氏が担当しています。しかし、筆者は前回述べたように一度もこの『JET STREAM』を聴いたことはありません。そして、これからも聴くことはないでしょう。

  それはおそらく、筆者にとっての「JET STREAM」とは、「城達也氏そのもの」であり、あの衝撃とも言える感動をもたらした「詩の朗読者」だからです。40年以上前に “LIVE” で触れたその “姿” と “肉声” を大切に “ しまっておきたい ” という気持ちが強いからでしょう。() 

  ◆動画『JRT STREAM ENDING』(エンディング:夢幻飛行[4:26][y1945yyさんの作品です]

 

   ★★★★★★★ Passenger ★★★★★★★ 

   ――JET STREAM でしょ。わァ~ 懐かしい! あたくし、ず~っと聴いてたの。城達也さんの声が甦って来るみたい……。 

   ……夜間飛行のお伴をいたしますパイロットは、わたくし、城、達也です……って。 とってもステキ! ねえねえ。あなたが「機長」で、あたくしが「キャビン・アテンダントCA)」って、いいと思わない? ちょっとやってみようかしら?

 『……みなさまに、ご案内いたします。この飛行機は、ただいまからおよそ30分ほどで「サンフランシスコ国際空港」に到着の予定でございます。地上からの連絡によりますと、サンフランシスコのお天気は晴れ、気温は摂氏18度とのことです

   ……Ladies  and  gentlemen, we  are  landing  at  San Francisco International Airport ……』

   この英語のアナウンス、一度言ってみたかったの。憧れていたのね。 

    ……………でも、でも……あたくし、何か違うような気がするの。ねえ、そう思うでしょ? ああ。やだ、やだ! やっぱり……そうよね~。 <あたくし>と<あなた>って、「機長」と「CA」っていうより、やっぱり「passenger(乗客)」のほうがピッタリしてるわ。絶対そう! ねっ? そうでしょ? 

   もう、オフシーズンみたいなものね。きっと今は、ず~っと格安よ。……ああ。ここはやっぱり、北イタリアのような気がしません? ……水の都・ヴェネチア……モードの街・ミラノ、食の都・トリノ、そして港町のジェノヴァ……。

    なかでもミラノね。あなたが大好きなレオ様の『最後の晩餐』の壁画……それってミラノの……え~っと……サンタマリア……何とか教会……なんでしょ? ああ❢ ヴェネチアにも、すご~く、関心がおありでしょ? でもここまで来たら、あなたのお得意のルネッサンス発祥の地、中部のフィレンツェも入れなくっちゃ。

 ……ねえ? あたくしのお友達のお友達が、何とか旅行社にいるの。きっと、とっておきのパッケージがあると思うの。尋ねてみようかな? あたくし、お友達にも呼びかけて……あなたも大学時代のSさんなんかどうかしら? 

 ね~え? 聞いてる? ねえってば…… ねえ? あれっ? 眠ちゃったの? 

          ★   ★   ★

  ◆『総督(Doge)のクジ運―遥かなりヴェネチア共和国』(本ブログ:2011.6.24)

  ◆『法皇選挙の白い煙/続・Dogeのクジ運(2011.12.28)

  ◆『万能の天才――レオナルド・ダ・ヴィンチ』(2009.5.24)

  

          ★   ★   ★

 

 ※詩のご紹介

   明 日    黒田三郎

 明日などはなかった

 この世の汚辱のなかで 滅びるに任せようと

 明日のないその日その日を送る以外に

 僕にはどんな運命もありはしなかった

 明日も今日のように

 僕は煙草をくわえ

 ビルディングの二階で エンピツを握って暮らすであろう

 しかし 明日などはありゃしないのだ

 腹立ちまぎれに

 僕がくしゃくしゃに書類をまるめようと

 僕がのんびりビールを飲んでいようと

 いつのまにか有能な課長になっていようと

 しかし明日などは ありゃしないのだ

 

 風のように気まぐれな少女よ

 そのとき僕はあなたの眼のなかによんだのだ

 その言葉を

 「明日はある

 信じなさい 明日はある」

 気まぐれな少女よ

 もしもそのとき僕が

 あなたに賭けさえしなかったら!

 


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