『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・雲水の振鈴に起されて(坐禅の魅力と限界:1)

2011年07月19日 00時18分21秒 | ■禅・仏教

 3月末の引越以来、未だに荷解きしていない段ボールが7、8個残っています。つい先日、ようやく覚悟を決めて整理を開始しました。

 その中で永平寺の『参禅のしおり』が出て来ました。「永平寺」については、本ブログ『永平寺の参禅修行-叱られるために(上)』(2011.4.14)で触れています。

 結局、永平寺の「参禅」には、1987年の5月、8月、12月及び翌1988年2月の4回参加したようです。はじめの2回は「一般参禅」であり、文字通り素人の「一般人」としての参禅でした。
 次の12月の「臘八摂心(ろうはちせっしん)」(※註1)と2月の「涅槃会報恩摂心(ねはんえほうおんせっしん)」(※註2)は、雲水に交じってのものでした。そのため「坐禅」は「僧堂(そうどう)」で、また朝課(ちょうか)という読経などは「法堂(はっとう)」において体験しました。 ※以下の「日課」は「一般参禅用」のものです。

       ☆    ☆    ☆   

 ≪起床洗面≫が3時30分となっています(冬期はこれより1時間遅くなったようです)。そんなに早く起きていたのだろうかと、正直言って驚きました。
 この「起床」の際の相図として、「振鈴(しんれい)」というものがあります。若い雲水が、手にした小さな鐘(鉦)を振りながら僧房の雲水や宿泊の参禅者を起こします。

 夏場といっても無論まだ空は暗く、“大本山”と呼ぶに相応しい開祖の仏寺はとにかく広いのです。何人もの若い雲水たちが必死の様子で走り回っていたのでしょう。一度その姿を見たような記憶があるのですが……。
 樹齢七百年もの杉の樹々に囲まれ、一切の世俗から断たれた静謐な佇まい――。その静寂を突き破るように振鈴が駆け抜け、朝がそして一日が始まるのです。“静”の世界の中でもっとも“動”を感じる瞬間です。

 この振鈴の開始から20分後の3時50分、≪暁天坐禅(ぎょうてんざぜん)≫が始まります。その日最初の、文字通り“明け方”の「坐禅」です。
 
 それが終わると、5時より≪朝課(ちょうか)≫が小一時間続いたでしょうか。「朝課」とは朝の「勤行(ごんぎょう)をさし、主に読経するものです。この後、ちょっとした自由時間があり、7時ちょうどから≪小食(しょうじき)≫つまり「朝食」となります。「食事」の作法の厳しさについては、ご紹介したブログのとおりです。

 とにかく、食事の進み具合は早いという印象でした。参禅者全員の食事の速さが揃うようにとの指導のため、横目でチラチラ見ながらというのが基本でした。といって辺りを見渡そうものなら、“何をきょろきょろ観ているのですか。ここは道場ですよ”と叱責されたでしょう。

 永平寺では、坐禅や食事をする「僧堂」に、「浴司(よくす)」と「東司(とうす)」(=便所)を併せた建物を“三黙道場(さんもくどうじょう)”としています。つまりは食べることも、排泄することも、そして坐禅することも経典を読むことも、その総てが修行というわけです。
 ことに「僧堂」では余計な音をたてたり、不用意な所作などを慎まなければならず、一挙手一投足に厳しい雲水の目が注がれていました。

 とても“再進(さいしん)”という“おかわり”をする余裕などありませんでした。仲間が「応量器(おうりょうき)」(=食器※註3)を上げ下げする動作を頼りに、その気配を聴き耳を立ててうかがっていたのです。そのため、普段マイペースでゆったりと食事をする女性にとっては、大変な“修行”となったようです。
 
 8時30分から≪作務(さむ)≫、10時から≪坐禅≫そして11時の≪日中≫と続き、12時ちょうどに≪中食(ちゅうじき)≫という「昼食」時間を迎えます。

       ☆    ☆    ☆   

 ※註:1 釈尊は35歳の12月8日、すなわち「臘」月(ろうげつ)の「八」日に菩提樹の下で悟りを開いたとされ、それにちなんでのものです。なお「摂心」とは、坐禅三昧といったものです。永平寺では12月1日から8日までの七泊八日あるようですが、私は前半の三泊四日の参加でした。
 註:2 釈尊の涅槃(死去)にちなみ、その教えに対する恩に報いるための坐禅修行ということでしょう。
 註:3 先にご紹介のブログ記事に詳しく書いています。
 

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