『感性創房』kansei-souboh

《修活》は脱TVによる読書を中心に、音楽・映画・SPEECH等動画、ラジオ、囲碁を少々:花雅美秀理 2020.4.7

・なにも足さない。なにも引かない/CMキャッチコピー:(下)

2013年03月23日 09時44分40秒 | ■文化小論

 

   みんな悩んで大きくなった。   サントリー

  わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい』という「丸大食品」のハムやハンバーグのコピー。頑固一徹でちょっと厳しそうな父親というテレビCMの設定は、好感をもって迎えられたようです。息子から見た理想の「おやじ」であり、娘や妻から見ても素敵な「おとうさん」、そして頼もしい「夫」だったのでしょう。

 食べ物となれば、『ハウスバーモントカレー』も一世を風靡しました。この商品名が出て来ると、『りんごとハチミツ 』というフレーズが、西条秀樹の歌声とともに脳裏を巡ります。

                       ☆

 『みんな悩んで大きくなった~』はサントリーGOLDのコピー。野坂昭如氏が「♪ ソッ・ソッ・ソクラテスかプラトンか。ニッ・ニッ・ニーチェかサルトルか。みんな悩んで大きくなった。♪ 」と軽快なダンスステップで歌うCMでした。

 二番の歌詞は「♪ シェ・シェ・シェークスピアか西鶴か。ギョ・ギョ・ギョエテかシルレルか。みんな悩んで大きくなった。♪ 」――30年以上も前のCMです。ちなみに「ギョエテ」はゲーテ、「シルレル」はシラー。

                       ☆

   一瞬も一生も美しく   資生堂

 筆者のように「化粧品」を使わなくても、資生堂の『女性の美しさは都会の一部分』や『一瞬も一生も美しく』(2006年元旦広告)は好きなコピーです。

 また、パナソニックの『きれいなお姉さんは好きですか?』も味わいのあるメッセージでした。テレビCMの映像は何も憶えてはいませんが、無名の水野真紀や松嶋菜々子が登場していたようです。                                                                                             

 その他のコピー――。『志望校を母校に』というのはどこの予備校でしょうか。

 『地図に残る仕事』(大成建設)や、『ピッカピカの一年生』(小学館:子供向けの学習雑誌)、『やめられない。とまらない』(カルビー:かっぱえびせん)、さらには『反省だけなら、サルでもできる。や『バザールでござーる。』も耳に残っています。

 東日本大震災後、公共広告機構の『心は誰にも見えないけれど、心遣いは見える。も印象的でした。

         ☆   ☆   ☆

 以上、最近はほとんどテレビを観ない筆者が、むかし昔のコピーを思いつくままに拾ったものです。若い人には、ピンとこないものが大半でしょう。

 それにしても、「サントリー」と「資生堂」は、いつの世も素晴らしい「コピー」を提供する企業ですね。まじめな話、「経済効果」を押し上げているのではないでしょうか。

                

 最後に――。筆者がこれ以上の作品はないと思っているコピーがあります。サントリー「シングルモルトウイスキー」の

  なにも足さない。なにも引かない

 「一字一音の無駄」もありません。しかも、前後する「2フレーズ」の違いは、「足さ」と「引か」の「2音だけ」という単純明快さです。それだけに「受け手」の「イマジネーション」や「クリエイティビティ」に負うところが多いのでしょう。

 ところで、筆者はこのコピーが「新約聖書」の「ヨハネの啓示(ヨハネの黙示録)」と関わっているような気がします。聖書の最後の章となる第22章18・19節に出て来る一節を彷彿とさせるものがあるからです。聖書をお持ちの方は、ぜひ確かめてみてください。

 ★ CМ動画:『なにも足さない。なにも引かない。』(サントリー)

 

        ★★★ 何も……ない ★★★

   ―― なにも足さない。なにも引かない

  ……って、ほんとにステキ。こんなに無駄がないフレーズって、そうないでしょ? 

 ところで、どなたかがおっしゃってたわ。最近、またあなたの「靴下」が失踪しかけたんですって? 気が緩み始めたのかもしれないわね。

   そこでたったいま、あたくし、あなたの「キャッチコピー」を思いついたの。

 ……これ! もう、絶対にこれ しかないと思うの! ねえ? いいかしら? 

 少しインパクトがありすぎるかも……。 だから、心して聞いてくださらないと……。 

 

  ―― なにも履(は)かない。

 ……ねっ? 一字も、一音の無駄もないでしょ? いかが? 

 ……ねえ? 聞いてる? ね~え? ……あれ? 眠ちゃったの? 

 やだあ~❢ 

  だったら、もうひとつ「コピー」を加えなくっちゃ………

  ―― なにも聞かない。

 

  ……………でも……、でも、でも、この場合の「きかない」は、こっちの方がいいのかも………

 ―― なにも効かない。

 

 

 


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9 コメント

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大きくなっても悩み中 (O太郎)
2013-03-24 20:45:12
 野坂昭如氏のCMの件、すっかり忘れていました。あの頃は、確かに「小難しいもの」に憧れ、また議論しあっていたような気がします。時代というものだったのでしょう。またお邪魔します。
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悩み続けて (shuri)
2013-03-24 21:31:37
70年安保を挟んだ私の大学生時代、プラトンによる『ソクラテスの弁明』やニーチェの『ツアラツストラはかく語りき』、それにサルトルの『嘔吐』やボーヴォワールの『第二の性』などは、社会科学系の学生が読んでいたように思います。みんな悩み続けて成長したのでしょうね。
 コメントありがとうございます。
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キャッチコピーといえば (浜地泰造)
2013-03-26 19:43:30
キャッチコピーといえば、糸井重里氏のゲームMOTHERの
「エンディングまで泣くんじゃない」等がパッと思いつきますね。
最近の、ブラックサンダーの「一目で義理と分かるチョコ」というのも中々にウマいと思わされました。
また、キャッチコピーとは離れますが、「別府競輪の男達」が非常に面白かったです。http://www.youtube.com/watch?v=CTeKoMbd8R8

さて、花雅美先生。こんにちは。ご無沙汰しております。ご挨拶が遅れました。
九州大学演劇部の浜地です。現在脚本選びに少々手間取っておりまして、是非とも先生のお知恵をお借りしたくコメントさせていただきました。
また、お時間がある時がございましたら、宜しくお願いいたします。
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いいですね。『別府競輪の男達』 (shuri)
2013-03-26 23:28:50
 あなたのことはしっかり憶えています。私の意識の中では「泰造さん」という親しみあるイメージが勝手に形成されています。
 「六本松キャンパス」時代の「学祭テント小屋」でのあなたのドリンキングの演技とシーンがなぜか印象的です。

 今日は小郡教室での授業の後、朝倉で打合せがあり、たったいま帰宅。返事が大変遅くなりました。

 『別府競輪の男達』――。さっそく拝見しました。なかなかいいですね。たちまち好きになりました。地デジ以降、私はほとんどテレビを観ないので気づきませんでしたが、変に「ヒネリ」を入れない素直な表現だけに、受け手のイマジネーションをグッと拡げてくれますね。 
 これからは、テレビも積極的にいろいろ観てみようと思います。また「キャッチコピー」だけでなく、こういうカテゴリーの動画についても、「ブログネタ」にしていこうかとひそかに想ったところです。

 さて、2月、3月は土日もいろいろな用事で出かけ、2月「後期定期公演」の「ボクサア」にも行けませんでした。また、そのお詫びのメッセージも送れないまま大変失礼いたしました。せっかくご案内をいただいておりましたのに。

 さてさて、大変な難問をいただいたものです。私のような素人が、泰造さんのような若き俊英のお役に立つことがあればよいのですが……。
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お返事誠にありがとうございます。 (泰造)
2013-03-28 14:12:47
お返事誠にありがとう御座います。早速、花雅美先生が先日の公演を見に行けず残念そうであった事を後輩達にお伝えしたところ、お姿を拝見しないので心配していたが、お元気そうで何より、と安心した様子で御座いました。また、いつも公演を見に来ていただき誠にありがとうございます。この場を借りて私からも御礼申し上げます。

さて、コメント欄で長々とお話しするのも聊か無粋では御座いますが、お許しください。
先日お話させていただきました、「脚本選び」に関してのご相談であります。
以下、概要をお話させていただきますが、若輩者のちょっとしたボヤき程度に捉えていただき、もしお時間に余裕が御座いましたら何かアドバイス等頂けたら幸いで御座います。
現在、夏の公演に向けて2人(3人も検討)の脚本を捜索しているのですが、これが想像以上に難航しております。1.あまり舞台化なされていないもの 2.90分以内に収まるもの 3.作者のメッセージ性が読み取れるもの 以上を主なポイントとして、会話体小説や落語等も含めて探索をしておりますが、なかなかにこれだ、と思うものに行き着かないのが現状であります。
さしあたって現在までの候補は 井上夢人 小説「もつれっぱなし」より短編
平林 初之輔 「予審調書」 落語「死神」を舞台用に脚色等古典を中心に案が出ているのですが、中々コレ!といった作品に辿り着かないのが現状で御座います。また、2人芝居ですと、会話がメインとなるため、舞台化するメリットが少なく、リーディング公演の様になってしまう事も、難航の一因となっております。
そんな中、花雅美先生のオススメの脚本や、我々に挑戦してほしい事、こういったお芝居が見てみたい、というリクエストなどありましたら、ご教示を宜しくお願い致します。
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落語の脚本化はいいですね。 (shuri)
2013-03-28 22:03:55
今日は夕方戻りましたが、今まで来客でした。
 
私のような素人が「助言」などおこがましいのですが、「九円フアン」の一人として思いつくままにお話しします。「演劇脚本」はあまり知らないので、「お薦めの脚本」と言われてもすぐには思いつきません。

泰造さんが『我々に挑戦してほしい事』と言われたので、お言葉に甘えて個人的な所見を――。
落語の演劇脚本化については大賛成です。「死神」は私も大好きな噺であり、演劇として「サゲの蝋燭に関する部分」をどのように演出・演技するのか、想像しただけでワクワクしてきます。
とはいえ、細かい演出・演技が要求されるため、脚本も相当難しいことでしょう。

今日は、とりあえずここまでといたしましょう。続きは2、3日内にと思います。私も少し熱くなってきました。
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泰造さんへ (shuri)
2013-03-31 20:15:47
  前回(3月28日)の私のコメントは、あくまでも個人的な所見です。あのコメントに拘束されないようにしてくださいね。
  とはいえ「落語の演劇脚本化」については、実際に舞台化するか否かは別として、価値ある挑戦と思います。私がそう思うのは――、

  「落語の演劇化」に注ぐみなさんの“創造的なエネルギー”や“感性”が、「演劇人」としてはもとより、「学生」そして「企業人・職業人」さらには「人間」としての飛躍的な成長をもたらすと思われるからです。

  そして、この「人間」としての成長は、「企業人・職業人」そして「学生」さらには「演劇人」としての成長をいっそう推し進めて行くことでしょう。このことは「演劇」に限らず、およそ「人間を描く芸術すべて」に共通の“創造的なエネルギー”の本質ではないでしょうか。

  そのためにも、「脚本化」だけにとどまらず、「舞台設定」や「小道具」、「照明」や「音響」さらには「案内チラシ」や「案内プログラム」についても、“新しい視点と工夫”により、みなさんの“創造的なエネルギー”をいっそう発揮していただきたいと思います。

  ほんのちょっとの配慮や工夫によって、演劇世界の“現実感”や、その逆の“虚構性”がぐんと拡がり、観客をこの上もない「演劇の時空間」に誘うことになるでしょう。このようなことは、いまさら私が言う必要もないと思いますが。“観客の立場”だからこそ、よく見えることもあると思います。

  私なりのイメージはないこともありませんが、今日はここまでにしておきましょう。今回の件については、「一観客としての立場」から、本ブログで綴ることがあるかと思います。

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お返事ありがとうございます。 (泰造)
2013-04-05 20:44:39
ご返信が遅れました。
アドバイスいただき、誠にありがとうございます。
お客様の貴重なご意見として、心に留めおきました。

現在もこの件に関しては模索中ですので、古典、と言っておきながらガラッと変わる可能性も大いにございます。
その際はまた様々なご意見お待ちしております。

やりたいことをどのように表現するか、表現者としての自分を見つめなおすきっかけとなりました。ありがとうございます。
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大いに模索し続けてください (shuri)
2013-04-06 03:48:11
  何であれ、またどうなるにせよ、参考になれば幸いです。大いに模索し続けてください。
  今日6日は、人生初の「舞台演劇昼夜ダブル観劇」。F大&S大です。泰造さんとこうしたやりとりをしているうちに、何かに火がついたのかも知れません。
 もちろん27日のK大もと思っています。
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