おはようございます昌栄薬品の宮原 規美雄です
黄帝内経素問 異法方宜論篇 第十二 第二節(2－5)
西方者金玉之域、沙石之處、天地之所収引也。其民陵居而多風。水土剛強。其民不衣而褐薦。其民華食而脂肥。故邪不能傷其形體。其病生於内。其治宜毒藥。故毒藥者、亦從西方来。
(語句の意味)
金玉＝黄金珠玉。貴重品。
＝銅や大理石などの沢山産出する地域・鍼灸医学大系
沙＝スナ→砂。砂原。はま。水ぎわ。みぎわ。沙汀。
天地之所収引＝西方は天地粛殺(草木などを枯らす)の気盛んなるにより、かくいうたものであろう。鍼灸医学大系
陵＝広大な丘。
水土＝川と陸地と。土地。水と土と。
剛強＝気象がたけだけしい。
其民不衣而褐薦
衣＝きぬ。衣服。着物。
褐＝そまつな着物。
薦＝むしろ。獣畜が食う草。
病生於内
内＝内傷
内傷＝病因の一つ。臓気を内損(不摂生)して病をおこす原因をさす。たとえば七情不摂・飲食不摂生・労倦・房事過度など。
七情不摂＝喜怒憂思悲恐驚など七種の精神情志の変化が精神活動に影響を及ぼす。
労倦＝起居・労働の不節制および、それによってもたされる過労状態。
房事過度＝男女の交接過度。
華食＝「華」とは、新鮮でおいしい乳製品や肉類をいう。新鮮でおいしいものを食べるので、人体は肥満する。東洋学術出版社素問
＝肉食や獣乳をのむこと。鍼灸医学大系
脂肥＝脂肪が肥厚すること。
毒藥 柴崎保三著鍼灸医学大系より
＊毒 この字の原形は未詳である。この字の表わすコトバＤokという語形は、熟や粥ときわめて近いコトバで、つまり固有の形を失ってグダグダに溶けたかゆ状のものを意味するのである。今日の北京語に「毒一個茄子」（ナスをグダグダに煮て熟させる）というコトバがあるが、この毒はよくその本義を保存している。
野菜でも肉でも形を失う程グダグダになったものには腐敗したものが多く、腐敗したものは一般に有毒であって食べてはいけない。そういうところから今日のドクという意味が派生した。鍼灸医学大系
＊藥 ＜説文＞には「病を治する草なり。艸に従い楽の声」と解説している。つまり病根をつぶしてしもう薬草のことである。
そこで「毒薬」とは、薬草をグダグダになるまでよく煎じたものを意味するもので、つまり「せんじぐすり」である。
毒薬を毒を以て毒を制す等と解説するものあるも、それは毒の原義を知らぬものの誤った解説である。勿論薬草中には所謂ドクなものもあるが、薬草凡てドク草とは限らぬ。薬そのものが已に「病を治する草の意」なのである。それをそのまま与えるのではなく、十分煮て恰かも粥の状態にして与える、それがつまり毒薬なのである。鍼灸医学大系
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