ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

今日のお題は〝皹〟

2017年03月15日 | 俳句

 このブログを始めて1ヶ月、何とか手助けをして貰いながらここまできました。
 写真を入れるのにも、大きかったり、逆さまになっていたりと苦労しましたが、どうにか見られるようになったでしょう?
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 コメントや読者登録など、初めて頂き有り難うございます。コメントへの返信をしたいのですが、やり方がわからずごめんなさいね。
 先日のこと、書き上げた原稿を私の手違いで見失ってしまい、慌ててバックアップを探したのですが、結局ダメでした。涙ですよ。
 一度書いたものをもう一度書き直すのは、精神的にも疲れますしね。そういうわけで、分らないときはパスするのが賢明と気がつきましたので悪しからず。
 昨日は岬の俳句教室でした。今8人のこじんまりとした和気藹々の教室で、楽しいです。
 早速日曜日の「金子みすゞ俳句大会」の話をし、その様子はブログで見てねと、宣伝をしておきました。
 それではまず先月の添削句よりいきましょう。

    いつも言ひし皹を母勲章と

 原句は〈あかぎれは勲章なりと母の声〉でした。今時珍しい「あかぎれ」という季語、すぐに飛びつきましたよ。だってあかぎれが勲章とは…いい言葉です! それも「母の声」とあるから、これは作者のお母さんの言葉でしょう。でも、まだお元気なんでしょうか?それとももう亡くなられているの? そこのところが分ると、もっとしっかりした鑑賞ができますね。
 「皹(あかぎれ)」は冬の季語。他に「霜焼」「胼(ひび)」などもありますが、これらは私が子供の頃に経験したことで、今のような暖房器具が発達した時代には、もう殆ど無縁のものになっていると思っていました。冬山登山などをされる方にはまだあるかもしれませんが…。それでこの句は、亡くなられたお母さんの口癖だったのに違いない…それを冷たい台所仕事をしながら思い出して詠んだのだろうと。ところがとんだ間違いでした。実はこのあかぎれは母ではなく、作者自身のものだったのです。エッ!ホントと、びっくりしてしまいました。
 すると、これ、これと、手をひらひらさせて証明してくれましたが、見るからに痛そうで、それも両手の至る所にできていて。聞くところによると、この一、二年次々とお孫さんが生まれ、そのおむつなどの世話をしていて、そうなったのだそうです。手袋を使ってもダメ、病院に行ってもよくならないと聞くと、気の毒で本当に可哀想でした。これは過去の話ではなく、現実だったのですね。
 だから、この句の母はまだ健在のお姑さんのことで、あかぎれの出来た作者を「それは母の勲章だからね。」と言って、慰めてくれたんですって。これもいい話ですね。
 昔の〝はは〟は、勿論私の母もそうでしたが、子供のため、家族のためなら…エンヤコラと、我身を削って働いてくれたんですよ。こんなこと書いていたら、昨年11月に亡くなった母のことが思い出されて、涙が出そうです。ホントに働き者の母でしたから。いくら頑張っても、私は到底母の足元にも及びません。自分のことは何でも後回しにし、母は形振り構わず9人の子を慈しんで育ててくれました。本当に〝お母さんありがとう〟。感謝、感謝です。母のことを話し出したらきりがありませんので、また何かの折にでも書きましょうね。
 本題に戻りましょう。作者の話を聞いて、この句は次のように直しました。

    皹は母になりたる勲章と

 次の句は一茶です。これも涙が出ますね。

    皹をかくして母の夜伽かな

 「夜伽」とは、警護や看護などのため夜寝ずに付き添うことです。でもこの母は一体誰でしょう?
 一茶の生母は3歳で亡くなっていますし、継母とはとても仲が悪かったし…それとも自分の子の母、即ち妻かしら…。一茶が旅で寝た遊女のことを母と…なんて解説もあってびっくりです。でも、この句は遺句集の中にあるのですから、きっと詠んだのは晩年でしょう。だとするとやはり妻かも。
 一茶は、50歳までは定住せずに、やっと52歳で初めての結婚をし、三男一女に恵まれて喜んだのも束の間、その子たちを次々と亡くし、挙げ句の果てに奥さんまで失ってしまう。2回目はすぐに離婚、更に3回目の結婚をして、やっとまた我が子に恵まれるものの、その顔を見ることなく64歳で死にます。なんと知れば知るほど哀れな人生ですよね。だから、あんなに優しい俳句が詠めたのかも。
 そんな一茶に合掌、母にも合掌。


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