今日は久し振りに一雨きました。でも、雀の涙に毛が生えたぐらいかな…まあ、降らないよりはましですけどね。先程のニュースでは、同じ山口県でも岩国の方は大雨注意報とか、どうなっているんでしょう?
この程度ではやっぱり、蒸し暑さが却ってひどくなったような感じでした。こういう状態には、俳句では「溽暑」(じょくしょ)という季語を使います。「溽」には、蒸し暑いや湿気が多くて暑いの意味があり、じっとしていても汗が吹き出てくる、絡みつくような蒸し暑さをいうんです。要するに「暑さ」を、肌に感じる熱気と湿度を前面に出した、感覚に訴えた季語なんです。
椰子の葉のざんばら髪の溽暑かな 鷹羽 狩行
「ざんばら髪」というのは振り乱した髪のことですが、ここでは椰子の葉がそのように見えたということでしょう。もともと熱帯地方に分布する植物ですから少々の暑さには慣れているだろうのに。余りにも耐えがたいこの蒸し暑さの不快感に、さすがの椰子も髪を振り乱して…と詠んでいるのです。狩行の自家薬籠中のメタファーはさすがですね。椰子と人間の映像が重なって見えてくるでしょう。
今日の花は〝灸花〟(やいとばな)で、アカネ科の蔓性多年草です。夏の季語。花がお灸のもぐさに似ているところからこの名があるのですが、全体に悪臭があり、正式名は〝屁糞葛〟(へくそかずら)と言います。ナントモ可哀想な名前でしょう。花そのものはこんなにカワイイのに…。同情しますよ。
名をへくそかづらとぞいふ花盛り 高浜 虚子
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