ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

俳句の〝余白〟

2019年07月04日 | 俳句

 梅雨前線が活発化した影響で、このところ毎日強い雨が降り続いている九州南部、その宮崎県えびの市での総雨量が1000㍉に達したという。その他各地でも昨年の西日本豪雨の総雨量を超えているそうです。そのため鹿児島、宮崎両県では計約52万世帯、計約110万人に避難指示がでたとも。昨年のブログでは3日から4日にかけては台風7号が山口県を通過したと書いていましたが、たいして被害はなかったみたい。

 こうも次から次に災害に見舞われるのをみると、もうほどほどのところで収めてほしいと思います。それがどこであろうとも他人事とは思えませんから…どうぞ神様お願いしま~す!

 さて、先日の兼題「夏薊」の句で、〈信じたる人の裏切り夏薊〉というのがありました。私はいいと思ったのに…ナンと一点も入らなかったんです。う~んなぜなんでしょうか。不思議!初心者の句とすれば、ほどほどに季語も効いているし、作者の気持ちもよく分かりますもの。だとすると、その分かりすぎるというところにこの句の欠点があるのかも。

 俳句は575ですので、何もかも言おうとしてもとても言いきれません。狭すぎるんです。だから句の行間の空白に托して〝言わずに語る〟ことが大切。それができれば、俳句の描く世界をぐっと広くすることができるのです。そのためにはいかに不必要な言葉を省くか…即ちことばの無駄遣いをなくすということが第一なんです。そうすれば削ったところに空白が生まれて、そこに違った状景を加えることも、また、背景を広げることもできるんですよ。

 この上掲の句の場合は、上五中七の中で〈裏切り〉というのが季語に対する重要な斡旋になっています。とするとこの言葉はそもそも〝約束や信義に反する行為〟をいうのですから、また、裏切るのは人(人の関わっている会社なども)に決まっていますから、〈信じたる人の〉を省いたとしても十分に意を伝えることができますよね。そうすると、8音も余白ができてしまい、それを埋めるのに初心者は四苦八苦することになるのです。俳句は短いから言いたいことが十分言い切れないと嘆いていた人が、〝この言葉は不要だから削って他の言葉で補って描写しましょう〟というと、今度はこの余白を持てあまして二進も三進もいかなくなり…最後にはギブアップしてしまうことも。というわけで、結局は言わずもがなのありきたりの言葉で埋めてしまうんです。

 このように分かりきった言葉で埋めればすぐに五七五になりますし、一応俳句らしくもなります。でも、最初はそれでいいんです。そこから始めて徐々に省略を効かせることを学んでいけばいいと思います。もし最初から省略の効いた奥行きの深い句が詠めたとしたら、あなたは天才かもよ!

 ではみなさん、上掲の句を「裏切り」と「夏薊」の取り合せで、残りを補って一句に完成させてみましょう。どんな句ができるかしら?楽しみですね。さあガンバッテ!

 写真は、〝白粉花〟(おしろいばな)、秋の季語です。昨日の美容院の駐車場に咲いていました。もう植物にも季節感が狂ってきているようで…なんだか恐ろしい気がします。

 

 

コメント (3)
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