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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

七時間半

2015-08-18 17:42:50 | 読んだ本
獅子文六 2015年5月 ちくま文庫版
以前『コーヒーと恋愛』を読んだら、それなりにおもしろかったんで、ちょっと前に書店で新しい文庫が出てるのをみつけて、買った、獅子文六の小説。
オリジナルは1960年だそうだ。
特急ちどり…東京大阪間を12時半発20時着の七時間半で結ぶ12両編成の特急。40分速く走る特急いそぎが現れて、そのうち退役になる運命か。
藤倉サヨ子…特急ちどりの食堂車を請け負っている全国食堂大阪営業所の社員で、ウエートレスのリーダー、大阪出身、23歳。利発で働き者でしっかりしていて、内外から人気がある。夢はかつて実父が経営していたような和洋食屋を大阪で復活させること。
矢板喜一…ちどりの食堂車のコック助手、25,6の巨漢で一本気。ひと月ほど前にサヨ子から思いを打ち明けられて、今回の勤務が終わったら返事をする約束になっている。サヨ子のことは好きだが、大ホテルで修業したりして、日本で指折りの名コックになりたいという夢があって迷っている。
今出川有女子…列車スチュワーデス“ちどり・ガール”のなかでも、背が高く姿勢がよく目が大きく鼻が高い美人で旧華族の出身で、一番人気。男の気を引いては掌を返すような態度をとるのが得意。サヨ子とはお互い虫のすかない間柄で、恋路のジャマをしようとわざと喜一にちょっかいをだす。
岸和田太市…大阪の繊維問屋の社長。有女子にゾッコン、東京への行き帰りのたびに有女子の担当車両に選んで乗っては、本妻にもらいうける望みのために誘いをかける。
甲賀恭雄…東大大学院で美学を専攻している27歳、ラッキョウがメガネをかけたような青年、有女子に惚れている。
甲賀げん…恭雄の母、サヨ子の働きぶりを目にして、息子の嫁にうってつけと決めている。
佐川英一…神戸の良家の次男、関西の大紡績会社に勤めているが、胸をいためて琵琶湖畔の療養所に入院中。慰問に訪れるちどり・ガールと交流を深めるうちに有女子に熱烈な手紙を送るようになる。今回は特急の乗客ではなく、京都か大阪で有女子を待ち受けて、はっきりした返事をもらおうとしている。
といった面々を乗せて、大阪へ向かう特急のなかでいろんな出来事が起こる、七時間半のあいだの物語。
甲賀母がサヨ子に息子の縁談をもちかけようとしているが、サヨ子の心の中にはコックの喜一があることも知っている、まわりの食堂従業員たちもやきもきハラハラしてるさまを、
>こういうテーマは、よく、通俗映画やヘッポコ小説に出てくるが、それが現実に起ってきて、登場人物が眼の前にいるとなると、これは、夢中にならずにいられない。
なんてシレッと記したりするリズム感がおもしろかったりする。
どうでもいいけど、読んだのは、5月の週末に京都行くときの新幹線のなかだったりしたんだが。食堂車なんて無くなって久しい気がする、ありゃああったでいいとも思うんだが、まあ二時間ちょっとの旅ぢゃあ使わないかな、たしかに。(でも、ふつうの座席でモノ食うのもどうかという気がするし。)いずれにせよ、風情がなくても、移動は速いほうがいいかと今は思う。

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