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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ブルートレイン殺人事件

2015-08-20 20:21:13 | 読んだ本
アガサ・クリスティ/中村妙子訳 昭和58年 新潮文庫版
持ってる数少ないけど、あるだけ読み返してみようとしてる推理小説。
文庫の初版持ってるけど、当時なんで読もうとしたのかは分かんない。たぶん書店で文庫の新刊が目についたからってだけだとは思う。
どうでもいいけど今回私がこれ読み返したのは、こないだ7月の名古屋への行き帰りの車中だったりする。前回からは、強引に、列車つながりといったとこか。
原題は「The Mystery of the Blue Train」で、そのまんま。リヴィエラ行きのブルートレインのなかで事件が起きる。
登場人物のひとり、美しい目をもち誰にでも好かれる女性キャサリン・グレイは、10年間コンパニオンとして身近で世話をしていた老婦人から多額の遺産を贈られる。
それがちょっとしたニュースになり、急に親戚が増えちゃったりするんだが、まあこれを機に社交界に出るのも悪くないかと、リヴィエラに従姉の子爵夫人を訪ねていく途中で、事件に巻き込まれる。
と言っても、直接のトラブルが身に起こるのは、一緒に乗り合わせていて、ちょっとしたことから悩み事の打ち明け話をしてきた、億万長者の家族のほうである。
そっちの夫婦は離婚間近といった状況なんだが、いますぐ別れるとなると、経済的に困ったことになるとか名家を引き継ぐ機会をふいにするとか、あまり好ましくないタイミング。それでいて、夫も妻もそれぞれ愛人がいること分かってるんで、争うとなると一方的に有利に立てないというドロドロ状態。
で、名探偵ポアロが登場するんだが、彼もたまたまその特急に乗り合わせただけ。殺人事件が起きたと聞くと、誰も依頼してないのに「お手伝いできることがあったらと思って」と警察署長を訪ねてくるおせっかいぶりである。
そのちょっと前に、列車内でキャサリンが探偵小説を持っているのをみて、どうして探偵小説が好まれるのかと話しかける。そして、現実にはない出来事だろうけど、フィクション読むと刺激があるというキャサリンの意見に対して、
>そうしたことは、ときとしてじっさいに起るものです
とか、
>あなたご自身、何かの事件に巻きこまれないともかぎりませんよ
とか不吉なことを言っちゃあ、さらに、
>あなたは何か興味ある出来事が起るといいと憧れていらっしゃる(略)“欲すれば、すなわち与えられる”―これです!何かが起らないと、はたして誰にいえましょう?
なんて言って得意になってる。そりゃ、あんた自身のことだろう。
で、結局、事件に巻きこまれてく彼女に対して、「これこそ、われわれ二人の“探偵小説”ですからね。ごいっしょに捜査に当ろうじゃありませんか」なんて言うんである、困ったもんだ。

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