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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

魔獣狩り

2014-10-14 20:23:31 | 読んだ本
夢枕獏 (1)淫楽・(2)暗黒編・(3)鬼哭編 昭和59年 祥伝社ノン・ノベル
先日、といっても、つい最近というか、少なくとも今年になってからのことだとおもうけど、書店で文庫が店頭に積まれてて、あー、これだったら、むかし読んだよなーと思って、探したら(かなり奥のほうに仕舞いこまれてたけど)ありました。
「超(スーパー)伝記(2015年5月19日修正)伝奇小説」の「サイコダイバー・シリーズ」の第一、二、三弾である。
なんで、こういうの読もうと思ったんだっけ?
たぶん、『ブッダの方舟』(中沢新一、夢枕獏、宮崎信也の対談集)のせいぢゃないかなという気がする。
私の持ってるのは、(1)が平成元年3月の85刷、(2)が平成元年4月の67刷、(3)が平成元年3月の52刷で、『ブッダの方舟』の初版は1989年10月だけど。
(ちなみに、第一巻のカバーで、著者は「大型新人」とか「今もっとも注目を集めている新鋭作家」って紹介されてる、当時そうだったのね。)
『ブッダの方舟』の序文で、夢枕獏が書いている、
>十二年ほど前に、小説の取材でこの高野山にやってきたおり、ぼくは、ひとりの僧をつかまえて尋ねたことがある。
>「空海は、本当にまだ生きているんですか?」
>返ってきた答えは、
>「我々は、ここでそのように教わりました」
>というものであった。
ってやつが、この小説の第一巻に、
>空海は即身仏となり、高野山の廟所でまだ生きている―高野山ではそういうことになっているのだ。
>高野山の僧にそのことを訊ねると、「われわれはそのように教わりました」そういう答が返ってくる。
って出てくる。
これは、なんとも魅力的な考え方である。
んで、その空海の即身仏が、高野山から盗み出されてしまった、というのが、このシリーズのメインの事件。
盗んだやつらは何をしようというのか、べつに身代金目的ではなさそうだ。空海が生きてるって前提が、そのミイラを手に入れようって動機につながってるんだろう。
ということで、いろんな超人的なキャラクターが出てきては、空海の争奪戦を繰り広げるんだけど、そのなかで、やっぱ魅力的なのは、高野山側からの指令でヤミで動いてる、美空って若い僧、密教術の達人。
だけど、彼は、肝心カナメの「サイコダイバー」ではない。なので主人公ではないのだろう。
各巻の裏表紙の紹介文によれば、
>精神(サイコ)ダイバーとは人間の頭脳に潜入し、その秘密を探り出す特殊技能を持った戦士である…
ということなんだけど、これは著者の創作によるSF的なものであって、残念ながら私はこれがよく理解できない。
なので、そんなダイバーたちの活躍するメインの部分よりも、脇役の美空のほうが好きなんぢゃないかという気がする。
今回ひさしぶりに読み返したけど、なんかよう分からないんだが、とりあえず前へ前へと進んでいく力みたいなものは感じるなあ。
ちなみに、第三巻に、
>「精神を鍛えるのに一番いい方法を知っているか」
>(略)「何だ?」
>「身体を鍛えるのさ―」
というやりとり(これこそサイコダイバーによるもの)があるんだけど、これなんかは私のお気に入りのフレーズである。
ところどころ、そんなおもしろい言い方を発見できながら読めるんで、まあ退屈しないんだろう。

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