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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

厭な小説

2012-11-02 20:11:41 | 読んだ本
京極夏彦 平成24年9月 祥伝社文庫版
きのうから、連作小説つながり、ってことで。
最近買って読んだ本だけど、ここに収められている短編たちは、テーマといい、登場人物も少しずつ関連してることといい、連作と呼んで間違いないと思うよ。
で、なんでこれ読んだかっていうと、なんの予備知識もなかったまま、たまたま書店で平積みされてるこの本を見て、著者名とタイトル名と、表紙カバーを見て、うわ、面白そう、…でも厭なんだろうなあと思いつつも、怖いもん見たさに衝動買いしてしまったからにすぎない。
期待どおり、厭だったよぉ、読んでて。
厭なこと此処に書くのも何だし(厭だし)、読んでないひとには、必要以上の心の準備なしに、厭さを受け止めてほしいしで、細かいことは読んでのお楽しみってことで書かない。
ただ、あえていうなら、最初の二つくらいは、妖怪じみたものの登場とか、グチャグチャ汚らしいものの描写とかで、生理的に受け入れられない的「厭」さだったんだけど。
そっから先は、なんか狂気じみてるというか、そう言うにしても、オカシイのはどっちなのか分からない、主体と客体の境に迷いを生じさせちゃうような、心理的な「厭」さに変わってくる。
作中の言葉を借りれば、「非現実的で不条理で非常識で不見識」な、厭さを突きつけられちゃうんだから、困ったもんだ。
一読しただけだけど、私の好きなのは、『厭な彼女』かな。
料理の好きな彼女ができて、うちで夕飯のハヤシライスを作ってくれるのはいいんだけど、俺のキライなグリンピースが教科書どおり乗っている。
グリンピースはキライだと言って、除けて食べたんだけど、次の機会にも、またグリンピースは乗っている。っていうか増えてる。
繰り返すたびに、「グリンピース嫌いなんだ」「このあいだ聞きました」とか苦情にはちゃんと答えながら、「同じレシピです」とか言って、どんどんドンドン上に乗っかってるグリンピースの量が、増えていく。
狂ってんのか、この女は? それとも? …って、厭な話でしょう!?

コンテンツは以下のとおり。
「厭な子供」
「厭な老人」
「厭な扉」
「厭な先祖」
「厭な彼女」
「厭な家」
「厭な小説」
巻末に、「厭な解説」ってのがあるんだけど、文芸評論家・北原尚彦氏が、古今東西の読んでみて厭な味わいの小説をたくさん紹介している。これが秀逸。いつか興味本位で(よせばいいのに)読んでしまいそう。

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