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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ブンとフン

2011-06-07 18:53:51 | 読んだ本
井上ひさし 昭和49年 新潮文庫版
こないだの「高みの見物」の文庫の解説を井上ひさしが書いてたんで、そのつながりで。
私個人にとっては、むかし親が電車のなかで読むのに何か面白い本でもあったら貸しとくれって言ったときに、んぢゃコレでもって貸したのが、これ「ブンとフン」。面白かった、次もお願いって言われて、そんぢゃコレって貸したのが「高みの見物」、っていうつながりでもある。(くだらないことを憶えているものだ。)
持ってるのは昭和57年の30刷。
ブンは小説のなかから現れた大泥棒、フンはその小説を書いた売れない小説家。
ブンのすごさについては、作品の冒頭から引用すると以下のとおり。
>鼻は猟犬のごとくよく効き百メートル先のギョウザとシューマイの匂いを嗅ぎわけ、視力は二・五で鷹より鋭く千メートル先の南京豆と塩豆を見わけ、耳は鼠より敏く一万メートル先の針が落ちた音とゴミが落ちた音を聞き分け、男でもあり女でもあり、その上怪人二十面相など足元にも及ばぬ変装術の名人で(略)
>ブンとは時間をこえ、空間をこえ、神出鬼没、やること奇抜、なすこと抜群、なにひとつ不可能はなくすべてが可能、どんな願いごとでもかなう大泥棒である。ブンは光の速度の四分の三の速さでとび、過去へもスイスイ、未来へもツウツウ行けるのである。(略)それはブンが四次元の男だからである
読んでわかるように、ナンセンス小説である。
ただ、このリズム感は好きだなあ。
コメント
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