「複合汚染」は、いわずと知れた有吉佐和子のベストセラー小説。
小説と言うのとは、すこし違う。男女の愛も、親子の断絶もでてこない。
昨日、わたしは風邪を引いてダウン。医者に「おとなしくしてなさい」と言われ
しかたなく布団の中でに持ち込んだ本が「復号汚染」
いやな予感がした。この本が初版で出たのが昭和50年。内容はうろ覚えだった。
食品はもちろんのこと、日常的に服用する家庭薬、洗剤などが人類を破滅に向かわせる
ように、身のまわりに撒き散らされて居る現実を作者は暴いていく。
今日の工業大量生産社会が自然を破壊していく過程を文学と言う武器で丁寧に書き込
み、健康を、精神を蝕む人間を滅亡に導いている現実に叫びを上げている。
いやな予感はあたつた。
私は、読み終わると布団を抜け出し先ず冷蔵庫の中味をすべてだした。
ドレッシング、お味噌、お豆腐・・・、うらを返し添加物の表示を細かく追った。
次は、洗濯、台所の洗剤。そして、歯磨き粉がかなり怖い。
まぁ、どう考えても手遅れでしょう。もはや、5分の4の人生を過ごしてきた私。
そう思う片方で『今からでも遅くないから』と思う私もいるのだが・・・。
そんなことしているうちに体調もすっかり戻ってしまった。
いずれにしても、有吉佐和子の確かな目に敬服する。
有吉佐和子は、何かの著書にこうも書いていた。 「生と死の間に老いがある」
有吉佐和子 「復号汚染」 新潮文庫