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☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『米』(1957)

2016年07月20日 | 邦画(クラシック)
『米』(1957)

監督:今井正、脚本:八木保太郎、出演者
:江原真二郎、中村雅子

【作品概要】
封建的な因習の残る農村の人間たちの生活を、霞ヶ浦の美しい田園風景と共に描いた、今井正監督の初のカラー映画。第31回キネマ旬報ベスト・テン第1位。

【感想レビュー】
鮮やかな画面が眩しかった…!

田植えやお祭りのビビッドな色彩といったら…!目を見張るばかりです

娘達のはち切れんばかりの若さは眩く、青年達の青さもこれまた然り。

農村の朝は早い。そして霞ヶ浦での漁もまた、朝は早い。暗いうちに漁へ行き、休む間もなく田んぼへも行く。
泥だらけになって働いても、働いても貧しく、貧しくてまた働く。。

そして田植えが終わり、若者はつかの間の青春を謳歌する。
お祭りでつかの間の開放感を味わう。

なんだかもう、逼迫した生活の中で人生の彩りを考える余裕なんてない登場人物達なのだけど、映像はひたすらに鮮やかなんです…

青々とした田んぼも、黄金色に輝く稲穂も、ヒロインの中村雅子さんも…!

恋が生まれる瞬間の、この瞳のうるうる感、眼力、小刻みに震えている感…うーむ、どこかで見たような…?!

そうだ、『サウンド・オヴ・ミュージック』のジュリー・アンドリュースだわ などと思いながら観ました


およそ救いもなさそうな展開の中で唯一、きらきらゆらゆらする恋の刹那でした

湖が中心に描かれていて、不吉な予兆を感じさせることもあるし、きらきらと輝く未来を予感させたりもします。すべてが霞ヶ浦にあるのですね。

ちょっとだけ街のシーンがあるのだけど、そこは封建的な農村社会とを強烈に対比させて描いていました。

農道を行く葬儀の参列さえ、その対比を強調させていました。封建的な社会が息を潜め、少しは希望のある次世代へと変化していくような…何か。