goo blog サービス終了のお知らせ 

☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『THE DEPTHS』(2010)

2014年11月02日 | 邦画(1990年以降)
『THE DEPTHS』
2010年/日本、韓国/121分/HD-CAM、Blu-ray
監督・脚本:濱口竜介/脚本:大浦光太
出演:キム・ミンジュン、石田法嗣、村上淳
●第11回東京フィルメックス特別招待作品
あらすじ:韓国人の写真家・ペファンは、日本で遭遇した若者リュウに未熟さゆえの野生的な魅力を感じる。彼との出会いにより、それまで均衡を保っていたぺファンの世界が崩れていき…。東京藝術大学と韓国国立映画アカデミー共同製作。注目の若手俳優、石田法嗣の存在感も光る刺激的な一本。
注目の監督・濱口竜介とは?
1978年生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』が国内外の映画祭で高い評価を得る。その後も『THE DEPTHS』(10)、東日本大震災の被災者へのインタビューから成る映画『なみのおと』(11/共同監督:酒井耕)、『親密さ』(12)などを監督。最新作は『不気味なものの肌に触れる』(13)。特集上映が開かれるなど、日本映画界でいま注目される気鋭の監督。現在、次回作『BRIDES(仮)』を制作中。
(しんゆり映画祭HPより)

【感想レビュー】@theater
うん…!面白い!と喰い入るように観ました

ロケ地は、私もよく行く横浜の馬車道付近でした。元々、画になる場所や無国籍感が漂う界隈ですが、とってもとってもスタイリッシュで素敵でした

そして作品の面白さは、繊細なシーンを丁寧に重ねていくごとに増していくようでした。

何の関わりもない人間同士が、ある日、ほんの少しのきっかけで、関係していく。そして、お互いをよく知らないうちに、己の深くにある暗部を見せてしまう。そしてそれは、お互いに、何か真実を垣間見たような強い高揚感と相手の核を理解したような錯覚をもたらす。
一瞬とはいえ垣間見たものは…でもやはり真実なのだろうか、いや、それとも錯覚なのだろうか…などと考えながら観る…

登場人物一人一人の暗部を一瞬で感じ取り、そして切り取る、そのツールにカメラを使っていることに説得力がありました。一瞬に凝縮されていく熱量を感じる映画でした

そして登場人物には、日本人、韓国人、表舞台で売れっ子のカメラマン、裏社会で活動する撮影スタジオのオーナー、ヤクザ、男娼、同性愛者、などなど。色々な立場の人が出てきます。

それぞれの人物の心の闇が一瞬で切り取られていきます。俳優の表情や佇まいに魅せられていくシーンが沢山ありました

“個”としての“私”の存在感が増して、飽和状態の現代社会。一つ一つの魂がぶつかる。関係していく。でも、通り過ぎていく…。
そこには刹那に生きる現代人が描かれていたように思います。
こんなに面白い映画の上映機会が少ないなんて、勿体無いです…。
本当に面白い映画は、アンテナを立てて情報を得て探さないと、観れないのだなと、何か切ない気持ちになりました…


日韓の大学合同で始まった企画だそうで、濱口監督が依頼されメガホンを取ったという事でした。現場では濱口監督が上手にバランスを取って、結局はご自分のスタイルに持っていく手腕を発揮されたのだなと感じた、と市山さんのお話しにありました。
また市山さんは、『濱口さんは、“人間の関係が、映画の中で変化していくこと”に興味がある監督』と仰っていました。
市山さんのお話しは、興味深いものばかりで、しかも分かりやすくご説明されるので、楽しかったです!
また何か思い出したら、書きたいと思います


『東京家族』(2012)

2014年07月07日 | 邦画(1990年以降)
『東京家族』(2012)

監督:山田洋次
平山周吉:橋爪功
平山とみこ:吉行和子
平山幸一:西村雅彦
平山文子:夏川結衣
金井滋子:中嶋朋子
金井庫造九代目:林家正蔵
平山昌次:妻夫木聡
間宮紀子:蒼井優
沼田三平:小林稔侍
かよ:風吹ジュン

【作品概要】
小津安二郎監督の不朽の名作『東京物語』をモチーフに、山田洋次監督が現代の家族像を描くヒューマン・ドラマ。子供たちに会うために東京へやってきた老夫婦の姿を通して、家族の絆を映し出す。(MovieWalkerより)

【感想レビュー】
うーん…。やはり小津監督の『東京物語』のイメージがあるので、なかなか入り込んで観る事が難しかったのですが…´д` ;。

台詞や台詞回し、俳優の姿勢の相似や家屋を映し出す画にもオマージュが現れています
でも、オリジナルの美意識をイメージして観てしまうと、色褪せて感じてしまいました…

オリジナルは、脚本からそうなのでしょうけども、笠智衆さんの演じる父親の頑固さや温かさ。そして、辛辣な子ども達の本音と、しかし作品全体に流れる奥ゆかしさが何とも言えず本当に素晴らしく、極限に削ぎ落とされた表現の、その行間を埋める作業を視聴する者に委ねている所なんかにもシビれました。

名作の焼き直しだなんて、監督も俳優陣も、並々ならぬ決意や苦労があったのでしょうね…

でも、この作品で小津作品を観ようと思う人が増えたら、それでも良いのかもしれません。
私は、木下惠介監督を描いた『はじまりのみち』を観て、木下惠介監督作品に興味を持って幾つか観たのですが、やっぱりきっかけがあると、クラシックな日本映画に入りやすいなぁと感じましたしっ

とはいえ、俳優陣は良かったです



『クロユリ団地』(2013)

2014年06月30日 | 邦画(1990年以降)
『クロユリ団地』(2013)

監督:中田秀夫
前田敦子
成宮寛貴
勝村政信
西田尚美
田中奏生
高橋昌也
手塚理美

【作品概要】
『リング』シリーズや『仄暗い水の底から』などの鬼才、中田秀夫がメガホンを取ったホラー。とある団地へと引っ越してきた女性が、そこで続いている変死事件の真相を追ううちに想像を絶する恐怖を体験していくさまが描かれる。(Yahoo!映画より)

【感想レビュー】
久しぶりに映画
WOWOWを録ったのですが…。

これは思ったより、とても深くてビックリしました!
ホラーだけども、怖い!…というよりは、大切な人を失った人の哀しみが強く滲む作品でした。また、老人の孤独死を悼みつつ、肯定的に捉える要素もありました。
生も死も、生きている人間の中に宿る概念なのかもしれない…。

団地の階段を上り、右側が前田敦子さん演じるヒロインの住むこの世。左側があの世。そこを行ったり来たりする時の画にバリエーションがあって飽きさせません。とっても良かったです。
作品の端々にヒントがあり、最後に繋がっていきます。

正直、前田敦子さんはどうなのかな…と思って観たのですが、不思議と惹きつけられるものがありました。

老人の正面のシルエットが、あまりに壮絶で凄かった…‼あれ、でもこのシルエットは高橋昌也さんっ
よ、よくこの役を引き受けたなぁ…と思いつつ、吸血鬼ゴケミドロの高橋昌也さんを思い出し、妙に納得しました…。

深みのあるホラー映画は、作品としてグッとくるものなのですね












『ゆれる』(2006)

2014年05月24日 | 邦画(1990年以降)
『ゆれる』(2006)

監督:西川美和
早川猛:オダギリジョー
早川稔:香川照之
早川勇:伊武雅刀
岡島洋平:新井浩文
川端智恵子:真木よう子

【作品概要】
オダギリジョー主演による緊迫感みなぎる人間ドラマ。ある事件をきっかけに激しく揺れ動いていく兄弟の絆を、「蛇イチゴ」の西川美和監督が繊細に映し出す。

【感想レビュー】
当時、話題になっていたのに、何となく観ないままに過ごしてしまった作品です。そういえば観てないかも!と思って慌てて借りました

オダギリさんと香川さんの魅力が詰まった作品でした!
香川さんは、控えめな演技に魅力がありましたこの役柄という事もありますけども。

人は、自分に都合の良いように物事を見ていたり、あるいは記憶してしまうものなのだなぁ…と改めて思いました。

子どもの頃に父と兄と3人で川原でしたヒゲダンス?のフィルム。
記憶の何処かにあるはずのそのシーンは、しかし何かきっかけがないと思い出せないのだ…。

そして、観ながら思ったのは、狭い地域社会の窒息しそうな生活。その歪み。
それは、『共喰い』や『ユリイカ』、『白いリボン』にも共通する何かで、
これは、これからどんどん、その歪みが大きくなっていくような…不穏な空気を感じずにはいられません。

3.11の後、確かに“絆”とか強まったけれど、今はまたどうだろう…。
この作品で問題提起されている事を、思い出してはあれこれと考えてしまいます。


『テルマエ・ロマエ』(2012)

2014年05月24日 | 邦画(1990年以降)
『テルマエ・ロマエ』(2012)

監督:武内英樹
ルシウス:阿部寛
真実:上戸彩
北村一輝

【作品概要】
マンガ大賞2010と手塚治虫文化賞短編賞をW受賞したヤマザキマリの異色コミック「テルマエ・ロマエ」を阿部寛、上戸彩の主演で映画化。古代ローマの浴場と現代日本の銭湯を舞台に、すったもんだの異文化交流を壮大なスケールで描くタイムスリップコメディ。古代ローマ人になりきった阿部の“シリアス”演技が笑いを誘う。(MovieWalkerより)

【感想レビュー】
これは、劇場で観ていたのに、途中で誤作動サイレンが鳴り響き、退出した苦い思い出の作品です
だって、ゲラゲラ笑っていたのに、突然スクリーンが真っ暗になってしまったから…。
ようやくDVDで最後まで観れました

やっぱり面白かった‼
挙げたらキリがないですが、まずは、阿部さんのビジュアル!!

リアルケンシロウ…
北斗の拳、大好き…

ラスト、こんな時に笑うなんてずるいよ…っていう上戸彩演じる真実が言うシーンの阿部さんの笑みなんて…北斗の拳の冒頭辺りで、ケンシロウの牢屋にリンが差し入れした後みたいだぁ…

これはきっと、意図的でしょうかね

お風呂とかトイレとか、観ている方も無防備になってしまう人間の何か根源的なもの。
だから、リラックスして存分に笑って楽しみました

それにしても、阿部さんの濃ゆいお顔は…説得力のあるルシウスだった…