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☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『性戯の達人 女体壺さぐり (R-18)』 (2000)

2014年03月01日 | 園子温監督☆映画
『性戯の達人 女体壺さぐり (R-18)』 (2000)

監督:園子温
主演:夢乃、神崎優、鈴木敦子、桐生アゲハ、ささだるみ、サンダー杉山


【作品概要】
女流陶芸家フェスティバルに挑むナミエは、ライバルの新人陶芸家・ヒカルが巨乳で壺を作るのに対抗し、舌を使う技を編み出すが…。乳と舌で壺を作るという珍妙なアイディアに加え、台詞やストーリーはまるでコメディ。ナミエの夫・テツヤを演じる園監督の怪演にも注目!(シネマヴェーラHPより)

【感想レビュー】
検索したら、“自身のフィルモグラフィから抹消している“幻のピンク映画”が発売されることになった。”というネットニュース記事を見かけたので、ある時期、やはり抹消していたのだろうか。

今回、シネマヴェーラの園監督特集で上映されたのですが、行けなかったのでレンタルしました。
ピンク映画なのは分かっていますが、そこは園監督の事だから、何か園臭がするハズ!…と思ったら、どうしても観たくなりまして…。
トークショーの時も、監督がお勧めなさっていましたから…。

そしていざ観始めると、冒頭の、壺造りの手つきからして、もうあぁ、ハイ…となるのですが、ところどころ何かとシュールで、笑ってしまうのです!
しかも、監督ご自身が出演しているのですが、演技にも注目です。現場での演技指導が凄い、演技が上手い、というお話しを何かの媒体で聞いた事があるのです

もちろん、『ちゃんと』紛れもないピンク要素はありつつ、その最中に、画面の奥に監督の足が映っていたり…。(しかもこの時既に死んでいる…⁈)

あり得ない事たくさんの、奇想天外なシーンや展開。
これは……。面白過ぎて、かえって男性は満足しないのではないだろうか…。←いらぬ心配

コント要素がかなりありつつの、そういうのを楽しめる方にはまずまずお勧めできる作品です


それにしても。ピンク映画というと、高橋伴明監督や若松孝二監督なども、ピンク映画出身ということで、それを知る度に、そうなんだあぁぁ!!っと思っていたのですが、実は多くの監督がそのようだ…という事実を知って、日本映画の歴史に興味が湧いてきております。
園監督もトークショーの時に、依頼が来て、仕事が欲しかったから、撮ることにしたと仰っていましたから…。
近いうちに、『ピンクリボン』を借りて観たいと思います!

『MAKE THE LAST WISH(デジタル)』 (2008)

2014年02月23日 | 園子温監督☆映画
『MAKE THE LAST WISH(デジタル)』 (2008)

監督:園子温
主演:満島ひかり、堀部圭亮、安藤サクラ、清水優、倉本美津留


【作品概要】
“アヴリル・ラヴィーンの妹”オーディションにやってきたミナミの動機とは!? オーディションはガチだったという、ドキュメンタリー・ドラマ作品。渋谷スクランブル交差点の真ん中で「Girlfriend」を歌う満島ひかりを観よ! アヴリル原作のコミック「Make 5 Wishes」の続編としてネット配信されるはずが頓挫した、幻の作品。
(シネマヴェーラHPより)

【感想レビュー】@theater
未公開という貴重な作品を観ることが出来ました!

この作品も、目を離すことが出来ず、集中して観ました。なんだか吸引力があるのです、園監督作品

満島さんはこの頃は無名の俳優だったという事ですが、オーラが…すごい…
歌いながらのダンスも格好イイですっ!!

ドキュメンタリーとフィクションが交錯する、なんとも不思議な作品ですが、その温度の差、空気感の違いから生じる隙間に、面白さと魅力が詰まった作品でした


【園監督×水道橋博士のトークショー】

上映後、軽やかに監督と水道橋博士さんがご登壇されました
お二人とも、ハットを被られていて素敵でした。

監督は何やら酔っぱらいのご様子!
直前まで、情熱大陸の密着で焼肉屋さんで呑んでいたらしく…!!
かな~り出来上がっていらっしゃいます(゜o゜;;…。
ひとしきりしたら、おもむろに控え室の飲みかけのお酒を持ってきてとスタッフに言い、そして瓶入りのお酒が手渡される…。お酒を呑みながらトークショー!!
それでこそ、園監督‼…っていうところを生で拝見してテンション上がりました

結局、水道橋博士さんがご用意された、ケーブルテレビでの上映しかなかった『園子温実験室』の芸人宣言デビューライブ』のメーキング映像を観ながら、監督と水道橋博士さんが話す、というコメンタリーのような形式でトークショーは進みました!
楽しかったです

『Make the Last Wish』上映後の監督のお話しですと、オーディションは実際のもので、そこにフィクションの話しを織り交ぜて撮った作品とのこと。
オーディションに満島さんとお邪魔して撮っていたと仰っていました。

また、『愛のむきだし』の後に撮った作品だった。あの頃は、みんな無名でスケジュールが空いていたから、『愛のむきだし』のキャストに本作にも出てもらったとのこと。

数々の貴重なこぼれ話をお聞きできて、とっても楽しかったです!
今年はなんと!映画を3本も撮るとのこと!!!
どよめきが起きていました!

また何か思い出したら書きたいと思います

『桂子ですけど(16mm)』 (1997)

2014年02月23日 | 園子温監督☆映画
『桂子ですけど(16mm)』 (1997)

監督:園子温
主演:鈴木桂子、内田栄一


【作品概要】
赤・黄・緑といった原色で彩られた部屋でひとり暮らしをするウエイトレス・鈴木桂子が、22歳の誕生日を迎えるまでの日々を描く。1秒1秒を意識しながら、桂子の大切な時間を記録していく“1時間1分1秒”の日記映画。徹底的に時間にこだわった実験的手法が才気を感じさせる。(シネマヴェーラHPより)
【感想レビュー】@theater
この作品、好きです
観念的な作品です。

冒頭の、無言でカメラに視線を向けている“桂子”の正面の顔の長回し。
執拗に長いので、観ている者がまるで桂子と見つめ合っている気分になります。
作品の世界と劇場との一体感。同じ時間が流れているように錯覚するのです。
そうこうするうちに、桂子の、時間についての淀みないナレーションが始まります。
ひたすら続きます。
そして、赤くて黄色い物に囲まれた部屋の長回し。
ほぼ中央のローテーブルに置かれたマグカップに立ち上る湯気だけが、時間の流れを感じさせます。

1秒を意識するというと、音楽をやっている者としては、まず、♩=60を頭に浮かべますが、それが確かに作品のあるところから効いてきます。

『1、2、3、4、5…』
桂子が秒針に合わせて歩き始めます。
クラシックの古典音楽が流れます。何の曲だったのかしら…。
音楽は、スイングするので、秒針とピッタリ合わない瞬間も沢山あるのですが、スイングしてもプラマイゼロにする考え方なので、特にフレーズの始まりの音と、桂子の数える秒数が、ピッタリ重なる時は、鳥肌ものです

園監督の作品を観るにつけ、監督のクラシック音楽の使い方が、とってもしっくりくる事に気付かされます。

作品世界と劇場の時間や空気が一体化する概念というと、アメリカの作曲家ジョン・ケージの通称『4分33秒』が思い起こされます。
無音音楽です。
ピアノを用いられる事が多いのですが、奏者は音を出しません。
袖から出てきて、お辞儀をし、ピアノの前に座ります。そしてひとしきりしたら、立ち、お辞儀をし、袖に去っていきます。
この会場の中のガサゴソとした物音さえも、今、この瞬間のこの空間で鳴っている音、空気、時間そのものが音楽であり、偶発性の芸術なのだという概念なのです。
実験音楽家としても知られるケージは、前衛芸術に大きな影響をもたらしました。

桂子のナレーション、桂子の一歩一歩、♩=60の曲。それらがっ相まった、素晴らしいアート映画でした









『気球クラブ、その後』 (2006)

2014年02月21日 | 園子温監督☆映画
『気球クラブ、その後』 (2006)

監督:園子温
主演:深水元基、川村ゆきえ、長谷川朝晴、永作博美、西山繭子、いしだ壱成、与座嘉秋、大田恭臣、ペ・ジョンミョン、江口のりこ、安藤玉恵、松尾政寿、内山人利、不二子


【作品概要】
気球クラブが解散して5年。リーダーだった村上の事故死をきっかけに集まったかつてのメンバーたちは、過去を再現するかのように宴会を開くが…。気球が着地するように、ふわふわと漂っていいた青春の日々もまた終わりを告げる。荒井由美の『翳りゆく部屋』をモチーフに描かれる青春の終焉の物語。(シネマヴェーラHPより)

【感想レビュー】@theater
青春群像劇です。この作品も良かったー
『部屋 THE ROOM』 との2本立てで観ました

冒頭、クラブのメンバー達は皆、気球クラブのリーダー:村上の名を口にしますが、肝心の村上は、始めのうちは顔が出てこないのです。
『桐島、部活やめるってよ』みたいに、出てこない事の効果が(桐島は最後まで出てきませんけれども…)

5年も経てば、上滑りしていくような青春の思い出…。刹那的です。
どうせその時だって、なんとなーくな人間関係だったのだから…、それでも、波長の合う合わないのアンテナが敏感に張っていて…そういう感じが、直に伝わってきます

自分自身が何者なのか…どこへ向かっていくのか…、そういった漠然とした不安の入り交じった、子どもというには大人で、大人というにはまだ子どもな年ごろの青春時代のお話しです。

園監督の作品は、人間を妙に生々しく感じる事が多いです。特に女性の肉感的でリアルな感じ、なんでしょう…、モデル体系とかでない女優さんの脚にそれを感じます…

だからこそ、より作品に温度を感じるのだと思います!

また、深水元基さんは、海猿の映画の時から、何だか目を惹く役者さんで覚えているのですが、主演をされていたとは‼やっぱり何か印象に残る俳優さんだなぁと思いました

永作博美さんも…変わらないなぁ…
美し過ぎるし、妖し過ぎるし、可愛い過ぎるし、小悪魔的過ぎるし…とにかく魅力的過ぎました

素敵なカット盛りだくさんの作品です!






『部屋 THE ROOM』 (1993)

2014年02月20日 | 園子温監督☆映画
『部屋 THE ROOM』 (1993)

監督:園子温
主演:洞口依子、麿赤児、佐野史郎、高橋佐代子、百々ちゃん


【作品概要】
初老の殺し屋が死に場所を求めて部屋を探す物語が、ささやくようなセリフと長回しの退廃的なモノクロ映像で描かれる。「ジャンキーが見た能舞台」、「国辱映画」などと表される一方、大絶賛の声もあり、カンヌで上映禁止、ベルリンで乱闘など数々の映画祭で物議をかもした。(シネマヴェーラHPより)

【感想レビュー】@theater
(ネタばれしています)
観ながら、凄いワクワクして、もう面白くて面白くて、思いっきり笑いたかったけど(みんなクスッともせず静かだったから)、我慢し過ぎて、ぷるぷるしながら観ました

シュール過ぎる…
そして、スタイリッシュでクール過ぎる‼
これが20年前の作品…⁈
いやいや、新鮮過ぎます

冒頭、THE ROOMのT字の看板だけの長回しの所で、その看板が風でたまに、ギッて軋むのだけど、それがほぼシのフラット♭に聴こえて、それとさくらさくらの口笛が合間って…素敵…

ベンチに座った男の後ろ姿越しの海がとっても素敵だった!!

どのシーンも、基本的に長回しだったのですが、男と一緒に私まで海を眺めている心地に…。
そこに、船の往来が加わり…素敵…

殺し屋(麿赤児さん)の台詞も声もいい、不動産屋(洞口依子さん)の台詞(が面白過ぎる‼)も声もいい。
部屋の説明が漫才の台詞みたい…!

イヤホンを外すタイミングもツボ過ぎたー!

殺し屋が、喫茶店でだんだん隣に置いてある、ロダンの考える人の置き物と相似した姿勢になっていくのも面白かったー!

とにかく、数々の面白さを思い出しては、噛み締めております

しかしそれでいて、すべての構図、演出、音楽のドラムも、映像も、美しく、時に力強く、素晴らしかったです。

あぁ、もう私は園子温監督作品が好きです。もうたまらなく好きです。

改めてそう自覚した瞬間でした