平安時代好きブロガー なぎ です。
『源氏物語』や紫式部と縁のある土地で最北端なのは宮城県塩竈市ではないでしょうか。
『源氏物語』少女巻において光源氏は35歳の年の8月、秋好中宮が母・六条御息所から伝領した邸宅を含む敷地に「六条院」を造営しました。
『源氏物語』で登場するこの「六条院」は平安時代前期に実在した嵯峨天皇の皇子・源融(みなもとのとおる)[河原左大臣]の邸宅「河原院(かわらのいん)」がモデルだといわれています
「河原院」の園池は陸奥国の塩竃(しおがま)の浦を模して造られたのだとか。
のちには難波江の海水を「河原院」の池に運ばせては、塩を焼く煙(製塩)の風情を楽しんだという伝説まで生まれました。
また、紫式部の家集『紫式部集』では、紫式部が夫・藤原宣孝が亡くなった哀しみについて以下のように詞書と和歌を遺しています。
世のはかなき事をなげくころ、みちのくに名ある
ところどころかいたる絵を見て、しほがま
見し人のけぶりになりし夕べより
なぞむつましきしほがまの浦
[訳:夫を失い世のはかなき事を嘆くころ、陸奥に名のある
所々を描いた絵を見て、塩釜、
夫であった人が煙となった夕べから
名こそ睦ましく感じられる塩釜の浦です。]
※『紫式部集』の本文・現代語訳は『新訂版 紫式部と和歌の世界 一冊で読む紫式部家集 訳注付』(編:上原作和、廣田収)より引用しました。
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このように
『源氏物語』や紫式部とゆかりある歌枕・塩竈…
検索してみたところ、現在、宮城県塩竈市には『源氏物語』少女巻(光源氏の六条院造営部分)の碑があるそうです。
かつて発行されたという小冊子「光源氏の愛した地・塩釜へ」はこちらのページからダウンロードできます。
参考:大槻総合研究所>>「光源氏の愛した地・塩釜へ」平安ロマンの体験型学習ツアー構築プロジェクト
塩竃の浦の美しい景色を見てみたいものです!
*ブログ「晴れのち平安」過去記事より。
よろしければこちらもご覧ください。
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