2月7日(金)の「ミュージックステーション」で、BABYMETAL のステージを初めて見たとき、衝撃を受けました。
中元すず香が舞台中央で、澄んだ歌声を響かせる中、小柄な水野由結と菊地最愛が、ステージを所狭しと駆け回って、不思議なダンスを披露する。
中元すず香に神様が降りてきて、天からのお告げを歌に載せて届け、それに合わせて彼女に仕える二人の天使が舞踊るというコンセプトが、衣装から、舞台設定から、音楽から、緻密に計算されて見事に表現されていました。
とくに、三人の目が良い。
水野由結と菊地最愛は、無闇に自信に溢れていて、純粋な傲岸不遜さとでも言うべきオーラをバラまいている。
一方、中元すず香は、歌舞伎の「にらみ」を彷彿とさせるようなキツい視線を送りながらも、どこかに不安を宿した表情を見せている。
こういった果てしない自信や底知れぬ不安は、彼女たちくらいの年齢でなければ出せない雰囲気で、透き通った歌声と共に、魅力的な音楽世界を作り上げる重要な要素になっていました。
ライブを観た後、BABYMETALは、かなりヒットするんじゃないかと思ったのですが、2月26日(水)に発売された1stアルバム「BABYMETAL」が、全米ビルボード総合ウィークリーチャートにランクインした上に、さまざまな海外チャートで上位に入ったというニュースが流れて、ビックリしました。
日本人アーティストで、全米ビルボードの総合チャートに名前が載ったのは、ごく少数の筈で、それだけでも歴史的快挙と言っていいでしょう。
さらに、7月上旬にイギリスで行われる「Sonisphere Festival」というロックの大型フェスに、BABYMETAL が招待され、同時に、ヨーロッパツアーを行うそうです。
もう、BABYMETAL、坂を上りまくりです(笑)。
イギリスの有力紙が、BABYMETALを絶賛したという話もあって、このグループが、海外で高い評価を受けているのは間違いないと思います。
思春期の少女が、神様のお告げを伝えるという舞台コンセプトは、以前からあったかもしれませんが、BABYMETALは、お稲荷さんのイメージを基に、日本独特の神社的雰囲気の中、キツネの神様が降りて来るという演出になっていて、西洋人から見ると、東洋の神秘という風情で、エキゾチックな魅力を感じるのかもしれません。
乃木坂46「制服のマネキン」のMVを初めて見たときも、BABYMETALのライブと同じような衝撃を受けました。
冒頭、後ろから、颯爽と前に出て来る三人の少女は、とても可愛いのだけど、どこかふてぶてしく、無闇に自信に満ちていて、尖った雰囲気を発散している。
ニコニコ笑って視聴者を心地よくさせようという「媚」が一切ない。
しかし、生田絵梨花、生駒里奈、星野みなみの三人は、歌詞のテーマを手掛かりに、自分の内面にあるものを、それぞれ固有のリズムに載せて、何とか表現しようと、必死にもがいているように見える。
尾崎豊にも通じるような、自己の心奥を叩きつけんばかりのパフォーマンスを、若い女性アイドルグループが行っていることに驚いたけど、その姿は、傲慢というより、むしろ神々しく、美しい輝きを放っていて、心を打つものがありました。
BABYMETALと同じく、こういう神懸かり的なオーラは、やはり十代半ばの少女にしか表現出来ないのでしょう。
子どもから大人になる途上で、まだ、まっさらな状態だからこそ、自信や不安をさらけ出しても、儚く瑞々しい、荘厳な空気で場を満たしてしまう。
古代の宗教儀式では、神のお告げを人々に伝達する、卑弥呼のような、巫女さん的な少女が登場するイメージがあるけど、BABYMETALや「制服のマネキン」のフロントには、それに近い存在感がある。
ただ、こういった表現が出来るのは、単に年齢が若いからというのではなく、彼女たちが飛び抜けた才能を持っているからで、誰もがこういった新しいアイドル像を作り出せるわけではないと思います。
アップテンポで攻撃的な「制服のマネキン」の後、繊細な感情を歌いあげたミディアムバラード「君の名は希望」を出し、乃木坂46は、グループの音楽的幅を広げていきます。
「君の名は希望」は、Base Ball Bearの小出祐介氏や、後に明らかとなったように、故佐久間正英氏といった音楽関係者から高い評価を受け、店頭販売CDがコツコツ売れ続けるロングセラーとなります。
フロントメンバーと曲イメージがよくマッチした「制服のマネキン」、歌詞の意味を切ないメロディが存分に引き立てる「君の名は希望」、二作連続で印象的なナンバーを発表したことで、乃木坂46は、グループとしてのコンセプトを確立する足がかりを掴みます。
しかし、次の6枚目表題曲「ガールズルール」は、高校3年生の夏という乃木坂の曲としては珍しく、年齢と時期が明確に設定されていたにもかかわらず、成人メンバー三人がフロントとなったため、グループイメージと曲イメージが乖離してしまいます。
ただ、この6枚目シングルでは、共通カップリング曲「世界で一番 孤独なLover」が、乃木坂の曲としてはこれまた珍しく、大人の男女の恋愛を正面から歌った曲で、フロント三人、とくに橋本奈々未のイメージと曲イメージがピッタリ合って、YouTubeに公開されたMVの再生回数が、過去の共通カップリング曲中トップになるなど、大きな反響を呼びます。
では、いよいよ、次の7枚目で、大人フロントのイメージに合った表題曲が来るのかと思いきや、二期生で17才の堀未央奈がセンターに大抜擢されて、乃木坂のグループイメージと音楽的方向性を確立する試みは、振り出しに戻ってしまいます。
堀未央奈は、この時点で、他の選抜メンバーとのつながりがほとんどなく、どういう人物かも分からないので、彼女をグループの中でどう位置づけるかは、大変な難問でした。
そして、運営もこの難問を解くことが出来ず、表題曲「バレッタ」、共通カップリング曲「月の大きさ」、TypeB限定カップリング曲「そんなバカな」のMVにおいて、堀未央奈はセンターであるにもかかわらず、すべて「謎」の美少女という役回りにされて、ミステリアスな雰囲気だけが強調されることになります。
もし、運営が堀未央奈のことをよく知った上で、センターに抜擢したのであれば、MVの中でも、彼女にもっと具体的な役割を与えられた筈ですが、結局、最初から最後まで、解けない「謎」の存在になってしまっています。
堀未央奈をセンターに抜擢した人、それが秋元康氏なのかそうでないのかは分かりませんが、その人はセンターを決める前に、堀未央奈と会ってじっくり話をしたり、レッスン中の様子をつぶさに見たことがないように感じました。
「ガールズルール」個別握手会で、堀未央奈が二期生の中で、図抜けた成績を挙げたことだけが、大抜擢の根拠であったとすれば、運営にとって、彼女が「謎」だらけなのは頷ける話です。
しかし、次の8枚目では、センター堀未央奈の「謎」が解けて、他の選抜1期メンバーとの関係性にも、一定の答えが出されるのかと思ったら、これも大間違いで(笑)、ご存知のように西野七瀬がセンターとなります。
表題曲「気づいたら片想い」では、儚い命を懸命に生きるヒロインを、共通カップリング曲「ロマンスのスタート」では、勝ち気な女子大生を演じますが、西野七瀬によって、乃木坂のグループイメージをどう作るのか、他のメンバーとの関係性をどう設定するのか、さらには、フロントにいる堀未央奈と生駒里奈をどう生かすのか、今のところ、答えが出ているようには見えません。
西野七瀬は、高層ビルのてっぺんからバンジーで飛び降りるほど、真剣にセンターに打ち込んでいるというイメージがある一方、グループでの立ち位置に関しては、よく分からない部分があります。
ということで、センター西野七瀬の乃木坂が、次の9枚目で、いよいよ明確なコンセプトを見せ始める、というのが自然な流れなんですが、ここまで読まれた方は、多分、そうはならないだろうと考えるでしょう(笑)。
そうです、次もセンターが交代する可能性があります。
さらに、9枚目では、「兼任」の松井玲奈が選抜入りする可能性が濃厚です。
松井玲奈は、2月24日(月)の「組閣」以前は、乃木坂とは何の関係もなかった人なので、彼女と他のメンバーの関係性を設定するのは、堀未央奈以上の「大難問」になって、グループイメージや音楽的方向性の話は、再びどこかに置き去りにされるのでしょう。
フロントを生田絵梨花、生駒里奈、星野みなみにすることは、私の一貫した主張ですが、それは、乃木坂の歴史において唯一、グループのコンセプトを分かり易く打ち出せた「制服のマネキン」と「君の名は希望」のフロントが、この三人だったからです。
このフロントであれば、BABYMETALのように、音楽、舞台、衣装などが一体となった、統一感のあるステージを実現する可能性が見えてきます。
「Sonisphere Festival」やヨーロッパツアーが最終目的ではないですが(笑)、乃木坂46が、より広い世界に羽ばたくためには、まずは、グループイメージと音楽的方向性を確立して、「乃木坂46とは何か?」という問いに、具体的な言葉で答えられるようになる必要があります。
センターが白石麻衣であれ、堀未央奈であれ、西野七瀬であれ、生田、生駒、星野のフロントでなくとも、その体制をしばらく続けていけば、前作の「難問」を、次のシングルで解決して、少しずつグループイメージが明確となり、何か面白いコンセプトが見えてきて、それに合わせて音楽を作るチャンスが出てくるかもしれません。
しかし、毎回、毎回、センターとフロント変えていたのでは、コンセプトを確立しようがないし、ましてや、他のグループからメンバーを連れてくるとなると、さらに訳が分からなくなります。
乃木坂46は、デビュー三年目に入っても、グループのコンセプトが確立出来てない上に、そのメドすら立っていないので、未だに「AKB48の公式ライバル」という紹介しかして貰えません。
そして、もう本当のところは、「支店」に近いので、Mステの冒頭でも、「まあ、そうですね、公式には」という、ちょっとバツの悪い感じになって、いたずらに時が流れていくわけです(笑)。
「乃木坂46は、こういったコンセプトのグループで、こういった音楽で、こういったステージを披露する」という言葉が、サラサラ出てくるようになれば、本格的なヒット曲を生み出す可能性が出てくると思います。
かつて、秋元康氏は、「コンセプトがないのが、乃木坂のコンセプト」と発言していましたが、6枚目「ガールズルール」以降、まさにその通りで、むしろ、「コンセプトが出来そうになったら、敢えてそれを壊すのが乃木坂のコンセプト」とすら言いたくなるような状況です。
しかし、これまでも只でさえ、一般層から、AKB48グループと混同されてきた乃木坂が、さらに「48」化していくと、グループとしてのコンセプトがなければ、完全に「48」に埋没してしまって、AKB48を打倒するのはもちろん(笑)、乃木坂46としての人気を伸ばしていくことすら困難になっていくでしょう。
本当にコンセプトがなくても良いのか、本当にシングル毎にセンターとフロントが変わる「猫の目」選抜で良いのか。
真剣に考えた方がいい時期に来ているんじゃないでしょうか。
関連サイト
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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています
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中元すず香に神様が降りてきて、天からのお告げを歌に載せて届け、それに合わせて彼女に仕える二人の天使が舞踊るというコンセプトが、衣装から、舞台設定から、音楽から、緻密に計算されて見事に表現されていました。
とくに、三人の目が良い。
水野由結と菊地最愛は、無闇に自信に溢れていて、純粋な傲岸不遜さとでも言うべきオーラをバラまいている。
一方、中元すず香は、歌舞伎の「にらみ」を彷彿とさせるようなキツい視線を送りながらも、どこかに不安を宿した表情を見せている。
こういった果てしない自信や底知れぬ不安は、彼女たちくらいの年齢でなければ出せない雰囲気で、透き通った歌声と共に、魅力的な音楽世界を作り上げる重要な要素になっていました。
ライブを観た後、BABYMETALは、かなりヒットするんじゃないかと思ったのですが、2月26日(水)に発売された1stアルバム「BABYMETAL」が、全米ビルボード総合ウィークリーチャートにランクインした上に、さまざまな海外チャートで上位に入ったというニュースが流れて、ビックリしました。
日本人アーティストで、全米ビルボードの総合チャートに名前が載ったのは、ごく少数の筈で、それだけでも歴史的快挙と言っていいでしょう。
さらに、7月上旬にイギリスで行われる「Sonisphere Festival」というロックの大型フェスに、BABYMETAL が招待され、同時に、ヨーロッパツアーを行うそうです。
もう、BABYMETAL、坂を上りまくりです(笑)。
イギリスの有力紙が、BABYMETALを絶賛したという話もあって、このグループが、海外で高い評価を受けているのは間違いないと思います。
思春期の少女が、神様のお告げを伝えるという舞台コンセプトは、以前からあったかもしれませんが、BABYMETALは、お稲荷さんのイメージを基に、日本独特の神社的雰囲気の中、キツネの神様が降りて来るという演出になっていて、西洋人から見ると、東洋の神秘という風情で、エキゾチックな魅力を感じるのかもしれません。
乃木坂46「制服のマネキン」のMVを初めて見たときも、BABYMETALのライブと同じような衝撃を受けました。
冒頭、後ろから、颯爽と前に出て来る三人の少女は、とても可愛いのだけど、どこかふてぶてしく、無闇に自信に満ちていて、尖った雰囲気を発散している。
ニコニコ笑って視聴者を心地よくさせようという「媚」が一切ない。
しかし、生田絵梨花、生駒里奈、星野みなみの三人は、歌詞のテーマを手掛かりに、自分の内面にあるものを、それぞれ固有のリズムに載せて、何とか表現しようと、必死にもがいているように見える。
尾崎豊にも通じるような、自己の心奥を叩きつけんばかりのパフォーマンスを、若い女性アイドルグループが行っていることに驚いたけど、その姿は、傲慢というより、むしろ神々しく、美しい輝きを放っていて、心を打つものがありました。
BABYMETALと同じく、こういう神懸かり的なオーラは、やはり十代半ばの少女にしか表現出来ないのでしょう。
子どもから大人になる途上で、まだ、まっさらな状態だからこそ、自信や不安をさらけ出しても、儚く瑞々しい、荘厳な空気で場を満たしてしまう。
古代の宗教儀式では、神のお告げを人々に伝達する、卑弥呼のような、巫女さん的な少女が登場するイメージがあるけど、BABYMETALや「制服のマネキン」のフロントには、それに近い存在感がある。
ただ、こういった表現が出来るのは、単に年齢が若いからというのではなく、彼女たちが飛び抜けた才能を持っているからで、誰もがこういった新しいアイドル像を作り出せるわけではないと思います。
アップテンポで攻撃的な「制服のマネキン」の後、繊細な感情を歌いあげたミディアムバラード「君の名は希望」を出し、乃木坂46は、グループの音楽的幅を広げていきます。
「君の名は希望」は、Base Ball Bearの小出祐介氏や、後に明らかとなったように、故佐久間正英氏といった音楽関係者から高い評価を受け、店頭販売CDがコツコツ売れ続けるロングセラーとなります。
フロントメンバーと曲イメージがよくマッチした「制服のマネキン」、歌詞の意味を切ないメロディが存分に引き立てる「君の名は希望」、二作連続で印象的なナンバーを発表したことで、乃木坂46は、グループとしてのコンセプトを確立する足がかりを掴みます。
しかし、次の6枚目表題曲「ガールズルール」は、高校3年生の夏という乃木坂の曲としては珍しく、年齢と時期が明確に設定されていたにもかかわらず、成人メンバー三人がフロントとなったため、グループイメージと曲イメージが乖離してしまいます。
ただ、この6枚目シングルでは、共通カップリング曲「世界で一番 孤独なLover」が、乃木坂の曲としてはこれまた珍しく、大人の男女の恋愛を正面から歌った曲で、フロント三人、とくに橋本奈々未のイメージと曲イメージがピッタリ合って、YouTubeに公開されたMVの再生回数が、過去の共通カップリング曲中トップになるなど、大きな反響を呼びます。
では、いよいよ、次の7枚目で、大人フロントのイメージに合った表題曲が来るのかと思いきや、二期生で17才の堀未央奈がセンターに大抜擢されて、乃木坂のグループイメージと音楽的方向性を確立する試みは、振り出しに戻ってしまいます。
堀未央奈は、この時点で、他の選抜メンバーとのつながりがほとんどなく、どういう人物かも分からないので、彼女をグループの中でどう位置づけるかは、大変な難問でした。
そして、運営もこの難問を解くことが出来ず、表題曲「バレッタ」、共通カップリング曲「月の大きさ」、TypeB限定カップリング曲「そんなバカな」のMVにおいて、堀未央奈はセンターであるにもかかわらず、すべて「謎」の美少女という役回りにされて、ミステリアスな雰囲気だけが強調されることになります。
もし、運営が堀未央奈のことをよく知った上で、センターに抜擢したのであれば、MVの中でも、彼女にもっと具体的な役割を与えられた筈ですが、結局、最初から最後まで、解けない「謎」の存在になってしまっています。
堀未央奈をセンターに抜擢した人、それが秋元康氏なのかそうでないのかは分かりませんが、その人はセンターを決める前に、堀未央奈と会ってじっくり話をしたり、レッスン中の様子をつぶさに見たことがないように感じました。
「ガールズルール」個別握手会で、堀未央奈が二期生の中で、図抜けた成績を挙げたことだけが、大抜擢の根拠であったとすれば、運営にとって、彼女が「謎」だらけなのは頷ける話です。
しかし、次の8枚目では、センター堀未央奈の「謎」が解けて、他の選抜1期メンバーとの関係性にも、一定の答えが出されるのかと思ったら、これも大間違いで(笑)、ご存知のように西野七瀬がセンターとなります。
表題曲「気づいたら片想い」では、儚い命を懸命に生きるヒロインを、共通カップリング曲「ロマンスのスタート」では、勝ち気な女子大生を演じますが、西野七瀬によって、乃木坂のグループイメージをどう作るのか、他のメンバーとの関係性をどう設定するのか、さらには、フロントにいる堀未央奈と生駒里奈をどう生かすのか、今のところ、答えが出ているようには見えません。
西野七瀬は、高層ビルのてっぺんからバンジーで飛び降りるほど、真剣にセンターに打ち込んでいるというイメージがある一方、グループでの立ち位置に関しては、よく分からない部分があります。
ということで、センター西野七瀬の乃木坂が、次の9枚目で、いよいよ明確なコンセプトを見せ始める、というのが自然な流れなんですが、ここまで読まれた方は、多分、そうはならないだろうと考えるでしょう(笑)。
そうです、次もセンターが交代する可能性があります。
さらに、9枚目では、「兼任」の松井玲奈が選抜入りする可能性が濃厚です。
松井玲奈は、2月24日(月)の「組閣」以前は、乃木坂とは何の関係もなかった人なので、彼女と他のメンバーの関係性を設定するのは、堀未央奈以上の「大難問」になって、グループイメージや音楽的方向性の話は、再びどこかに置き去りにされるのでしょう。
フロントを生田絵梨花、生駒里奈、星野みなみにすることは、私の一貫した主張ですが、それは、乃木坂の歴史において唯一、グループのコンセプトを分かり易く打ち出せた「制服のマネキン」と「君の名は希望」のフロントが、この三人だったからです。
このフロントであれば、BABYMETALのように、音楽、舞台、衣装などが一体となった、統一感のあるステージを実現する可能性が見えてきます。
「Sonisphere Festival」やヨーロッパツアーが最終目的ではないですが(笑)、乃木坂46が、より広い世界に羽ばたくためには、まずは、グループイメージと音楽的方向性を確立して、「乃木坂46とは何か?」という問いに、具体的な言葉で答えられるようになる必要があります。
センターが白石麻衣であれ、堀未央奈であれ、西野七瀬であれ、生田、生駒、星野のフロントでなくとも、その体制をしばらく続けていけば、前作の「難問」を、次のシングルで解決して、少しずつグループイメージが明確となり、何か面白いコンセプトが見えてきて、それに合わせて音楽を作るチャンスが出てくるかもしれません。
しかし、毎回、毎回、センターとフロント変えていたのでは、コンセプトを確立しようがないし、ましてや、他のグループからメンバーを連れてくるとなると、さらに訳が分からなくなります。
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しかし、これまでも只でさえ、一般層から、AKB48グループと混同されてきた乃木坂が、さらに「48」化していくと、グループとしてのコンセプトがなければ、完全に「48」に埋没してしまって、AKB48を打倒するのはもちろん(笑)、乃木坂46としての人気を伸ばしていくことすら困難になっていくでしょう。
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