ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

旧満州での思い出(3) マーチョ

2008-03-05 19:57:38 | 旧満州の思い出
旧満州の新京市には日本人子弟のための幼稚園がありました。多分、一園だけだったと思います。幼稚園の名前や、場所は全く覚えていませんし、その後両親からも聞いていませんので思い出しようもありません。おそらく、話題にもならなかったと思います。ただ、わたしは幼稚園時代の思い出として、かすかに一つのことが意識と潜在意識との境界線に残っています。それは、「マーチョ」と呼ばれていた賃馬車に乗って、たった一人で登園したことです。それは、もちろん、しょっ中のことではなかったと思いますし、多分見ず知らずの「流しのマーチョ」ではなかったと思いますが、とにかくその時の不安な気持ちだけはかなり強烈に記憶の底に残っています。
当時の在満日本人の普段の足として一頭立てのマーチョはかなり便利な乗り物であったようです。もちろんタクシーもあったと思いますが、市内の買い物などにはマーチョが便利で、我が家でもよく利用していました。しかし、助産婦(当時は「産婆」と呼ばれていた。)をしていた母はもっぱら自転車でどこにでも出かけていました。父が通勤に使っていた乗り物には全く記憶はありません。よく中国人の運転手が家に来ていましたから、ヒョッとすると役所指し回しの公用車だったのかも知れません。
わたしたちが住んでいた官舎の向かい、関東軍の将校の官舎があり、高級将校が立派な馬で通勤をしていた姿を思い出します。馬で通勤できる将校はかなり位が高かったらしく、その家族も威張っていました。

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