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折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

25年目の夏 奥琵琶湖菅浦集落

2019-05-24 | 琵琶湖 余呉 湖国

 

25年前と変わらぬ初夏の風景が広がっていた。

 

 

東西に大きく広がった琵琶湖の両岸は

北に向かって次第にその間隔を狭め、

やがてはいくつかの岬と入江が連なる複雑な地形となって収れんする。

 

 

その出入りの多い地形の中にあって、

沖合に浮かぶ竹生島を指し示すように突き出た岬が葛籠尾(つづらお)崎だ。

そして、その岬の根元ともいえる湖岸に菅浦集落がある。

 

 

菅浦の湖岸集落は平成26年に重要文化的景観として国の指定を受けている。

さらに翌年には日本遺産に登録されてもいるのだが、

それにもかかわらず、菅浦を訪れる人は近県の釣り愛好者などそう多くはない。

つまり、国をあげて大切にしたい場所でありながら、

どの時期であっても、この風景をほとんど独り占めにすることができるのである。

 

 

そんな、人知れずとも言える菅浦集落だが、

かつて一度だけ脚光を浴びたことがある。

いや、ほんとうのところはどうだったかは知らない。

国民的な人気を誇った映画のロケ地となったから

「きっと、そうに違いない」と、かってに想像しているだけだ。

その映画は、平成6年封切の「男はつらいよ」シリーズの第47作「拝啓車寅次郎様」だった。

マドンナ役のかたせ梨乃演じるアマチュアカメラマン典子に思慕を寄せる寅次郎。

さらに甥の満男(吉岡秀隆)の恋物語が同時進行する。

舞台は長浜、そしてここ菅浦だった。

典子が菅浦から撮った琵琶湖の朝夕、その風景に魅了されたのだが

実は映画の封切当時、それがどこだったかはわからなかった。

それどころか、そのシーンのことすらも忘れてしまっていたのだが、

偶然にも数年前、渥美清さんの没後20年の特集番組でそのロケ地が菅浦だったことを知った。

一瞬で当時の記憶が鮮やかによみがえり、

そして、宝物を掘り当てでもしたように無性にうれしくなった。

それから、四季折々の菅浦通いが始まったというわけだ。

 

 

昨年、幸運にもテレビの衛星放送で「拝啓車寅次郎様」がリバイバル放映された。

録画して、当時の菅浦を何度も何度も見返して、そしてまた、うれしくなった。

映画の撮影から25年の歳月が流れているにもかかわらず、

当時も今も、風景がまったく変わっていなかったからだ。

 

 

さて...。

「変わらない風景によく飽きもせず」

人はそう言うかもしれない。

けれども思う。変わらないことにとりつかれた自分がいるのだ、と