今日も12月とは思えない暖かさですね。
『左の足先が痺れます。』と患者さんがお見えになりました。
問診すると『左足の指先から脹脛・大腿・臀部に電気が走る様な痛みと痺れ、頸から肩・腰の凝りが強く、右足の脹脛も痛み、また臍の下の恥骨結合の上縁部に痛みがある。』との事です。
触診すると左足の膝上に硬結があり足全体が氷の様に冷たく、色も紫色で筋肉が硬い状態です。また腹部も冷たい状態でした。痛む場所は経絡的には膀胱経・神経的には坐骨神経の走行ラインと合致している様です。
恥骨結合の上縁部は任脈上の曲骨穴と呼ばれるツボがありますが「腎のエリア」となります。腎が虚していると此処に痛みが出ることが多いようです。
腹診して曲骨穴付近の圧痛が顕著であるので今回は「腎虚証」として治療を進めて行く事としました。
腹部接触鍼・脈調整をして背面部に丁寧に鍼をしていくと、徐々に頸・肩・腰の筋肉と足の筋肉が緩んで来ます。手足も暖かくなって来ました。
基本治療を終えて督脈上の腰陽関に箱灸とビワの葉灸をしながら、臀部と下腿の坐骨神経のラインを意識して鍼をすると患者さんから『足が暖まって来ました。暖かい物が足先に流れて行きます。』との事。
腰陽関は下肢の疾患に効果があり、神経痛・関節炎・膝痛・下肢麻痺等の他に腰部と下肢の冷感に効きます。
背面で治療を終えて、今度は仰臥位で治療、右足の膝陽関と血海に鍼とお灸、膝陽関も膝関節炎・外側大腿皮神経痛・下腹部の冷え込みを治する名穴とされ腰陽関と膝陽関は響きあう関係と言われています。
今回の足先の痺れは冷えと坐骨神経が原因の様でした。
頸から肩・腰の凝りと張りは陰虚により制御出来ない陽の気が体の上部に集まったのが原因で虚している陰の気を補うと改善します。
患者さんは治療を終えて『頸と肩の凝りと足の痺れが無くなり体が暖まりました。』と喜んでお帰りになりました。
皆さま「冷え」に御注意ください。