茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記30年12月5日「左足先が痺れる?」

2018-12-05 07:14:35 | 日記

今日も12月とは思えない暖かさですね。

『左の足先が痺れます。』と患者さんがお見えになりました。

問診すると『左足の指先から脹脛・大腿・臀部に電気が走る様な痛みと痺れ、頸から肩・腰の凝りが強く、右足の脹脛も痛み、また臍の下の恥骨結合の上縁部に痛みがある。』との事です。

触診すると左足の膝上に硬結があり足全体が氷の様に冷たく、色も紫色で筋肉が硬い状態です。また腹部も冷たい状態でした。痛む場所は経絡的には膀胱経・神経的には坐骨神経の走行ラインと合致している様です。

恥骨結合の上縁部は任脈上の曲骨穴と呼ばれるツボがありますが「腎のエリア」となります。腎が虚していると此処に痛みが出ることが多いようです。

腹診して曲骨穴付近の圧痛が顕著であるので今回は「腎虚証」として治療を進めて行く事としました。

腹部接触鍼・脈調整をして背面部に丁寧に鍼をしていくと、徐々に頸・肩・腰の筋肉と足の筋肉が緩んで来ます。手足も暖かくなって来ました。

基本治療を終えて督脈上の腰陽関に箱灸とビワの葉灸をしながら、臀部と下腿の坐骨神経のラインを意識して鍼をすると患者さんから『足が暖まって来ました。暖かい物が足先に流れて行きます。』との事。

腰陽関は下肢の疾患に効果があり、神経痛・関節炎・膝痛・下肢麻痺等の他に腰部と下肢の冷感に効きます。

背面で治療を終えて、今度は仰臥位で治療、右足の膝陽関と血海に鍼とお灸、膝陽関も膝関節炎・外側大腿皮神経痛・下腹部の冷え込みを治する名穴とされ腰陽関と膝陽関は響きあう関係と言われています。

今回の足先の痺れは冷えと坐骨神経が原因の様でした。

頸から肩・腰の凝りと張りは陰虚により制御出来ない陽の気が体の上部に集まったのが原因で虚している陰の気を補うと改善します。

患者さんは治療を終えて『頸と肩の凝りと足の痺れが無くなり体が暖まりました。』と喜んでお帰りになりました。

皆さま「冷え」に御注意ください。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

壽堂日記30年12月4日「頸こり・肩こり・背痛・腰痛・胃痛・目眩の治療。」

2018-12-04 08:07:47 | 日記

『頸・肩・背中・腰・胃が痛く、目眩もします。』と患者さんがお見えになりました。

最初に「本治法」で病の大本を治療し、その後に「標治法」で局所に鍼と灸を行うこととしました。

鍼灸治療は慢性の痛みや凝りの緩和に良く効きます。今回お体を拝見すると頚部と肩部の凝りが著明で目眩は頚と肩の凝りにより頭部への気血の流れが阻害された事が原因では無いかと思われました。

目眩に関してはメニエール病の治療に準じた鍼、胃痛に関しては、胃の六つ灸をベースにしました。

「痛み」というものを、東洋医学では「気」であると考えます。気血が阻滞すると痛みが発生する事を「不通則痛」と言い。気・血・精の不足などで臓腑・経絡が滋養されないと痛みが発生する事を「不栄則痛」と言います。

つまり「気」の異常が「痛み」であると考えます。

さらに今回は鍼灸にビワの葉温灸を加えてみました。「ビワの葉温湿布」はビワの葉が肌に直接触れる面積が大きく、またお灸ほど熱くない為、点では無く面で開いた毛穴から「ビワの生葉」の有効成分が熱によってじんわりと体内深く浸透します。

疼痛緩和の場合は痛みや凝りがある場所に行います。

びわの葉の薬効は科学的にも、下記のような効果確認されています。

①白血球の活動を活発にし、免疫力を高める
②赤血球や血小板などの血液成分の働きが旺盛になる
③血液を弱アルカリ性にする
④グローミューを再生・強化する

グローミューというのは、動脈と静脈を結んでいる毛細血管のバイパスの役割をするもので、全身のいたるところに存在し、このグローミューがしっかりとしていることで、血行が良くなり体の隅々まで酸素を送り、組織のガス交換を促進させ、新陳代謝を活発にさせます。

鍼灸治療+ビワの葉温灸+MT温灸器による経絡トリートメントで治療後は痛みと凝りが和らぎ目眩も治まりました。今回は気候の変化で気血が阻滞、気・血・精の不足などで痛みと凝りが起きたようです。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

壽堂日記30年12月1日「自律神経失調症と鍼灸治療の効果。」

2018-12-01 08:10:57 | 日記

患者さんから『自律神経失調症に鍼灸は効果がありますか?』とお問い合わせがありました。

WHO(世界保健機関)で鍼灸療法の有効性を認めた病気には

【神経系疾患】では 神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリーが挙げられており、「自律神経失調症」も含まれています。

当院では東洋医学的な人体観に基づき「自律神経失調症」に経絡的な治療を行っております。

ここで簡単に自律神経について説明すると。

自律神経には「交感神経系」と「副交感神経系」の二つの神経が存在します。

全身のほとんどの器官はこの二つの神経系がバランス良く働くことで適正に保たれています。

呼吸・血液循環・消化吸収・排泄・生殖・内分泌など、自分の意志ではコントロールできない部分のシステムを調整し、生命維持に必要な体内循環を整えるのが自律神経の役割であり、こうした自律神経がうまく機能しなくなった状態が「自律神経失調症」です。

自律神経をコントロールする中枢は視床下部という脳の一部です。

ここは同時にホルモンの分泌中枢の役目もあるため、急激なストレスを受けて自律神経のバランスが崩れると、成長ホルモンや性ホルモンなどのホルモン分泌にも影響がでてきます。

また反対に、更年期に生じる、急激なホルモンバランスの変化は「のぼせ(ホットフラッシュ)・火照り・冷え・不眠・精神不安」などの自律神経失調症状をもたらすことにもなります。

鍼灸やマッサージなどの外的刺激は、過緊張状態に陥った自律神経の働きを和らげることが出来ます。

さらに、皮膚刺激を通して脳の視床下部にも良い影響を与えて、ホルモン分泌のバランスを整えることにもつながります。

最近の研究では、「気持ちいい」という快刺激が脳内のβエンドルフィン等の神経ペプチドの分泌を活性化させ、自律神経の機能を正常化させる働きがあることが分かっています。

鍼やお灸の気持ちの良い治療を受けた後、眠くなったり、ふぅっと楽になるのは、治療の気持ちよさがβエンドルフィンを活性化させ、自律神経の働きを効果的に和らげるからだと思われます。

「自律神経失調症」は、目眩・肩こり・冷え性・不眠症・下痢・便秘・食欲不振やどの場所が悪いかはっきり分からない「不定愁訴」などの症状を一緒に伴っている場合が多くみられます。

当院は、東洋医学的な人体観に基づき「自律神経失調症」の患者さんが抱える具体的な症状に合わせて、お一人お一人に合わせた治療いたしております。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする