茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記28年6月18日「鍼灸+ビワの葉温灸の効果は?」

2016-06-18 05:39:24 | 日記

今日も暑くなりそうです。朝の涼しい内に「ビワの葉」の摘み取りをしました。

「ことぶき堂鍼灸院」では新鮮なビワの生葉を使用した「鍼灸治療+ビワの葉温灸」の治療を行っております。

患者さんのご家族から『ビワの葉温灸を受けさせたいのですがどの様な治療をしていますか?』とのお問い合わせを頂くことがあります。

「ビワの葉温灸」と書きましたが、当院では「電気式のビワの葉温灸器」、ビワの生葉を使用し棒灸を使用した「ビワの葉灸」ビワの生葉を使用した「ビワの葉温こんにゃく湿布」の三種類の「ビワの葉療法」を行っています。

件数的には全体治療後にビワの生葉を使用した「ビワの葉温こんにゃく療法」を受けられる患者さんが多数を占めます。

それには理由があります。最初に鍼を使用し「全体治療」で虚している臓の「気」を補うのですが、当院の接触鍼を主体とした治療を受けると肌の層理(=毛穴)が開きます。

「ビワの葉こんにゃく温湿布」はビワの葉が肌に直接触れる面積が大きく、またお灸ほど熱くない為、点では無く面で開いた毛穴から「ビワの生葉」の有効成分が熱によってじんわりと体内深く浸透します。

温める部位は「腎臓」「肝臓」が多いですが疼痛緩和の場合は痛みや凝りがある場所にも行います。

当治療院では腰痛・坐骨神経痛・肩こりから前立腺肥大・前立腺炎・膀胱炎など幅広い症状の方に鍼灸と「ビワの葉灸・ビワの葉温湿布」を併用した治療を行います。

びわの葉の薬効は科学的にも、下記のような効果確認されています。

①白血球の活動を活発にし、免疫力を高める
②赤血球や血小板などの血液成分の働きが旺盛になる
③血液を弱アルカリ性にする
④グローミューを再生・強化する

グローミューというのは、動脈と静脈を結んでいる毛細血管のバイパスの役割をするもので、全身のいたるところに存在し、このグローミューがしっかりとしていることで、血行が良くなり体の隅々まで酸素を送り、組織のガス交換を促進させ、新陳代謝を活発にさせます。

生活習慣の乱れやストレス、老化などでこのグローミューが萎縮したり消失したりすると、血行が妨げられて、体全体の代謝活動が損なわれ色々な病気が発生する下地を作ることになります。

当治療院では鍼灸治療で体全体の「気」の流れを調え、「ビワの葉灸・ビワの葉温湿布」を併用することで自律神経系や内分泌系(ホルモン系)を調整し、体内活動を活性化してストレスに対する抵抗力を強め自己免疫力を高める治療を行っております。


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壽堂日記28年6月16日「東洋医学的な考え方に基づく不妊症の治療とは。」

2016-06-16 06:07:15 | 日記

当院では不妊治療・不育症治療を行っております。今日は当院の不妊に対する東洋医学的な考え方をご紹介いたします。


現代の様なストレス社会において、人それぞれ気・血・水の流れの変調は必ずあります、ですから鍼灸治療は全ての人に効果があるといっても過言ではありません。

 では不妊症・不育症の治療において鍼灸治療はどのような効果を持つのでしょうか。

 東洋医学において、大きく分けて肝・脾・腎の3つが、妊娠に影響すると言われています。

実際に不妊治療を受けている人を診察すると、特に肝・腎の力が不足している人が多く見られます。

昔 から、「腎は精を貯蔵する『作強の官』(生命エネルギーの強さを作り出すもの)と呼ばれ、人体の生命活動を維持する基本的な栄養物資である精を貯蔵し、五 臓六腑の要求に応じて随時その精を供給し、それらの健全な働きを維持しているといわれています。そして、全身に精力を与え、粘り強さや根気を生み出すとさ れています。

腎は、生殖用の精も貯蔵しています。生殖用の精が不足すると、妊娠ができないいろいろな症状となって出てきます。男の精と 女 の精が合体し、胎児の腎気となり妊娠が成立します。受精した時点で胎児の腎気の強弱が決まっていて、これが持って生まれる「先天の気」です。腎の力は成長 と同時にその力も高まっていきます。中国の古典医書『黄帝内経』という書物の中では、腎気の年齢的消長を次のように述べています。


  女子では、「七歳で腎気の働きが活発化し、歯が生え替わり、髪も長くなる。14歳で天癸が充満し、任脈と衝脈の流通が増進し、月経が始まる。21歳で体格 は頂点に達し、28歳で筋骨は充実して引き締まり、毛髪は最も長く豊かになる。しかし、35歳になると陽明経脈の機能が衰え、白髪が進行し、49歳で任脈 が空虚になり、月経が停止する」
 最近CMでよく見る女子は7年ごとに節目を迎えるとの出典はこの『黄帝内経』の記載です。


生殖能力において腎は非常に大切であり、どんなに年齢が若かくても、生活環境や食生活などで腎の力が不足して来ると、生殖能力が衰え、次第に卵巣機能や子宮機能が低下し、無排卵や無月経、子宮内膜が薄くなり、着床しにくいなどの症状が出てきます。

肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。

東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。

つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・お血が出現します。

女 性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、血という形で滞った悪い血が溜 まってきます。このお血の状態が進むと、軽い症状としては頭痛・肩凝り・月経前のイライラ・めまい・足の冷えとして現れます。

上で書いたように女性の場合は経絡のいずれかが弱っている事により、不妊症の諸症状が出てくることが多いのです。

鍼と灸を用いて、特に腎経・肝経のツボを刺激することによって、女性が本来持っている生命力を再び取り戻し、卵巣と子宮の機能が高まり、妊娠しやすい体質へと改善されていくわけです。卵巣機能不全などのホルモンのバランスの崩れには、東洋医学が非常に効果的です。

しかし東洋医学だけに全てを頼るのではなく、症状によっては西洋医学との併用が有効であると考えます。

当治療院では刺さない鍼を使用する鍼灸治療により不足している五臓の気を補い、「体の冷え」を治療し妊娠しやすい体質に改善をすることを目標といたしております。


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壽堂日記28年6月15日「メニエール病には鍼が良く効く?」

2016-06-15 05:53:01 | 日記

梅雨の時期ですね。湿度が高いため体の不調を覚える方も多いのではと思います。

当院では梅雨に入り「頭痛」や「メニエール病」の治療にお見えになる患者さんが増えました。

現代医学的には「メニエール病」は、内リンパ液の生産と吸収のバランスが崩れることで起こり、内リンパ液の過剰生産により、音を伝える「蝸牛」、平衡感覚を司る「半規管」「耳石器」に内リンパ液が溜まって腫れ上がる「内リンパ水腫」が原因だと考えられています。

内リンパ液の過剰生産の原因は不明ですが、一般的には、ストレス、疲労、あるいは睡眠不足などが引き金になって起こることが多い様です。また神経質とか凡帳面な人に多く見られます。

東洋医学的には耳は「腎」と密接な関係があります。「腎の気」が衰えると難聴や耳の閉塞感が起こります。

当院では最初に「本治法」で体全体の気血水の流れを調え、虚している臓の気を補います。補う気は「腎の気」であったり「脾の気」であったりと診察の結果で変わります。

頭部の症状ですが足にメニエールの特効穴があり、また「標治法」で耳・頸部・肩部・顔面部に鍼を刺します。

耳・顔面部の鍼は「美容鍼」用の鍼を使用しますので痛くありません。

当院で「メニエール病」の治療を受けている方々は皆様、症状が安定しており「メニエール病」には鍼がよく効くと改めて思いました。


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壽堂日記28年6月9日「刺さない鍼と刺す鍼?」

2016-06-09 06:48:48 | 日記

外房の海岸の町にお住まいの方から『お宅の治療院は鍼を刺しますか?』とお問い合わせがありました。

鍼灸治療院なので鍼を刺すのは当然と思われるかも知れませんが、鍼灸の流派によっては「刺さない鍼」を使用して治療する所もあります。

以前は東京の鍼灸院まで通院していたそうですが、外房地方で鍼灸院を探しても「刺す鍼」で治療する所が無かったそうです。

「ことぶき堂鍼灸院」では刺さない鍼を主に使用して治療する「積聚治療」という流派の鍼と「澤田流鍼灸術」という刺す鍼とお灸を組み合わせた治療法の二つの流派の鍼を症状によって使い分け治療をしております。

婦人病や不妊症の方は刺さない鍼を使用して治療し、筋肉の凝り痛みが強い方は「澤田流鍼灸術」で治療する事が多いです。

患者さんがお見えになり体を診察すると、これは見たことのある鍼痕ですね。私が師事していた「澤田流鍼灸術」の師を思い起こさせる経穴の使い方です。

東京で通院されていたのはおそらく「澤田流鍼灸術」の治療院であろうと思われます。

「澤田流鍼灸術」は現在主流となっている経絡治療が確立する前に昭和の名鍼灸師と呼ばれる澤田健先生によって創始された治療法で現在では外房地域では「澤田流鍼灸術」を使うのは当院だけではないかと思われます。

「澤田流鍼灸術」の本は現在も入手できますが。それを臨床に高めるには師事して実際の治療を体験することが必要です。

治療の方は患者さんから『これこれ、この刺す鍼が自分の体に一番体に合っている。』との事でした。

「刺す鍼」と「刺さない鍼」の間には優劣はありませんが、当院では患者さんの症状体質により使い分けております。


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壽堂日記28年6月6日「不妊症の治療・胚移植と鍼灸治療。」

2016-06-06 06:09:53 | 日記

不妊治療で「胚移植」をされた患者さんから妊娠しましたと連絡を受けました。

「胚移植」による妊娠を目標として数か月前から鍼灸治療を受けて体調を調えておられたのですが、連絡を受け安堵いたしました。

「胚移植」の直前と移植後に鍼灸治療を受けると妊娠率や出産に至る確率が高まる事はよく知られており、当院には「胚移植」前後に治療を受けられる患者さん、採卵の前段階から鍼治療を受け「妊娠し易い体創り」の為に患者さんがお見えになります。

この元になった研究はアメリカのメリーランド大学医学部統合医療センターの研究員らの調査で

「体外受精時の胚移植の前後に鍼治療を受けることで、その後の妊娠率や出産に至る確率が高まることが明らかになった。」

と報告されています。

こ の報告は欧米4ヶ国で実施された1366名の女性を対象に、体外受精時の胚移植の前後に、伝統的な鍼治療を受けた女性のグループ、にせの鍼治療を受けた女 性のグループ、そして、何も施されなかった女性のグループのその後の成績を比較したところ、伝統的な鍼治療を受けたグループは他のグループに比べて、妊娠 した割合が65%、そして、出産に至った割合が2倍であることが分かったそうです。

体外受精時の胚移植の前後の鍼治療は、その後の妊娠率や出産率を向上させることがデータで裏づけたられた訳ですね。

鍼灸治療が不妊治療に有効であることを示す各国の論文としてはその他に代表的なものとして

・胚移植日に鍼治療を行うと体外受精、顕微受精の妊娠率を上昇させる。
 273例を研究対象とし、鍼治療を行わない群では22%の妊娠、鍼治療群では36%の妊娠率であり、鍼治療群が妊娠率が高かった。(アメリカ生殖医学学会誌2006年 デンマークでの研究結果)

・体外受精と顕微授精例の黄体期に、鍼治療を行うと、鍼治療群に妊娠率が高かった。
 225例を対象とした、鍼治療を行わなかった群では13.8%、行った群では28.4%の妊娠率で鍼治療群に妊娠率が高かった。
(アメリカ生殖医学学会誌2006年 ドイツでの研究結果)

・体外受精例に鍼治療を3回行い、鍼治療群に妊娠率が高かった。
228例を対象に、HMG(排卵誘発剤)注射時、採卵前、採卵直後に鍼を行い。行わない群では23%、鍼治療群では31%の妊娠率で、鍼治療群に妊娠率は高かった。
(アメリカ生殖医学学会誌2006年 オーストラリアから研究結果)

などがありますし、国内でも同様な研究成果が報告されています。

鍼治療がどのようなメカニズムで不妊治療の成功率を高めるのかはよく分からないとしていますが、ストレス緩和の効果も大きいのではないかとされています。

ストレスを受けることで、人の気血水の流れが変調します。

胚移植の前後の気血の流れの変調は、胚が着床し、妊娠が継続することに、何らかの影響を及ぼしていると考えられます。

体外受精を受ける女性にとって、胚移植の前後に鍼灸治療を受けて、気血の流れを調え、ストレスを緩和することはとても大切です。

当院では体外受精の胚を戻す前と後に鍼灸治療を受けることをお勧めしております。


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