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成道会の立禅

2007-01-11 16:33:00 | 格闘技、武道
太気拳と言えば立禅、這い等の一見するとかなり特殊な訓練方法を行うことで知られている。

私の場合、立禅を最初やらされた時は15分程度でもかなり苦痛であったことを覚えている。
岩間先生から「これは絶対に外せない稽古だから」と言われて、現に先生も一緒に30分~1時間位は禅を組んでおられたし、何のためにかは分らなかったが、とにかくやっていた。

太気拳に取り組み始めた当初は、先生のあの特徴的な動きは身法、歩法、つまり練りによってもたらされると考えていたので立禅もやってはいたが練りの方が熱心であった。
最初、苦痛であった立禅であるが2年目位から少し変化が現れてきた。
立禅を組んでいる時の両腕の内側に何ともいえない圧力を感じ始めるようになり、それは禅を組んで5分から15分位で表れることもあれば、組んですぐに感じることもあった。
それが自分の動きやパンチ力とか蹴りの威力にどう関わるのかは分らなかったが、とにかくその感覚が面白くて取り組んでいた。「これが気ってやつなのかなぁ」なんて考えてもいた。

この頃から、自分なりに意拳も研究するようになっていたので、それがいわゆる六面力の一部であることは後に知った。
更に年数を重ねて行き、その圧力の様なものが全身に及ぶようになり、それは身体が膨張するような感じで分解すると前後左右上下で特に上下はまさに地球と我が身が引き合っているような感じとなった。
これを利用して爆発的なパワーを発生させるのだろうと当初は考え、試みてもいたが後にそれは間違いであると気がついた。

現在、立禅はただとにかく自然に立つといった感じでやっている。
ひとつ言えるのは健康の為には絶対に良いということで、人間の立って行動するという運動自体のレベルは立禅によって大きく革新される。あらゆる運動家、芸術家、社会人にとって間違いなく有益である。

太気拳を知っている人は立禅に取り組むことに対してあまり抵抗はないだろう。しかし、何の予備知識もない人に立禅は苦痛であろうし、強さを求めてやってきたのになんて不毛なことをやらされるんだろうと思うのは当たり前だろう。
澤井先生ですら、中国で王向斎先生に師事した際、来る日も来る日も立禅ばかりさせられた日にはもうやめてしまおうかと考えたらしいのだから。
デモンストレーションで人を吹っ飛ばす等して、立禅の成果を納得させるのもひとつの方法であると思う。

成道会では初心者にも、とにかく立禅に取り組んでもらうために、それによって生じる身体や諸々の変化を感じ取ってもらい、興味を持ってもらうことから始めている。

まず、立ち続けることが苦痛でなくなりむしろなんともいえなく気持ちよくなること。これは心身のリラクセーションが深まってきていることを示す。

次に身体の重みを感じ取り、それを身体の最下部に置く。
これは必要箇所以外の余分な力が抜け落ち、必要最低限の筋力で立っていることを示す。

次に先程の六面力の獲得に到る。
これはローテーターカフなどの深層筋群が表在筋よりも優位に活動してきていることを示していると考えられる。早い人で1年もすれば、この段階に到達する。

次にはそれら獲得したものを全て忘れ、ただとにかく自然に立つ。身体の中には何も感じないが、あらゆる何かが内包された状態となる。しかし、これが意外と難しい。

具体的にはインナーマッスルの優位活動、ハムストリングの伸張反射、重力の活用、精神の安定と集中、意識によって先導されない運動など等、各段階によってあらゆる潜在的な運動に関わる能力が開発、引き出されるものと考えている。

既に立禅などについては深く研究を進めておられる先生方も多くおられると思うが、それらの方々の意見や研究成果は批判などするよりまず耳を傾け、自身で取捨選択するべきだろう。我々はそれらを発見、発表するよりも利用していく立場にある。

これからも立禅に対する見解は変わっていくかもしれないが、例え武術を手放す時が来てもこれだけは変わらず一生続けていくだろう。死ぬ日まで続けていけたら本望である。
諸先生方、先輩方のご批判、ご意見を期待するところである。
 

空手拳法成道会
http://www.joudou.jp/