愛知県西尾市に岩瀬文庫という図書館があります。
まだ新しい建物で、中はまるで美術館のようです。
しかしここは、日本国内で例を見ない、古書専門の図書館です。
しかも、誰が行っても貴重な古書を手にとって閲覧することができるのです。
岩瀬文庫は、西尾市の実業家、岩瀬弥助という人が明治の終わり頃、私設の図書館として設立したものです。
私財を投じてあらゆる分野の古今の名著を集め、講堂や音楽堂、婦人のための閲覧室や児童館等を備えた建物を建設し、無料で市民に公開しました。
これは、大正時代に建てられた書庫で国の登録有形文化財になっています。
本館2Fの常設展示室では、古書のレプリカを手にとって触れることができます。
有名な「枕草子」
「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは。・・・」
古書というと、こういう文字ばかり、しかも解読不能な変体仮名の続け字の物を思い浮かべる人が多いと思いますが、岩瀬文庫には、植物図鑑、動物図鑑、化け物図鑑、絵巻物、名所図会のような、色とりどりに描かれた絵が中心の書籍がたくさんあります。
これは、”こんな本もありますよ~”的な案内シートです。
これは、「禽品(きんぴん)」という鳥類の図鑑です。(常設展示室のレプリカです。)
閲覧室で手続きをすれば、実際に本物の古書を手にとって見せていただくことができます。
私も植物や魚類、鳥類の図譜を何冊か見せていただきました。
どれも細やかな筆遣いと見事な彩色で美術品を眺めているようでした。
現代の我々は望遠レンズで撮影した写真によって鳥類などの瞬間的な動きや細かな羽の色などを見ることができますが、
離れた場所で動いている対象を肉眼で観察してここまで細かく描いてあることに驚きました。
現代の我々が失ってしまった能力なのかもしれません。
丸一日いても飽きることはありません。
また機会があったらぜひ行きたいと思いました。