洞爺湖の浮見堂を出発して洞爺湖畔で一番賑やかな大きなホテルが建ち並ぶ洞爺湖温泉街を抜けて洞爺湖観光果樹園の前に差し掛かった時にちょうどサイロ展望台方向に沈み掛ける綺麗な夕日が見えて女性達が「夕日が見たい!」と言い出し、御要望にお応えする為に果樹販売所の駐車場に車を停めて暫く夕日が沈む様子を見る事にした。
今回の旅行中の此の時間だと毎日、既にホテルのチェックインを終えて夕食が始まって居る楽しい時間帯なのでユックリと夕日を眺める事は無かったが此の日は深夜に出航する新日本海フェリーに乗船する日で此の段階で道内の観光も全て終り、後は苫小牧東港までの途中で夕食を食べるだけ、昨日までの様に時間に追われる事も無かったので三人で心行くまで夕日が沈んで行く様子をぼんやりと眺めていた。
太陽がカルデラ湖の外輪山に沈む少し前は洞爺湖の対岸から此方の岸までの湖面に一直線の光の帯が出来て非常に綺麗だった。そして太陽が山陰に姿を隠し始めると其の光の帯は段々と消えて細く短く成って行く様は調度私達の「楽しかった北海道内の旅行も愈々今日で終りか?」の気持ちと自然にリンクして寂しい気持ちに成って仕舞った。そして多分、再び北海道の地に訪れる可能性がない事が解かって居るだけに私は道内で最後の夕日を精一杯此の目に焼き付けた。