私が最初に開局した45年前、高卒の初任給が1万円前後で有った様に思う、確か3C2Vの同軸が1m当たり70円位しており(田舎だったせいかも)高値の花だった。一番最初のアンテナはツェッペリンアンテナ(単線のエレメントに梯子フィーダー給電)だったが製作記事を真似て作った物、共振しているのかどうかも解らない好い加減な代物だった(形だけは其れなりの物だったが)当然インピーダンスやSWRを調べる測定器など皆持っていなかった。当時の高校のクラブ局はテレビフィーダを使用したフォールデットダイポール、当時テレビはかなり普及していた為何処の電気屋でも手に入れることが出来た。
其の後小遣いを貯め、当時1m辺り30円くらいしていたTVフィーダを購入、アンテナを上げた時は無線機が手に入った時の様に嬉しかった事を覚えている。しかし中の線が酸化したり強い風が吹くとよく切れていた台風など来ると必ず切れていた様に思う。修理の為に屋根に上がり「瓦がずれる」と親父によく怒られた。社会人に成り徳島に帰った時、最初に上げたアンテナがモズレーのTA-33(トライ・バンダーの3エレ八木)其の後5エレ、7エレとグレードアップしていったがゴルフや釣竿と同じで際限が無い最終的にH・F帯でのアンテナとしては7エレが最大、ブーム長が14m弱だったが私にとって高所で一人でメンテが出来る限界だった。
最近のアマチュア無線で自作する物と言えばアンテナ位に成ってしまった。そして差が一番出るのもアンテナであろう。通常の交信だと其れなりの競合が有ってもパワーが有れば押し切れるのでパワー重視に成りがちだがDXぺディションに成るとアンテナの差を歴然と見せ付けられる当然の事ながら「聞こえない事には呼べないのだ」私が聞こえないのに交信していく局のアンテナ群を見ると素晴らしい それらの局はアンテナに掛ける費用も想いも相当な物でQRZ.COMやインターネットで調べると大概見る事が出来る。
本題だが7MHz~から50MHzを全てビーム化と成れば8本のビームアンテナが必要に成る 一般の個人では難しいのでトライバンダーやモノバンダー、マルチバンダーの組合わせに成る タワー1基に2本のアンテナを積んで組もうとすると最低でもタワーが3基が必要に成る。此処で問題なのは複数バンド運用可能なアンテナは基本的にトラップが入っておりこの種のアンテナには下記の問題点がある。
1、帯域がモノバンダーに比較して狭い
2、多段に積むと他のアンテナの影響を受け 其の影響を事前に予測しにくく事前対応が取り難い
タワーを2基以上建てられる環境を有する局は多くは無いと思うのでマルチバンドで海外交信するとなると他の周波数の影響を受けずに運用する場合、理想はタワー1基に1個のアンテナの取り付けとなり この条件を満たすアンテナと成るとクワッドかステップIRの選択肢か無い様に思える。この両者はマルチバンドアンテナで有りながらフルサイズの単独のエレメントを有するからだ。(IRはエレメントが巻尺状に伸縮し同調する)IRは八木アンテナ、単なる電波の飛びの比較ならクワッドに軍配が上がろうがクワッドには問題がひとつ有る機械的強度が八木系に比較して弱い事だ。私も20年くらい前にクワッドを検討した事が有り7MHzが2エレ14,21,28MHzが4エレのクワッドを上げている先輩に尋ねた事が有ったが「辞めとけ、飛びに関しては問題は無いがメンテが大変、クランクアップタワーなら考えても良いが御前の所は自立タワーで重機の入れない所、台風の多い四国では勧められない」の一言だった。この先輩は自ら後向きの事を云わない人だった事から苦労して居る様子が解った。
極論になるかも知れないがステップIRのアンテナを使用すると1基のタワーで7MHzから50MHzのフルサイズのアンテナで帯域や他のアンテナの影響を気にせず運用する事が出来る。ただ価格が高い事と制御部の故障が発生した時のメンテ状の問題は有ると思うが?
価格も確かに高いがモノバンダーの各アンテナとタワー1基分の価格を考えると御釣りが有るのでは新規にタワーを建て本格的にDXを始める予定で有ればベストのチョイスで無いかと思う。私の場合はこの様に想像して楽しむしか無いのだが・・・・・・
今より20歳若ければ間違いなく現在のアンテナを撤去してでも建てたに違いない 残念ながら歳を取りすぎた使い切る程、時間も無いし金も無い・・・・・・