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アメリカ帝国・帝国主義をめぐる 戦後日本で刊行されたいくつかの本 その1

2013年11月13日 | 帝国・帝国主義・軍産官報複合

アメリカ帝国・帝国主義をめぐる 戦後日本で刊行されたいくつかの本

明確な政治潮流から(例えば左翼)の立場からする論は、戦後には数多く存在していることだろう。

日本の敗戦からまもなく70年になろうとしている。戦後占領時代を経て、(名目上)独立を回復してからも60年以上も経過している。
その中で、性急な政治的立場からする論ではなく、世界史の中で歴史・思想史的にアメリカの歴史を帝国主義・帝国として整理した書籍は戦後日本でどのくらいあるのだろうか。

雑誌掲載論文まで拡げれば、多数存在していることは間違いないが。単行本の形態をとったものは、党派的な立場からするもの除くと以外と少ないようだ。

1945年から1952年までの占領期には、検閲・自主規制も働き、国会図書館の蔵書検索をかけてもなかなか出てこない。検閲・出版制限を回避するのに、刺激的なことばを避けていたのだろうか。

これからは、直接軍事介入した中南米諸国・米国と密接に関わる軍事独裁国、保護国化される国、抵抗運動のある国などの報告も帝国・帝国主義の大枠に入れ、また軍事関連民間企業の世界の動きも、民営化される戦争として、ウォッチングの対象とする必要があるだろう。

 

 ▲ 楊井克己 『アメリカ帝国主義史論』  1959年初版 東京大学出版会 1965年 2版 270頁 定価2版1200円

序 序論

第一篇 キューバおよびプエルト・リコ 第1章 キューバ  第2章 プエルト・リコ

第二篇 「金融的」帝国主義       第1章 序説     第2章 ブラウン商会・セリグマン商会 

第三篇 「経済的」帝国主義            第1章 スタンダード石油会社  第2章連合果実会社

第四篇 汎米主義

総括 

表索引 索引 

 

  ▲ 清水知久 『アメリカ帝国』 1968年 亜紀現代史叢書1  亜紀書房 定価550円 252頁

はしがきー本書の目的と構成

第一部 形成期のアメリカ帝国

  Ⅰ アメリカ・その歴史像 Ⅱ19世紀における膨張の歴史 Ⅲ 黒人奴隷制 Ⅳ インディアン

補論 アメリカ帝国についての覚え書き

第二部 アメリカ外交の基調

  Ⅰ 「モンロード・クトリン」  Ⅱ 門戸開放政策とアメリカ帝国主義の成立  Ⅲ ウィルソン外交の課題  Ⅳ「トルーマン・ドクトリン」

第三部 「アジア・ドクトリン」の形成と破綻」

  Ⅰ アメリカトアジア  Ⅱ 第二次大戦後アメリカの対外政策におけるアジア  Ⅲ 「アジア第一主義」の論理 Ⅳ ケネディの登場  Ⅳ ケネディにおけるインドシナの「教訓」

補論1 「ケネディ=ロストウ路線の形成と展開

補論2 アメリカの「極東」理解

 

 

  ▲ 『アメリカ史研究入門』 1974年初版、1980年第2版 山川出版社 386頁 定価2800円(2版)

アメリカ史研究入門と謳っているが、章立ては以下の通りである。

この本の はしがきが ベトナム反戦時代の強烈な時代認識を呼び起こしてくれる。

一部だが引用する

「本書は、ある意味ではこの種の入門書としての資格を欠いているかもしれない。いわゆる客観性・一般性・中立性・網羅性など、これまでの常識からすれば、入門書にとって不可欠とみなされてきた必要条件を満たしていないからである。・・・・・・・・・なによりも著者たちはい くつかの点では相互に見解を異にするとはいえ、アメリカ史を帝国の歴史として捉え、差別の全体系としての帝国に反対するという立場で一致している。・・・・・・・本書は書斎における所産というよりは一種のポリティカル=スカラーシップの所産である。 

                                                   著者 1974年4月 」

 

Ⅰ イギリス帝国下の植民地   (1600~1775年)     富田虎男

Ⅱ アメリカ帝国の形成       (1770~1820年代)    富田虎男

Ⅲ アメリカ帝国の確立       (1828~1877年)     富田虎男・清水知久

Ⅳ 世界帝国への道                            高橋章 

Ⅴ 世界帝国の完成と破綻                       清水知久

付録 アメリカ史基本文献

1980年増補 

 

 ▲ 山本幹雄 『アメリカ帝国主義の形成  ー政治集団の軌跡からー 』 1977年 ミネルヴァ書房 294頁 定価2400円

はしがき

第一章 シュワード 

第二章 ブレーン

第三章 シャーマン

第四章 クリーブランド

第五章 マッキンレー

 

このほか高橋章 の『アメリカ帝国主義成立史の研究』 1999年 名古屋大学出版会 が国会図書館の検索にかかった。これはまだ読んでいない。

それにしても、以外というか、やはり、といおうか

アメリカ史を「帝国・帝国主義」として展望する研究的論著は極めて数少ないと言える。

高橋章は共著で清水知久・富田虎男と 『アメリカ史研究入門』山川出版 を出しているので、実質、戦後の研究の論著では、楊井克己 『アメリカ帝国主義史論』1959初版を出発点として、清水知久・富田虎男と高橋章の3人が中心ということになるのか。

最近、中野聡の 『歴史的経験としてのアメリカ帝国 米比関係史の群像』  2007年 岩波書店、

『フィリピン独立問題史 独立法問題をめぐる米比関係史の研究1929-1946』 1997年 龍渓書舎

北原 仁 『占領と憲法 カリブ海諸国、フィリピン、そして日本』 2011年 成文堂などの研究が出版されていることを知った。ぜひ読んでみたい本である。

 

 

 

 ▲チョムスキー 『テロの帝国アメリカ  海賊と帝王』 2003年 明石書店

 

 ▲ウィリアム・ブルム 『アメリカの国家犯罪 全書』 2003年 作品社 418頁 カバー不明で、定価2800円位か。

ベトナム戦争に反対して国務省辞任したウィリアム・ブルム。国務省では外交担当部門に勤務。

第Ⅲ部は ならずもの国家アメリカVS世界という構成で第17章は米国による介入の歴史 1945年~

ブログ1頁では引用しきれないので、目次にあるアメリカの軍事介入の歴史一覧を以下に掲げる。

 

 ▲ 『アメリカの国家犯罪 全書』 2003年 に掲げられている戦後のアメリカの内政干渉・軍事介入

それにしても、内政干渉・軍事介入の多さには驚愕する。どれだけの生命が失われたのだろう。ならず者国家は本当にどこの国だろうか。

 

 ▲ 桜井春彦 『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』  2005年9月 三一書房 420頁+資料・索引60頁 

資料にノースウッズ作戦の資料添付。ケネディ大統領により拒否され、実施はされなかったが偽旗作戦としては空前の巨大な陰謀計画が存在した。2001年の911事件との類似に驚かされる。911事件はもしかして!・・・・・・?この本を読むと、すべてを括弧に入れて、外交の裏の工作に注意払う必要性を痛感させられる。

教え子の就職までも心配してあげないといけないアメリカ史担当の大学教員は、こんな本は書けないだろうなあと逆に大学内研究の悲惨さを想う。それにしても桜井清彦は気合いが入っている。

 

 ▲ ティム・ワイナー 『CIA秘録』 2008年11月 上巻468頁 下巻 478頁 各巻1857円+税 文藝春秋

表の外交だけでは、わからないのがアメリカ。 見えない政府CIAの歴史を知ると知らないとでは、全くアメリカの見る目が変わる。

 

 ▲ フリーマントル 『CIA』 1984年 新潮社 定価1100円

 

 ▲ 矢部 武 『CIAとアメリカ』 1996年 廣済堂 286頁 定価1600円

巻末に〈付録〉として、CIA・諜報関係の用語集がついていて便利

 

 ▲ 斉藤 彰 『CIA』  1985年5月 講談社 1997年に16刷 202頁 定価650円

 

 

 

 ▲ 木村 朗 編 『9.11事件の省察』 2007年 凱風社 412頁  価格 2700円+税  共著の本である。

巻末資料として、『アメリカ国防の再建』 の要旨、911事件に関する8頁の詳細な文献表がある。(2007年前半くらいまで) 5年以上経過しているので、資料や動画はもっと増加していることだろう。

全体に抑制が利いていて、911事件を考えるための、日本では第一の書か。911事件はまだ未解決であると私は考える。

「同時多発テロ」などということばを平気で使う研究者や、ジャーナリストは、911のさまざまな疑問に答えてからにしていただきたいと願う。立花隆が、週刊文春でこの著を書評していたが、立花のほか、新聞などでこの本に対する書評をみたことがない。テレビのニュース番組のアンカーマンや、総合雑誌の編集者・新聞記者はこの本を読んでから「同時多発テロ」ということばを使用すべきか、大いに悩んでもらいたい。

 

 ▲ デイヴィッド・レイ・グリフィン 『9.11の矛盾 9.11委員会報告書が黙殺した重大な事実』 2010年 緑風出版 548頁 カバーが現在行方不明で、価格がわからない。後で記すことにする。

 

 ▲  デイヴィッド・レイ・グリフィン 『9.11事件は謀略か 「21世紀の真珠湾攻撃」とブッシュ政権』  緑風出版2007年 緑風出版 438頁 価格2800円+税

 ▲ ミシェル・チョスドスキー 三木敦雄 訳 『アメリカの謀略戦争 9.11の真相とイラク戦争』 2003年12月発行 本の友社

英語圏では一番早く、アメリカ政府の見解を覆す論説を発表したと思われる本。世界ではいち早くアメリカの公式見解を否定したのは、フランスのティエリ・メイサンだったようだ。「ヴォルテール・ネット」という仏のホームページで本はダウンロードできる。

911に関する翻訳では、最初にまとまった見解を日本にもたらしたのがこの『アメリカの謀略戦争 9.11の真相とイラク戦争』 である。

911事件前後に、パキスタン情報長官が、アメリカ首都ワシントンに滞在していたこと。モハメド・アッタら911事件首謀者とされたグループにパキスタン経由で送金するのに、パキスタン情報長官が関わっていたことなども記されている。この本地方小出版センター取り扱いの本で、大きな書店にしか出回っていない。見つけたらすぐに買っておいて損はない。

著者は『貧困のグローバリゼーション』の著者。金融は詳しく、世界の国家経済主権が、もはや中央銀行のコントロールを失い、「機関投資家」の手中にあり、投機活動の潮流と闘うことができない国家と化していることを指摘している。

 

 

 ▲ 童子丸 開 『WTCビル崩壊の徹底究明』 2007年9月11日発行 社会評論社 価格4200円+税

価格が少し高いが、カラー図版も多く、読まずとも納得の写真と図表が理解を促す。著者はスペイン・バルセロナ在住。スペインのマドリッドで起きた高層ビル火災と比較し、ビル火災では、耐熱鋼材をメインとしたコア構造のビルは崩壊しないと明言。底まで一切が崩壊したのは貿易センターのツインタワーと、貿易センター第7ビルのみ。後にもさきにもこの3つのビルだけであると言う。

多くの例証をあげ、アメリカのWTCビル崩壊の公式説明が成立しないことを説明する。

 ▲ 上記書55頁 左ビル全容 右2006年2月12日マドリッドのウィンド・ソル・ビル火災の炎上状況。完全鎮火する「まで20時間もかかったそうだが、鎮火したビルは下左の写真のように、コア部分、黒い矢印にあるメカカニカル・フロアーから下の外壁鉄骨も残存しているのが分かる。

 

 ▲ 童子丸 開 『WTCビル崩壊の徹底究明』 56頁で紹介されているビル火災写真。左の画像48は前述のウィンド・ソル・ビルの残骸。黒い矢印のあるメカニカル・フロアーからの下では、床と外壁の崩壊が食い止められていることがわかる。上部階も外側の部分は焼けただれているが、コアの鉄骨はしっかり残存しているのがわかる。

また画像49のビル火災は1988年3月4日起きたロスアンジェルスの第1インターサンテ銀行ビル。62階の建物。火災はその日の夜に始まり翌朝午前中いっぱい続いたが、全面的崩壊などその気配もなかった。という。

スペイン・マドリッドで一日中燃え続けたビル火災で、消火の後にも、ビルのコアのある下の構造は破壊されていないことを童子丸は紹介していた。ニューヨークの消防士も、経験的に、ビル火災では、燃えていないメカニカルフロアーの階を足場に消火に当たれることを知っていた。なぜ彼らは何百人も生還できなかったのか。

先に崩壊した貿易センター第2ビルが56分で全面崩壊。後に崩壊した第1ビルが102分で全面崩壊。

1~2時間程度の火災で、ビル崩壊した例は、耐熱試験に合格した鋼材を使った例としては貿易センターのビルだけではないだろうか。

 ▲ 童子丸 開 『WTCビル崩壊の徹底究明』115頁画像89の写真 第1ビル 北タワー

どうしてビルの鋼材が、放物線を描くように、上方に飛び出し、それから、落ちて行くのであろうか。ビルの鋼材が、飛行機の突入で、火災が起こり、その熱で鋼材の耐久性が落ち、ビルを支えきれなくなり、崩壊したと、政府は発表していることなのだが。

重力の力は垂直下方向に働かず上の写真のように、にいったん、上方へ、その後放物線を描くように働くのだろうか?

この映像は、爆発が起きていたことを示してはいないだろうか。またビルはこの後すーっと早い速度で落ちていくのだが、これは、爆発とビルの制御解体を組み合わせた不思議な出来事そのものではないだろうか。

ビル解体では、カッター・チャージといって、外のビルに倒れたり、迷惑がかからないように、ビル敷地内に内側に倒れ込むように、あらかじめ、鉄鋼を斜めに切れるように、時間をおいて次々に溶かしながら爆発させていく。

日本の鋼材メーカーが、貿易センターの耐熱鋼を納入したと聞く。マッチ棒のように長方形のバラバラになって飛び散っているのは鉄材である。重力の力でこんな粉砕が起きるはずはないのではないだろうか。

 童子丸 開 『WTCビル崩壊の徹底究明』 は200を越える挿図と写真で、これなら、誰もが納得できる不思議さを理解するはずである。インターネットで入手できる、ビル崩壊の動画を繰り返し参照しながらこの本を読むとさらに理解が深まるだろう。

童子丸 開の『WTCビル崩壊の徹底究明』は、911事件全容を解明したものではないが、WTCビル崩壊に関する日本の論著では、これが真っ先に参照すべき書物であると思う。

WTC貿易センタービル崩壊に際し、多くの目撃証言がある。ビル中にいて脱出した消防士たちや貿易センター従業員などが「ボン・ボン・ボン・ボン」という連続した爆発音と思われる音を聞いている。

爆発の目撃証言については、デイヴィッド・レイ・グリフィン 『9.11の矛盾 9.11委員会報告書が黙殺した重大な事実』 2010年の第5部 世界貿易センターの倒壊に関する疑問の章の382頁~402頁に掲載されている。また当日あるいは、翌日放送していた記者本人の口からも、爆発に関するテレビ報道や、新聞にも目撃者証言あったのだが、公式報告では、「飛行機の衝突と火災に遭った階の下の区域では、爆発の証拠もなかった」としているという。摩訶不思議。ケネディ暗殺事件の『ウォーレン報告』もひどい報告書だったのだが・・・・

 

 ▲ P・W・シンガー 山崎 淳 訳 『戦争請負会社』 2004年 日本放送出版協会 486頁 2500円+税

 

 

 ▲ 田中 宇 『「アメリカ超帝国主義」の正体』 2003年 小学館文庫 237頁 514円+税

911事件の怪をいち早く提起した田中 宇。 アメリカ外交の公式文書ばかり、一次資料として調査していると、田中宇のような、迅速さを伴った、的確な時期に論評できなくなる。

 

  ▲ 越智道雄 『なぜアメリカ大統領は戦争をしたがるのか』 アスキー新書

 

 

 ▲ 菅原 出 『民間軍事会社の内幕』 2010年 294頁+ 参考資料16頁 筑摩書房 ちくま文庫 

2007年 草思社刊行の『外注される戦争』の加筆・訂正・第8章増補叛

 

 ▲グレック・グランディン 松下冽 監訳 『 アメリカ帝国のワークショップ』 2008年 明石書店 392頁 3800円+税

アメリカはラテンアメリカ、中東で何をしてきたか。近年の中東軍事介入まで、メディア操作の驚くべき実態までせまり、帝国の生の暴力を提示する。

そこには、こんなことが記されてあった。

「グアテマラの対ゲリラ戦争で両親を失ったグエティレス(という名の青年)は、グアテマラ市の路上で孤児としての生活、メキシコを経て、合衆国への2000マイルの旅、そしてロサンゼルスの少年裁判所を生き延び、ただイラク戦争での最初のアメリカ人死者の一人・・・全員がメキシコ市民でもあった三人の海兵隊の仲間とともに・・・・なったにすぎなかった。」

イラクに派遣される若い軍人は、アメリカ市民権を得るための便法として、内戦による難民を志願兵として応募するよう取り込み、最前線に送り込まれていることがこれで分かる。

 

 

 

 

 

 



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