巴里の中心で、ワンとさけぶ

笑いながら一気に読んでください! 愛犬・ラブラドールとのドタバタ巴里暮らし

フランスの英雄は永遠か?

2006年04月28日 06時03分55秒 | Weblog
 おととい、ワールドカップ終了後に引退することを表明したジダン。国民的英雄だからテレビニュースも新聞もジダン一色でしたね。
 ちょうど4年前のこの時期、日本のある新聞社に、フランス代表チームの情報を毎朝、データ原稿で送るという仕事の手伝いをちょこちょこしてたんですよ。日韓共同開催のワールドカップ直前で、日本はありとあらゆる情報をほしがってましたから。もっとも、私はまったくのサッカー・オンチで、プレイなど専門的なことは、からっきし! つまり私が集めてたのは裏ネタばっかり。選手の誰それが結婚したとか、パリのディズニーランドに行ったとか、日本食が好きらしい……、なんて類いの。
 そんなある日、雑誌にジダンとあるジャーナリストの対談が載っていたので、仏和辞典を片手にヒッシで訳しました。その中で、「選手を引退したあとは指導者としてフランスを引っ張っていくんだろ?」という問いに、ジダンは「それはない。自分は選手だけで終わるつもりだ」と。さらにジャーナリストが「なぜ? 君なら第二のプラティニになれるだろう」と続けると、ジダンはきっぱりこう答えてた。「なれないね。なぜなら僕はフランス人ではないから」と。
 生粋のフランス人たちっていうのはメチャメチャ自尊心が強い。語学学校なんかでもフランス語を喋れないやつは人間以下って態度をとるムカツク先生だっているし。そんな国にあって、移民たちはどうしたら差別されなくなり、崇められるようになるかっていうと、そりゃあ、有名になるっきゃない! 他を圧倒する実力でその分野の星になれば、フランス人たちの態度もコロリです!
 そういえば、ルイ・ヴィトンの現デザイナー、マーク・ジェイコブはアメリカ人で、フランス語なんてまるで話せないみたい。だってテレビでのインタビューとか、いっつも米語だもん。そう、頂点を極めた人は、いいんですきっとそれでも。
 さて、話はジダンに戻って、引退会見をテレビで観ていたら、彼はどんな第二の人生を歩み出すのかとっても気になったんですよ。アルジェリア移民の子としてマルセイユのスラム街に育った貧しい少年が、サッカーで頭角を現し、そして頂点にまで上り、フランスの英雄となった。ジダンは今でも4年前と同じで気持ちで指導者への道を歩むつもりはないのかしらん? 潔く去り、伝説の人になるつもりかしら?
 それと、そもそもそっち系の移民が嫌いなフランス人たちは、引退後のジダンをいつまでも、ずっとずっとフランスの英雄だって思い続けてくれるのかなぁ……。なんてことも、ふっと考えたりした今日一日でした。