維新の動乱を背景に、天涯孤独の女スリと彰義隊隊士とのひたむきな恋を描いた時代劇です。
舞台は慶応4年の江戸。
この頃、将軍は江戸を追われ、薩長土肥の連合軍が、わがもの顔に闊歩。日増しに高まる彼らの傍若無人さに、庶民は反感を抱いていました。なかでも、むささび一家の娘スリ師・隼のおぎん(美空ひばり)は、仲間のおもん(筑波久子)、庄吉(春日俊二)らと共に、官軍士官の懐を狙って溜飲を下げていました。
町方勘兵衛の案内でむささび一家にやってきた天野八郎(原田甲子郎)と部下の村上新三郎(小笠原良智)は、官軍士官の肩に輝く錦切れ(錦旗を擁する目印として肩につけていた錦の小ぎれ)の略奪を頼みます。女親分・おりき(萬代峰子)は何の得にもならないので断ります。しかし、おぎんは何を思ってか内緒で錦切れのスリ取りを始めます。
官軍と彰義隊との戦いが上野の山で始まります。彰義隊は武器で優る官軍に歯が立たず、敗退。重傷を負った新三郎は迷子のおみよ(四方晴美)を連れ、おぎんの住居にころがりこんできました。おみよを相手に遊びながら、おぎんは堅気で生きようと思い始めます。
おみよの親探しの目的で、「納涼演芸大会」が開催されます。結果、親が見つかったおみよを前に、おぎんは得意の歌を披露しますが、突然あがった「あいつはスリだ!」の声。おぎんは町方勘兵衛(花沢徳衛)に追われ、おぎんの前身を知った新三郎は・・・。