「読切倶楽部」に連載された陣出達朗による原作の映画化です。
舞台は日光街道(木崎宿、栃木宿、鹿沼宿)。中村錦之助、島倉千代子、8歳の松島トモ子が出演しています。若い島倉千代子が美声で唄っています。子役の松島トモ子が好演です。
野州岡部の宿近くで、母を探し旅する姉妹お初(島倉千代子)と新坊(松島トモ子)が難儀にあったのを助けた新太郎(中村錦之助)。江戸の料亭の一人息子。ふとしたことで人をあやめ、流れ者になっています。腰の脇差には封印。
道中、侍くずれの源六(原健作)が操るお粂(原もとめ)は懐中を狙いますが、新太郎の清い眼にかえって女心をときめかします。
一度はばらばらになって三人、そこに淋し気なお粂が加わります。
お初の母が鹿沼宿・鹿沼屋に居るとの情報。母のお勝(北見礼子)は悪貸元鹿沼の鉄造(佐々木孝丸)の手にかかり、ここに連れ去られたのでした。
鉄造は代官所を抱えこみ、村人相手にイカサマ賽の金儲け。新太郎は賭場へふみこみます。とはいえ、封印長脇差の一人身では、お勝を救えません。
意を決した新太郎は再び鉄造の家へ。お粂が鉄造の女房をしばり、お勝を救い出したその隙に、お初姉妹が件の源六に引き立てられました。そしてお粂は彼の刃に倒れます。
そこへ日頃の憤懣を爆発させた村人達が押し寄せると、新太郎もついに怒りで封印を切り・・・。