いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

名古屋高裁はイラク派遣の航空自衛隊の空輸活動は違憲/山崎孝

2008-04-17 | ご投稿
【イラク特措法にも違反 名古屋高裁の違憲判断】(2008年4月17日付東京新聞夕刊)

イラク派遣の航空自衛隊の空輸活動は違憲との判断を示した名古屋高裁の青山邦夫裁判長(異動のため高田健一裁判長代読)は17日の判決理由で「現代戦で輸送の補給活動も戦闘行為の重要な要素。武装兵員の輸送は自らも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない」として、武力行使を禁じたイラク特措法にも違反するとした。

原告側は実質勝訴と受け止め上告しない方針。請求自体は1審に続き退けられたため国も上告できず、自衛隊のイラク派遣に対する初の違憲判断は確定するとみられる。

町村信孝官房長官は同日午後、「バグダッド飛行場などは非戦闘地域の要件を満たしており、納得できない。自衛隊の活動は継続する」との見解を示した。

青山裁判長は判決で、空自の空輸活動は「多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っている」とし、空輸が行われているバグダッドについて、「戦闘地域」とした。(共同)(以上)

★コメント 2007年に朝日新聞と中日新聞で報道された、航空自衛隊員の話したイラクでの状況です。

朝日新聞 ミサイル攻撃の「(警報が鳴る)可能性が常にある。一度、空へ上がったら下りられる保証はない。そんな意識で、すぐに対応できるよう準備しつつ飛ぶ」と小林3佐は心得を語る。

2度、イラクに派遣されたロードマスター(空中輸送員)の新納博文1曹(40)は「実戦的な訓練は重ねている」と話す。

中日新聞 隊員の耳にも日々、確認情報が届く。「離陸前の待機中、機体のすぐ上を複数の迫撃砲弾が飛んだ」「飛行してきたばかりのルートを着陸直後、ミサイルが通過した」。いずれも数分の差で被弾していた可能性が高い。中堅の隊員は「飛ぶ日には必ず自室に遺書を置いていく隊員もいる」と明かします。この現実は非戦闘地域で活動すると規定したイラク特措法に違反していました。

名古屋高裁は、空自の空輸活動は「多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っている」とし、空輸が行われているバグダッドについて、「戦闘地域」と判決しました。イラク特措法にも違反しているという判断を示しました。

この判決で政府・自民党は明文改憲と解釈改憲の自衛隊海外派遣恒久法制定の取り組みを強めると思います。このことを国民に知らせていく必要があります。

アフガンニスタンにおけるテロとの戦いに対する仏の世論/山崎孝

2008-04-16 | ご投稿
先日のブログでアフガニスタンの国際治安支援部隊のことに触れましたが、3月にサルコジ仏大統領は国際治安支援部隊への増派を決定しました。これについてのフランス国民の反応を紹介します。

サルコジ仏大統領は、アフガン増派を3月の英国訪問時に発表しました。そして北大西洋条約機構(NATO)軍事機構への来年以降の完全復帰の可能性を示唆しました。

 フランス国内では「NATO重視へと変化した」「米国へのすり寄り」など外交・安保政策の転換だとの指摘や、「(アフガンにおける)泥沼化への危険」を懸念する声が上がっています。

 仏国際関係戦略研究所のパクザド客員研究員は、「本来なら仏議会と国民にまず説明すべきだった」のにそれをしなかったと指摘。その理由は(1)仏外交・安保政策のNATO重視への転換を強調すること(2)米英が求める増派を仏が受け入れることでこの要請を断ってきたドイツにメッセージを送る―の二点にあったと説明します。

 同氏はまた、国際治安支援部隊(ISAF)と米軍主導の多国籍軍を合わせて約六万人の軍隊が活動しているにもかかわらず、治安が改善していない現状で、フランスが七百人程度の兵力を増強したとしても、治安が大きく改善する見込みはないと指摘。「かえってアフガン軍養成などに貢献している仏軍のイメージを悪化させる恐れがある」といいます。

 外相時代にイラク戦争に反対したドビルパン元首相も、「軍隊をほんの少しばかり増強することが、アフガンを困難な状況から救い出す最善の方法ではない。反対に泥沼化の危険性が非常に高い」と警告しました。

 NATOと一定の距離を保つことは、一九六六年のドゴール大統領の統合軍事機構離脱決定以来、仏外交の独自性を示す象徴の一つでした。

 サルコジ氏は、欧州防衛能力の強化を軍事機構への復帰条件としました。ブッシュ米大統領はNATO首脳会議で、欧州がNATOと対立しない補完的な軍事能力を持つことを歓迎すると述べました。

 その裏には、サルコジ大統領がアフガン増派を、フランスが推進してきた欧州防衛実現の「取引材料にした」(パクザド氏)可能性もあります。

 ドビルパン氏は、NATO完全復帰は「有効でも、フランスの国益に沿うものでもなく、かえって危険だ」と述べ、「軍事ブロック対立の論理」に戻ることを懸念しています。

 サルコジ氏の英国訪問直後の世論調査では、アフガン増派には仏国民の68%が反対、賛成はわずか15%です。

 フランスの組織「平和運動」は声明で、「アフガン問題の軍事的解決はあり得ない。アフガン人にとって、この七年で飢え、貧困、汚職、麻薬取引は増大し、状況は悪化している。軍隊を引き揚げ、真の国際的連帯を対置すべきだ」と強調しています。(2008年4月15日付「しんぶん赤旗」の情報)

基調講演者は紛争で家族を亡くしても、報復心を抱かなかった人/山崎孝

2008-04-15 | ご投稿
【9条世界会議/来月4~6日/千葉・幕張メッセ 期待集まる】(2008年4月13日付「しんぶん赤旗」)

 「世界の“共有財産”としての九条の価値を、世界の人々と共に見つめ直し、私たちに何ができるのか話し合いたい」―「9条世界会議」が五月四―六日の三日間、千葉・幕張メッセで開催されます。呼びかけ人も八十八人に増え、問い合わせも相次ぐなど集会の成功へ期待が集まっています。

 「9条世界会議」は、経済同友会終身幹事の品川正治さんや作詞家の湯川れい子さんら多くの著名人が呼びかけ、昨年一月から実行委員会(約五十団体五十個人で構成)形式で準備をすすめてきました。

 初日の四日は午後一時半から「九条を考える」全体会が開かれます。

 基調講演を行うのは二人です。北アイルランド紛争の解決に尽力し、ノーベル平和賞を受賞したマイレッド・マグワイアさんと、一九九九年のハーグ平和会議を主宰したコーラ・ワイスさん(アメリカ)。

 マグワイアさんは「紛争を暴力ではなく、対話によって解決する。日本の九条はそのような世界のモデルになる」と語っています。

 実行委員会共同代表の池田香代子さん(翻訳家)、ガーナのNGO(非政府組織)関係者、コスタリカ、韓国の弁護士らも発言します。

 夜のライブ「9ALIVE」では、趣旨に賛同するアーティストが出演。UAさん、加藤登紀子さん、原田真二さんなど顔ぶれも多彩です。(以上)

★「9条世界会議」日本実行委員会事務局長 河崎哲氏による【基調講演者の紹介】(世界5月号より抜粋)

幕張メッセでの基調講演者の一人は、北アイルランドのマイレッド・マグワイア氏である。北アイルランド紛争のなかで自らの家族を亡くしたマグワイア氏は、「対話と非零刀による紛争解決」を訴え、一九七六年にベティ・ウィリアムズ氏と共にノーベル平和賞を受賞した.現在はイスラエル、パレスチナなど世界を回り、紛争の非暴力解決を訴えている。

 もう一人は、アメリカの平和活動のリーダー、コーラ・ワイス氏である。ノーベル平和賞受賞拭体の国際平和ビューロー元会長でもあるワイス氏は、一九九九年にオランダで一万人規模の「ハーグ平和会議」を主催した。そこでは「各国議会は、日本の九条のような戦争禁止を決議すべきである」という原則が宣言されている。

日本軍は最高の栄誉を与えられていたけれど…/山崎孝

2008-04-14 | ご投稿
石破防衛相はイージス艦の事故で、野党から引責辞任要求を受けた国会の場で《普通の国の軍隊は、その国の最高の栄誉、最高に厳しい規律が与えられているが、我が国はそうではない。普通の国であれば、軍隊の中に警察が入ってきて捜査をするということは考えられない》(2月19日、衆議院予算委員会)と述べていることを私は知りました。

石破防衛相はなにか思い違いをしているようです。海上保安庁は軍事に関することを調べているのではなく、あらゆる船舶・艦船の安全航行のために守らなければならない法律違反についてです。当然のことながら海上自衛隊の操船上の誤りの如何について調べています。多くの国民は軍隊になるとこのようなことが調べられなくなるとしたら、これだけのことを考えても、自衛隊が軍隊になることを望まないでしょう。国民の多くは海外で武力行使ができる軍隊を望んでいません。

石破防衛相は軍隊は《その国の最高の栄誉》を与えられると述べました。

かつての日本は軍隊に、神であり統帥権を持っていた天皇の軍隊という名誉を与えていたために、時の政府の言うことさえ聞かずに日中戦争の拡大を主導し、中国戦線を泥沼化させました。この状況を打開する意味もあって、遂には蒋介石軍を支援していた米国に打撃を与えるために米国を奇襲攻撃して日米戦争を始めました。結果は日本を破滅の淵に追いやりました。

この歴史を石破防衛相は深くは認識していないように思われます。現在、軍事オタクと言われる石破私案をたたき台にして、自衛隊の海外派遣恒久法案が政府・自民党で検討されています。

参考 自民党国防部会防衛政策検討小委員会で2006年、当時小委員長だった石破防衛相がまとめた「国際平和協力法案」(石破私案)。国連決議や国際機関の要請がなくても多国籍軍に参加を可能にしている。検討中の案では国連加盟国の要請があればとなるようだ。

【恒久法制定へ初会合/自民チーム ISAF参加も検討】 (2008年4月11日付「しんぶん赤旗」)

 自民党は十日、自衛隊の海外派兵をいつでも可能にし海外での武力行使に道を開く恒久法の制定に向けたプロジェクトチーム(PT)の初会合を開きました。今国会での法案提出を目指します。

 会合では恒久法をめぐる諸論点を検討。(1)国連決議の考え方(2)メニュー(活動類型)(3)憲法と武器使用の関係(4)国会の同意とシビリアンコントロール―について論議しました。

 「メニュー」の中では、停戦監視活動や「人道復興支援」活動のほかISAF(アフガニスタン国際治安支援部隊)の治安維持活動への参加を検討対象にしています。

 政府・与党は当初、ISAFの治安維持活動は戦闘行為を含み憲法違反になるとして参加に否定的でしたが、民主党の小沢一郎代表が雑誌などで「ISAF参加」を表明してから歩み寄りの姿勢を見せていました。米政府関係者からも小沢氏の主張を評価する見解が出ています。

 また一月の臨時国会で与党が強行した新テロ特措法への対案として民主党が提出したアフガン復興支援法案は、アフガン本土への陸上部隊の派遣を盛り込んでいます。与党は異例の取り扱いとして同法案を衆院で継続審議にしています。

 同PTは週一回のペースで開催予定。「公明党が出てくるまでのつなぎ」(幹部)といいます。(以上)

★コメント ISAF(アフガニスタン国際治安支援部隊)は、アフガニスタンの住民を犠牲にする作戦を続けています。そのため、派遣をした国連の現在の国連総長、潘基文事務総長は2007年7月に 《米軍やNATO軍(ISAFの主部隊)の空爆で民間人の死傷者が相次いでいることについて「事故であったとしても、敵を強化し、われわれの努力を損なう」》と言わざるを得ませんでした。

モーツァルトが音楽で発信したメッセージ/山崎孝

2008-04-13 | ご投稿
(NHKの番組「その時歴史は動いた」第321回 音楽の市民革命―神童モーツァルトの苦悩―番組のホームページの説明を要約)放送日4月9日

その時は1791年9月30日 今回の番組では、歴史が動いた「その時」を「モーツァルトが『市民』のためにつくったオペラ『魔笛』が市民向けの劇場で初めて上演された時」とした。

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」や「トルコ行進曲」などの曲で今も世界中の人びとから愛されるモーツァルト。その明るい音楽とは裏腹に、意外にもモーツァルトの生活は苦悩に満ちていた。モーツァルトが活動を始めた時代、音楽家は王や貴族、教会に雇われ、注文に応じて作曲する職人でしかなく、自由な表現活動が出来なかったのである。時に身分の違いを背景に作曲内容にまで介入される弱い立場に、モーツァルトは強い不満を感じていた。

しかし、18世紀後半になると、ヨーロッパでは王や貴族、教会といった、それまでの特権階級を否定する市民革命の思想が広まり始めた。時代の転換を敏感に見抜いたモーツァルトは、音楽家にとって最大の檜舞台だったオペラで、市民に向けた音楽をつくることを決意する。フランス市民革命から2年後の1791年、そうして生まれたのがオペラ「魔笛」だ。自由・平等の思想を盛り込んだこのオペラは、その後「市民の音楽」としてヨーロッパ中の劇場に受け入れられていく。

特権階級のものだった音楽を、多くの市民に解放したモーツァルト。番組では、一昨年の生誕250年に次々に明らかになった資料や研究成果をもとに、市民のための音楽を求めて闘ったモーツァルトの苦難の道のりを描く。

モーツァルトの気持ちを表現した手紙のいくつか

「僕はもう領主や貴族に仕える不幸な身分ではなくなりました」「最高の日です」

「権威をかさにきた貴族たちには」「もうがまんができない」

「僕の心のおもむくままに、自由に何事にもとらわれずに作曲できるときになって、僕は、僕の芸術を見捨てなければならない」(説明 モーツァルトが貴族階級に逆らったため、貴族たちは音楽の世界からモーツァルトを排除しました)

「僕は貴族ではないが、貴族にもまさる高貴な心をもっている。人間を高めるのは、身分ではなく、心だ」

★コメント 私は憲法9条の理念を掲げ追求する大切さを、歴史は身分制の封建社会を打破して自由と平等を追求する社会へ発展した。これは当時の人が自由と平等の理念を追求した賜物で、この理念を放棄していれば社会制度の進歩はなかった歴史に喩えました。

この番組を観てモーツァルトの独立心の強さを改めて感じ、モーツァルトが思った自由と平等の思想を他の人たちも抱き、フランス市民革命を行ないました。

表現・言論の自由の権利を軽視した最高裁判決/山崎孝

2008-04-12 | ご投稿
【反戦ビラ配布で処罰は合憲 最高裁が上告棄却「他人の権利侵害」】 (2008年4月12日付中日新聞)

東京都立川市の防衛庁(当時)宿舎の新聞受けに、自衛隊のイラク派遣に反対するビラを許可なく入れたとして、市民団体のメンバー3人が住居侵入罪に問われた事件の上告審判決で、最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は11日、「表現の自由は無制限に保障されるわけではなく、他人の権利を害する手段は許されない」と被告側の上告を棄却した。一審の無罪判決を破棄、3被告を罰金20万-10万円とした東京高裁判決が確定する。

政治的意見を記したビラの戸別配布について「居住者が平穏に生活する権利」の侵害を理由に処罰することが、憲法の保障する「表現の自由」に違反するかが争われた。最高裁として初の判断とみられ、市民レベルでの政治的活動の在り方に影響を与えそうだ。

判決はビラの内容とは関係なく、ビラを配るという表現の「手段」の是非について検討。「表現の自由の行使でも、官舎の共有地に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権を侵害し、私的生活の平穏を害する」と指摘した。

さらに官舎の敷地がフェンスで囲われ、出入り口などにビラ配りを禁じた掲示があったことを重視。住民から被害届が出されており「被害が軽微とはいえない」と述べた。裁判官3人一致の意見。

3人は市民団体「立川自衛隊監視テント村」の大西章寛被告(34)、高田幸美被告(34)、大洞俊之被告(50)。

被告側は、政治的なビラ配りに刑事罰を科すのは、表現の自由を保障した憲法21条に違反すると主張していた。

一、二審判決によると、3人は2004年1月、立川市の防衛庁宿舎内に入って、玄関ドアの新聞受けに「自衛隊のイラク派兵反対」などと書かれたビラを投函(とうかん)。大洞被告と高田被告は2月にも立ち入った。3人は逮捕後、75日間にわたって拘置された。

一審の東京地裁は、懲役6月の求刑に対し、「ビラ配りは憲法で保障された政治的表現活動。住民の被害は小さく、刑事罰にするほどの違法性はない」と無罪とした。しかし、東京高裁は「住民の不快感を考えれば被害は軽微ではない」として3人に罰金刑を言い渡した。

人権団体のアムネスティ・インターナショナルは04年、3人を思想信条を理由に拘禁された「良心の囚人」に日本で初認定した。(以上)

★コメント 最高裁判所は憲法の重要な保障である表現の自由を守ることを放棄しました。

警察がビラ配布という確たる目的で住居地域に入った人に対して、それを住民が不快と取ったとしても、そのことをビラ配布者に知らせ注意をすれば済むことを、逮捕拘留、起訴したことは法律を適正に運用したとは言えません。最高裁は警察や検察のこの誤った法の運用に目を瞑りました。

政府がイラク戦争という戦争に深く関与した時期から、政治ビラへの官権の介入が起こっています。国民は表現・言論の自由への圧迫が戦争の道を歩み始めた頃から強まっていったことを思い起こす必要があると思います。

改憲を主張する読売世論調査でも/山崎孝

2008-04-11 | ご投稿
(「九条の会」メルマガ編集部 メルマガ44号)4月8日、発表された「読売新聞」の世論調査で、画期的な結果が出た。読売新聞が過去に行ってきた憲法に関する世論調査(81年、86年、91年、93年以降は毎年)で、93年(改憲賛成50.4%、改憲反対33.0%)以来、15年ぶりに、改憲反対派が改憲賛成派を上回ったのである。改憲賛成42.5、反対43.1%である。改正反対の理由の最多は「世界に誇る平和憲法だから」が52.5%(反対意見中、複数回答)を占めた。

ここでいう改憲賛成派とは焦点の「9条」に限らず、環境など「新しい人権の付加」などを含め、憲法のいずれの箇所かを変えた方がいいという意見の人を指している。この意見は2004年にピークに達し、その時点では改憲賛成65.0%、反対22.7%となっていた。以降、この意見は年々減少傾向を示し、昨年は賛成46.2%、反対39.1%まで接近していた。

第9条を今後どうするかについては、「厳密に守り、解釈や運用では対応しない」が23.9%で昨年より3.9%増、「これまで通り、解釈や運用で対応する」が36.2%で昨年より0.4%増加、計60.1%が改憲に反対か現状維持、「解釈や運用で対応するのは限界なので、改正する」は昨年より5%減で30.7%とほぼダブルスコアとなった。2004年以来の改憲反対派増の傾向は、ここにきて、憲法全般、9条の両指標とも、改憲派を追い越したのである。9条については、さらに別に第1項と2項に分けて、改憲の必要性が設問されている。戦争放棄の1項の「改憲」は12.5%、「改憲必要なし」は81.6%である。戦力不保持などの2項は「改憲」36.8%、「改憲必要なし」は54.5%であった。

改憲派が減少に転じた境目の2004年は「九条の会」が結成された年である。決して偶然ではないと思う。(T)(メルマガ文以上)

【草の根の運動の力】憲法会議代表幹事 川村 俊夫さんの話(「しんぶん赤旗」掲載記事)

 「読売」調査の転換点は二〇〇四年です。この年の六月に「九条の会」が結成され、全国で草の根の「会」が結成されていくのとほぼ並行して九条改定反対が増加し、賛成派との差は年々拡大しています。そして、今回、憲法改定そのものへの反対も賛成を十五年ぶりに上回りました。草の根の運動の力です。

 草の根の運動が広がったのは、改憲の中身がたんに自衛隊を合憲とするなどということではなくて、「海外で戦争をする国づくり」なのだということをみんなが知り始めたからです。海外派兵・武力行使恒久法についても、海外での武力行使を可能にする中身を知らせていくことが大事です。

 改憲派も草の根の運動の重要さに気づきつつあります。「新憲法制定議員同盟」は「九条の会」に対抗する国民運動を提起し、それと連携して日本青年会議所が「憲法タウンミーティング」を全国で開催する計画です。

 だからこそ、「九条の会」を小学校区単位で結成するなど、憲法を守り生かす草の根の取り組みをますます強めて、職場・地域・学園で世論を動かしていくことが大事になっています。(以上)

★コメント 私は読売の世論調査で《「これまで通り、解釈や運用で対応する」が36.2%で昨年より0.4%増加》しているのに注意を払うべきだと考えます。なぜなら自衛隊の海外派遣恒久法の制定は明文改憲ではなく、解釈改憲で日本が海外で武力行使をすることを可能にする狙いです。

「9条マガジン」の「みんなのこえ」の投稿で改憲を主張する人たちは、自衛隊は必要で自衛隊を憲法上で明記することを盛んに主張しています。これに対して、私は改憲は単に自衛隊を憲法上で明記するのではなく、改憲の目的は海外に出かけて戦争をすることを力点に置き訴えてきました。国民への説明では、自衛隊は専守防衛ために持ったもので、戦争をするために持ったのではありません。戦争は正義なるものを掲げ殺しあうことです。そして無差別攻撃で民間人を巻き込んで犠牲にしても知らん顔をします。現在のイラクやアフガニスタンにおけるテロとの戦いも同類です。このようなことに自衛隊を参加させてはなりません。

中国の領土的野心を考える/山崎孝

2008-04-10 | ご投稿
「マガジン9条」のホームページ「みんなのこえ」に、中国は米国に太平洋の分割支配を提案するなど、領土的野心を隠していないという意見がありました。この意見は米国の世界戦略で在日米軍の果たしている役割を見ていない。したがってこのような提案を米国がまともに検討するはずがありません。

周知のように在日米軍基地は、朝鮮戦争、ベトナム戦争の重要な発進・兵站基地の役目を果たし、イラク戦争でも同じ役割を果たし、果たしています。中国の一軍人の冗談提案をまともに受けて中国の領土的野心を論ずるのは無意味です。

中国の領土的野心を論ずるのであれば中国が国境紛争を現在も引き起こしているかを見なければならない。2004年10月に最終的な中ロ国境協定が結ばれ、中国は2005年4月に批准し、ロシアは2005年5月に批准した。1962年に中印国境紛争が起きたがその後国境線画定作業が本格的に進み2006年に中印の国境貿易が再開されました。1979年中国とベトナムは紛争を起こしたが、1991年に国交を回復し陸上の国境を画定しています。

中国と日本の歴史的関係を見れば、1274年と1281年の蒙古軍の日本侵略があるだけであるが、逆に日本は1931年に満州事変を起こし傀儡の満州国を作り、さらに1937年の盧溝橋事件に乗じて中国を占領支配を拡大しています。日中の歴史と現在の状況を正確に見ることが大事であります。

【他国の内政問題で9条を論ずるのは不適当】

「マガジン9条」のホームページ「みんなのこえ」にチベットで起きた一連の事件で分かったことは、憲法9条は現在行なわれている虐殺には何の力にもならないことだという意見がありました。

この意見が欠落しているのは、9条は国家間の紛争に対する対処の仕方を規定しているという認識です。9条は国際紛争を解決する手段としての戦争放棄ですが、無抵抗主義ではなく内閣法制局は他国に攻められた時の自衛権発動は認めます。

チベットで暴動が起きたのは、分離独立派の運動もあったが、この運動にチベット人が同調したことは、漢民族とチベット民族の調和が十分図られなかったことによるもので中国政府の責任が一番に重いです。

9条の理念は武力の使用と暴力を否定する考え方と縁続きです。チベット暴動で商店が破壊されデモをした側に犠牲者が出たことは、抗議行動の側も鎮圧する側も暴力や武力を用いた。しかし、武力や暴力を否定する理念を否定することが起きてもその理念は不要とはならない。歴史は身分制の封建社会を打破して民主主義の社会へ発展した。これは当時の人が自由と民主の理念を追求した賜物で、この理念を放棄していれば社会制度の進歩はなかったと思います。

ブッシュ米大統領は3月に掃討作戦を「画期的だ」と絶賛したが/山崎孝

2008-04-08 | ご投稿
【シーア派同士主導権争いへ イラク自立見えぬ展望 旧政権崩壊5年】(2008年4月8日付東京新聞)

イラクのサダム・フセイン政権が崩壊し、九日で丸五年となる。イスラム教スンニ派が中枢を占めた旧政権の崩壊後、国民の多数派・シーア派が主体の政権へと移行したが、宗派間抗争やテロ攻撃で民間人を中心に約九万人が死亡。国民和解に向けた政治上の進展は遅れ、最近では新たにシーア派同士の主導権争いも起きるなど、イラク自立の展望は依然開けずにいる。

マリキ首相は七日放送の米CNNテレビのインタビューで、同じシーア派の反米強硬派サドル師派を初めて名指しして「民兵組織を解散しない限り、政治参加の権利はない」と述べ、バグダッドや南部バスラで続く同派民兵の掃討作戦を徹底する決意を示した。だが同派は武力放棄を拒否し、九日には米軍撤退を求めて大規模デモを計画しており、緊張が高まっている。

一昨年二月のシーア派聖廟(せいびょう)爆破事件を機に激化した宗派間抗争は徐々に沈静化。また、サドル師が配下の民兵に活動停止を命じた昨年八月以降は月間の死者数も激減、治安改善の兆しも見えていた。

しかし、先月下旬、シーア派のイラク・イスラム最高評議会(SIIC)の影響が強い治安部隊とサドル師派民兵が南部バスラやバグダッドで激突し、三百人以上が死亡。ブッシュ米大統領は掃討作戦を「画期的だ」と絶賛したが、民兵側の反撃で治安部隊の弱さも露呈された。

両者は米国が敵視する隣国イランに停戦の仲介を依頼。その停戦合意も、六日の戦闘で多数の死者を出し、わずか一週間で崩壊。イラクの安定を再び揺るがそうとしている。(以上)

日本政府は有志連合型の軍事作戦、国連決議がある多国籍軍の軍事活動に即応する自衛隊の海外活動一般法の制定を目指していますが、有志連合から移行したイラクの多国籍軍や、アフガニスタンで活動する有志連合や多国籍軍は治安維持に成功せず、平和構築に失敗しています。

米国中心の軍事的国際貢献は一生懸命の姿勢を示すが/山崎孝

2008-04-06 | ご投稿
【ODA後退 このままでいいのか】(2007年4月5日付東京新聞社説)

政府開発援助(ODA)支出純額(ネット)に関する統計で、日本は昨年、英国に抜かれ三位に転落した。ODA予算を縮小し続けてよいのかどうか、人道上、国益上の見地から議論すべきだ。

経済協力開発機構(OECD)の集計によると、昨年、日本のODA支出総額(グロス)に貸付債務の救済、返済などの額を加味した実績支出純額は約百十六億ドル(約一兆三千億円)で、前年比で約11・7%減少した。

日本のODAの当初予算は、厳しい財政事情を反映し、八年連続で縮小している。本年度一般会計では約七千二百億円が計上されたが、これは十年前より約38%低い水準だ。一方、欧米各国は近年、貧困がテロの温床になっているとの見方から、ODA予算を増やしつつある。

昨年、日本が二十四年ぶりに三位に転落したのは、近年のODA予算編成方針の違いが積み重なった結果だ。日本だけがODA予算の縮小を続ければ、二〇一〇年ごろまでには仏独両国にも抜かれ、五位に転落する見通しだという。

国民の経済力に応じてODAを拠出すべきだという論理に照らせば、日本の地位はさらに後退する。

国連がODA予算水準の尺度としている対国民総所得(GNI)比でみると、日本の昨年の支出純額は0・25%で、二〇一五年までに達成すべき目標とされる0・7%の線には遠く及ばない。OECDの統計対象となっている二十二のODA供与国中、日本は十八位だ。

ODAの目的には、貧困や災いに苦しむ人々を助ける人道上の理念の実現と、国際社会の安定を日本の国益に結びつける戦略の、両方が含まれる。日本は、憲法で国際協調主義を掲げつつ、軍事力による国際貢献を自制する立場からも、ODAに積極的に取り組むのが道理だ。

日本は来年、アフリカ開発会議や主要国首脳会議(G8サミット)の議長国を務め、途上国の貧困克服や経済開発の方向を主導する責任を負う。日本は、経済力では英国の三倍程度の規模があるのに、ODAの規模では下回るという状況では、国際社会に対し、説得力のある発言はなかなか難しいのではないか。

もちろん、日本のODAに改革の余地はある。非政府組織(NGO)を活用したり、環境や平和構築といった新しい分野に支援を集中するといった工夫が、たえず求められる。ただ、そうした工夫だけで事業規模の拡大がどこまで可能か、疑問だ。ODA予算のあり方について、政治レベルで議論を始めてほしい。(以上)

既に紹介をしていますが、福田首相は1月4日の年頭記者会見で「国際平和協力ならば積極的に迅速に活動できる態勢があってもいい、そのためには恒久法を整備した方がいいという意見が前からあった。私もそのような考え方は持っている」と一般法の必要性を強調しました。

この恒久法は自民党国防部会防衛政策検討小委員会で2006年、当時小委員長だった石破防衛相がまとめた「国際平和協力法案」(石破私案)をたたき台にします。私案には治安維持任務の付与や、要人警護などの警護活動、かけつけ警護もできるように武器使用権限の拡大を視野に入れています。これらの任務を遂行するには武力行使は避けられません。実質的な解釈改憲です。

かように解釈改憲までして米国の主導する多国籍軍へ参加して軍事的貢献は一生懸命の姿勢を示します。しかし、2006年5月16日に紛争後の復興を支えるために新設する「平和構築委員会」の常設機関である組織委員会のメンバー31カ国の中に選ばれた日本の財政的貢献の制作を投げ捨てようとしています。