いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

中国の領土的野心を考える/山崎孝

2008-04-10 | ご投稿
「マガジン9条」のホームページ「みんなのこえ」に、中国は米国に太平洋の分割支配を提案するなど、領土的野心を隠していないという意見がありました。この意見は米国の世界戦略で在日米軍の果たしている役割を見ていない。したがってこのような提案を米国がまともに検討するはずがありません。

周知のように在日米軍基地は、朝鮮戦争、ベトナム戦争の重要な発進・兵站基地の役目を果たし、イラク戦争でも同じ役割を果たし、果たしています。中国の一軍人の冗談提案をまともに受けて中国の領土的野心を論ずるのは無意味です。

中国の領土的野心を論ずるのであれば中国が国境紛争を現在も引き起こしているかを見なければならない。2004年10月に最終的な中ロ国境協定が結ばれ、中国は2005年4月に批准し、ロシアは2005年5月に批准した。1962年に中印国境紛争が起きたがその後国境線画定作業が本格的に進み2006年に中印の国境貿易が再開されました。1979年中国とベトナムは紛争を起こしたが、1991年に国交を回復し陸上の国境を画定しています。

中国と日本の歴史的関係を見れば、1274年と1281年の蒙古軍の日本侵略があるだけであるが、逆に日本は1931年に満州事変を起こし傀儡の満州国を作り、さらに1937年の盧溝橋事件に乗じて中国を占領支配を拡大しています。日中の歴史と現在の状況を正確に見ることが大事であります。

【他国の内政問題で9条を論ずるのは不適当】

「マガジン9条」のホームページ「みんなのこえ」にチベットで起きた一連の事件で分かったことは、憲法9条は現在行なわれている虐殺には何の力にもならないことだという意見がありました。

この意見が欠落しているのは、9条は国家間の紛争に対する対処の仕方を規定しているという認識です。9条は国際紛争を解決する手段としての戦争放棄ですが、無抵抗主義ではなく内閣法制局は他国に攻められた時の自衛権発動は認めます。

チベットで暴動が起きたのは、分離独立派の運動もあったが、この運動にチベット人が同調したことは、漢民族とチベット民族の調和が十分図られなかったことによるもので中国政府の責任が一番に重いです。

9条の理念は武力の使用と暴力を否定する考え方と縁続きです。チベット暴動で商店が破壊されデモをした側に犠牲者が出たことは、抗議行動の側も鎮圧する側も暴力や武力を用いた。しかし、武力や暴力を否定する理念を否定することが起きてもその理念は不要とはならない。歴史は身分制の封建社会を打破して民主主義の社会へ発展した。これは当時の人が自由と民主の理念を追求した賜物で、この理念を放棄していれば社会制度の進歩はなかったと思います。