いせ九条の会

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九条の会事務局の記者発表の概要報告/山崎孝

2008-04-27 | ご投稿
「九条の会」メルマガ詳細版 2008年4月25日 第45号を転載

九条の会事務局は4月25日、参議院議員会館で記者会見を行いました。会見では司会を高田健事務局員が務め、事務局を代表して小森陽一事務局長が、要旨、以下の報告をしました。

全国の地域・職場・学園・分野・草の根の「九条の会」の結成状況は4月25日現在で、7,039カ所になりました。この中では広島市西区や新居浜市などで各中学校区に結成する運動をしていることに見られるように、九条の会を草の根にきめ細かく組織する動きが見られるのが特徴です。

「九条の会」は当初は各地で大規模な講演会を開催してきましたが、2年目以降、「憲法セミナー」という方式で、9条についての認識を理論的にも深めながら、各地に憲法の語り部を増やすようにしてきました。こういった運動方向に沿って、6月には岐阜市で憲法セミナーを開き、7月には宮崎市で開催します。

市民の自発的な努力により、九条の会の運動が大きく前進してくる中で、これに不当な規制・干渉する動きが目立ちます。神奈川県の箱根町教育委員会の箱根町九条の会の活動に関する不当な干渉や、先の映画「靖国」をめぐる動きの中で、助成の選定にあたった専門委員の1人が九条の会に属していることを理由にその「中立性」を問題にするような動きがありました。私たちはこれに以下の「事務局見解」をもって反論します。

つづいて小澤隆一事務局員が「事務局見解」について説明をしました。その後、参加した記者の皆さんとの間で、活発な質疑応答がありました。

この日発表されました「九条の会事務局見解/憲法9条を守る運動に対する不当な規制・干渉に抗議する」は以下の通りです。

【九条の会事務局見解/憲法9条を守る運動に対する不当な規制・干渉に抗議する】

 今年の3月4日に、「新憲法制定議員同盟」の総会が開催され、「われわれと正反対の勢力、『九条の会』と称する勢力」(同同盟幹事長の愛知和男衆院議員の表現)が全国に細かく組織作りができているとして、「九条の会」への対抗意識をあらわにし、「拠点となる地方組織」を作っていくことを方針に掲げました。

 私たち「九条の会」の運動は、憲法9条の「改正」に反対し、9条を守り実現しようと市民が進めているものであり、憲法9条の擁護は市民の自由闊達な議論を通じてこそ実現できると確信しています。それだけに憲法「改正」の是非をめぐる旺盛な議論の自由は絶対に守られなければなりません。

ところが、この間、こうした市民の言論や九条の会の活動を権力的に押さえ込むかのような、表現の自由や集会の自由に対する規制や干渉が目立っています。

 神奈川県の箱根町では、地域の九条の会が会合のために公民館を借りた際に「9条堅持に偏って主張することは避ける」などとの条件を町教育委員会からつけられたり、施設に掲示された「憲法9条が危ない情勢」という表現について「内容が中立的でない」として紙で覆い隠したりされました。これは、町教育委員会による検閲にほかならず、憲法が保障する表現の自由、集会の自由に対する明らかな侵害です。また、憲法の趣旨に沿って公の施設の平等な利用を定めた地方自治法や、公民館の目的を住民の教育・学術・文化に関する事業とし、その事業のなかに「討論会」も含めている社会教育法にも反する違法な規制です。

 また、映画「靖国」が日本芸術文化振興会から助成を受けたことを問題にした自民党の議員は、国会の質問で、助成対象の選定にあたった専門委員の一人が「映画人九条の会」のメンバーであることを取り上げて、「専門委員の中立性」を問題にしています。しかし、文化的な活動への助成の内容に党派的な国会議員が干渉することこそ、文化行政の公正さ・中立性を損なうといわねばなりません。

 こうした規制や干渉の口実として、憲法9条の擁護を訴えることは「政治的」で「偏った」言動だという主張がありますが、憲法をめぐる議論は決して一党一派の立場を主張する「政治」的言論ではなく、むしろ自由な社会では最も手厚く保障されるべき言論です。

 私たち「九条の会」の運動が地域や職場に広がる中で、憲法9条を守ろうという声は着実に大きく確固としたものになってきています。4月8日に読売新聞が発表した世論調査で、憲法「改正」に「反対」(43.1%)と答えた人が「賛成」(42.5%)と答える人を上回り、9条の明文改憲に否定的な回答が60.1%にのぼったことは、その一端を示すものです。

 そうした中で9条改憲をもくろむ勢力のあせりが、権力の側から国民運動の提起や言論・表現・集会の自由の侵害という形で現れているのです。私たちは、こうした規制や干渉に断固抗議するとともに、今後とも、憲法9条を守る運動を進めていく決意を表明するものです。

2008年4月25日

★コメント 「いせ九条の会」が平和憲法賛同署名を始めた2006年4月頃は、全国の「九条の会」は2500カ所でした。それが2008年4月現在で、7039カ所に発展しました。国民の各界各層が結集し、国民に9条の理念を広めていく運動は道理に適ったものの証明です。

この運動は憲法の自由、民主、平等、平和主義の理念を実現していく運動の一翼を担う運動だと思います。しかし、国民投票で勝利するには、まだまだ私たちの取り組みを強めなければならないと思います。

現在の日本の社会は死刑を含む刑事罰の適用を強化して犯罪を防げという声が強くなっています。この気分・雰囲気は力で物事を解決せよという方向に容易に結びつく可能性があり、脅威なるものが大量宣伝されると国民が軍事志向に向かう要素を持つものだと思います。

誰でも平和を願っています。この願いを憲法9条の堅持と不可分の関係があること広めていかなければならないと思います。