いせ九条の会

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教科書執筆者証言 いきなり軍命否定説に立って書けと/山崎孝

2007-07-26 | ご投稿
【「集団自決」検定/執筆者「恣意的」と非難】(2007年7月25日付沖縄タイムスより)

高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から日本軍の関与が削除された文部科学省の教科書検定に反対する緊急集会(歴史教育者協議会など主催)が二十四日夜、都内で開かれた。検定の対象となった教科書の執筆者らが今回の検定を「根拠が乏しく恣意的」などと非難し、出版社なども巻き込んだ検定意見撤回、記述回復の運動を首都圏でも積極的に展開する必要性を確認した。

集会には首都圏の歴史教育関係者ら百二十人が詰め掛けた。

東京書籍「日本史A」を執筆した都立高校教師の坂本昇さん(51)は、昨年末にあった検定意見の通達を振り返り、「二時間以内で、この日示されたばかりの十八カ所に上る検定意見についての対応策を迫られ、やむなく修正に応じてしまった。じくじたる思いが残った」と悔やんだ。

その上で生徒たちの手に渡る「供給本」の印刷が始まる十一月を前に、執筆者有志らで対応策を検討する考えを強調。具体例として、(1)二〇〇七年の出来事を追加記述する教科書のスペースに、今回の検定問題と沖縄、全国の動向を書き足す(2)「正誤訂正」を申請する―などを挙げた。

一方、実教出版「高校日本史B」を執筆した石山久男さん(歴史教育者協議会委員長)も「両論併記を求めるのでもなく、いきなり軍命否定説に立って書けという検定。これほど恣意的な検定はない」と非難し、首都圏でも同問題への取り組みを広げていく必要性を強調した。(以上)

歴史修正主義者が糾合する安倍政権下で文部科学省が、国家主義の国を再び作るために、子どもたちに軍隊の本質を隠し、偽りの歴史を伝えようとしても、【子や孫のために真実を語り残そう】として沖縄の人たちは様々な形で戦争の本当の姿を伝えていこうとしています。

【実相一途/北島さん「集団自決」芝居100回超】(2007年7月22日付沖縄タイムスより)

「庶民は、体で感じた痛みを絶対に忘れない。うそをついているのは偉い人だよ」。女優の北島角子さんが二十一日、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」を題材にした一人芝居「赤いぶくぶくー」を演じた。体験者から直接聞いた話を基に書き上げ、重ねた上演は百回以上を数える。(阿部岳)

軍による強制の事実をゆがめる動きが強まる中、戦争を体験した同世代へ「子や孫のために真実を語り残そう」とのメッセージを込めた。

舞台は座間味島。「赤いぶくぶくー」は、主人公の父が母の首をかみそりでかき切った時の血の泡を指す。米兵の上陸でパニックになった家族が殺すよう懇願し、父が次々に手を掛けた。生き残った主人公が、娘に初めて体験を語り聞かせる。

「一生誰にも話したくないと思っていたけど、あの時亡くなった人たちの生きた証しがないのは、あんまりかわいそう。話すのは生き残った者の責務かもねえ」

北島さんは復帰前後、本土の記者が「集団自決」を取材しようとしたが応じてくれないと嘆く記事を読んだ。「語りたくても語れないつらさが分からないのか」。この時の怒りをきっかけに書いた作品を通じて、悲惨な実相を伝え続ける。

浦添市で開かれた「憲法を考えるつどい」(主催・コープおきなわ有志九条の会)での上演。北島さんがウチナーグチで語り、体全体を使って再現する惨劇に、約二百人の会場から悲鳴が上がった。ハンカチで顔を覆ったまま泣き続ける女性、「聞いちゃおれない」とつぶやき、席を立つお年寄りもいた。

上演後の楽屋。北島さんは教科書検定による軍関与の記述削除などの動きに、「なかったことを、あったという住民がいるか。名誉を守りたい偉い人が本当のことを隠している」と、率直な怒りを語った。「私は車いすになってもしゃべり続ける。それぞれの家の中から平和を考えてほしい」と願いを込めた。