いせ九条の会

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歴史的敗北を喫した首相は…/山崎孝

2007-07-30 | ご投稿
今回の参院選は、無党派層が増えてその票の流れが当落の鍵を握ると言われるようになった現在の国政選挙で、民主党が無党派層の票を独り占めにしたような選挙結果でした。5月に国民投票法が成立し、今回の参院選は憲政史上初めて憲法改正の発議にかかわる可能性のある国会議員を選ぶ選挙でもありました。

既に紹介していますが、2007年7月13日付朝日新聞掲載の「朝日・東大共同調査」の結果の記事によりますと、大きく議員を増やした民主党の候補者は、憲法改定に賛成35%、反対41%でした。9条についても、民主党の候補者は63%が「変えない方がいい」と回答しています。安倍内閣が検討を進める集団的自衛権の行使については、「朝日・東大共同調査」結果は、民主党の立候補者は、行使に反対が59%、「憲法改正で」が12%でした。議席を減らした公明党は9条の1項2項は守ると、再三、再四言明し、「朝日・東大共同調査」結果では、参院立候補者は「加憲」を掲げる公明は「環境権」を理由にしての憲法改定が87%を占めています。

これらを見れば、民主党の当選者が「朝日・東大共同調査」で表明したこの態度を変えない限り、そして公明党も態度を変えない限り、参議院においては、9条を変えて、集団的自衛権行使を行なうとする内容の改憲の国会発議は出来ないと考えることが出来ます。

沖縄選挙区において、野党の統一候補の糸数慶子さんが大差で当選をしています。今回の選挙は、憲法改定問題は後方に退いていましたが、憲法改定が一番の争点になる選挙では、沖縄選挙区みたいに大同団結し憲法を守る統一候補を立てて選挙戦に臨む必要があると思います。論理的な条件はあります。一番大切な国民の命と暮らしを守る政策は、現行憲法の理念に立脚してこそ出来るのです。

安倍首相は今回の選挙で、自民党は歴史的な敗北(朝日新聞で)と言われる結果を招いてしまいました。従って歴代政府が守ってきた憲法解釈を、安倍首相の私的諮問機関、集団的自衛権を研究する有識者懇談会が、今秋に憲法解釈変更は可能とする意見書を出しても、憲法解釈を変える資格と出来る道理は、もはや客観的には一つもありません。